彼はこの星(ほし)にやって来た異星人(いせいじん)。彼の任務(にんむ)は、この星のことを調査(ちょうさ)することだ。そして、この星が侵略(しんりゃく)する価値(かち)があるかどうかを報告(ほうこく)するのだ。彼は人間(にんげん)の姿(すがた)に変身(へんしん)していたので、彼が異星人だとは誰(だれ)も気づかなかった。
この星へ来て二年が過(す)ぎていた。彼はいろんな場所(ばしょ)へ行って調査を続けていた。有益(ゆうえき)な資源(しげん)もいくつか発見(はっけん)できた。そして、人間という生物(せいぶつ)のことも分かってきた。文明(ぶんめい)ははるかに劣(おと)っていて、この星を制圧(せいあつ)するのは容易(たやす)いだろう。
――彼はとある町(まち)にたどり着いた。そこは、いさかいのない平和(へいわ)そのものの町で、住民(じゅうみん)は家族(かぞく)のように暮(く)らしていた。彼はこの町にしばらく留(とど)まることにした。調査もほぼ終了(しゅうりょう)して、帰還(きかん)の時まで休暇(きゅうか)をとることにしたのだ。
彼はこの町で、ある女性と知り合った。彼はその女性の笑顔(えがお)をみて、なぜか惹(ひ)きつけられてしまった。こんなことは初めてだ。彼は戸惑(とまど)った。長い間、人間の姿になっていた影響(えいきょう)なのか…。彼は、この町から離(はな)れることにした。
最後(さいご)に彼女に会ったとき、彼は思いも寄(よ)らないことを聞かされた。それは、この町の住民のほとんどが異星人だということだ。この星の魅力(みりょく)に惹かれて、ここに住み着くことにした連中(れんちゅう)ばかりなのだそうだ。彼女は、彼に言った。
「この星は、このままにしておきましょう。彼らがどんな進化(しんか)をするか、見とどけてみませんか? その方が、私たちには有益なのかもしれませんよ」
<つぶやき>なんと、そんなことになっていたなんて…。これは責任重大(せきにんじゅうだい)じゃないですか。
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