みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

1214「つけこむ」

2022-03-10 17:47:37 | ブログ短編

 彼女は、会社(かいしゃ)のお局様(つぼねさま)に呼(よ)び出された。お局様は彼女に、
「あたし、あなたの秘密(ひみつ)を知ってるのよ。どうかしら…、あたしと仲良(なかよ)くしない?」
 彼女は身構(みがま)えた。そして相手(あいて)を探(さぐ)るように、「私の何を知ってるっていうのよ」
「あら、すべてよ。あたし、何でも知ってるの。昨夜(ゆうべ)、佐々木部長(ささきぶちょう)と楽(たの)しんだんでしょ」
 確(たし)かに、彼女はその部長と不倫(ふりん)をしていた。でも、そのことは誰(だれ)も知らないはずなのに…。彼女は、お局様に刃向(はむ)かうように言った。
「私だって、あなたのこと知ってるのよ。会社の製品(せいひん)を横流(よこなが)ししてるでしょ。私が、告発(こくはつ)したらどうなるかしら? 証拠(しょうこ)だってちゃんと手に入れてるんだから」
「あら、大変(たいへん)…。でも、それってみんな知ってることよ。何なら、社長(しゃちょう)に確かめてみる?」
 どうやらお局様の方が一枚上手(うわて)のようだ。お局様は追(お)い打ちをかけるように、
「あなた、営業(えいぎょう)の浜田(はまだ)くんと付き合ってるんでしょ? 不倫のこと知ったら悲(かな)しむわよ」
「な、何なのよ。彼とのことは誰も知らないはずなのに…」
「だ・か・ら、あたしは何でも知ってるの。今からここに浜田くん呼んでもいいのよ。あっ、それとも佐々木部長にも来てもらう? きっと修羅場(しゅらば)になるかも…」
「やめてよ。そんなことされたら、私…。もう…、私にどうしろっていうのよ」
<つぶやき>お局様の情報力(じょうほうりょく)は半端(はんぱ)ないですね。でも悪事(あくじ)に手を染(そ)めちゃいけませんよ。
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