楽しい酒 良い酒 おいしい酒

酒を飲むなら、いい酒を飲みたいものです。

おいしい酒を紹介できたら良いな!

お酒のお供Y・・・176<終わり>

2015-07-08 14:35:26 | 日記
 

   ほんとは芸能だけだ。


                 The world that only an entertainment knows。



  live on only an entertainment, and do it。



                           Only an entertainment has the truth。






       Because it is not true, as for me, I do not have a meaning。

                       It is meaningless for me to be here.

お酒のお供Y・・・175

2015-07-04 14:31:47 | 日記
 

心眼



横浜から帰ってきた流しアンマの梅喜。

元気がないので女房の竹が心配してわけを聞くと、

まるっきり稼ぎがないため実の弟の金公にまで

馬鹿にされたとくやし泣きを始めた。

 もし目が見えれば稼ぎもあがる、そこで薬師様へ

一所懸命お参りして、せめて片方の目でも御利益で

治してもらおうと、信心のつもりで横浜から歩いて

帰ったというのだ。

 話を聞いた竹は、あたしも明日から自分の寿命を

縮めても一所懸命、信心するからと梅喜をはげまし、

今夜は早く休むようすすめた。竹に床をとってもらい、

梅喜はトロトロっとした。

 さて、翌朝から薬師様へ二十一日の日参。いよいよ

満願の日、最後のお参りをすませた梅喜にうしろから

上総屋の主人が声をかけた。振り返ると梅喜の目があいている。

「お前、目があいたね」

 言われてはじめて梅喜は自分の目があいているのに

気づいた。上総屋の顔をしげしげと見つめ、

「そんな顔でしたか」

 妙な感心の仕方だ。連れだって歩きだすが、梅喜は

見るものすべてが珍しい。

 そのうち着飾った芸者とすれ違い、うちのお竹と

比べるとどうだと上総屋に尋ねた。じつは女房の竹は

鑑賞には向かないタイプ。上総屋が言いにくそうに話すと、

梅喜はすっかりしょげて、

「そうとも知らずにみっとものうござんす」

上総屋は、顔を別にすればお竹さんは気だてのやさしい

貞女の鏡みたいな女、馬鹿なことを言うなと梅喜をたしなめた。

 一方、本人は知らないが梅喜は役者顔負けの男前。芸者の

小春が岡惚れしているという話をしながら浅草の仲見世へ。

観音様にお参りしているうちに、いつの間にか上総屋がいなくなり、

かわりに女が声をかけてきた。

「あたしが小春だよ」

「あなたが。なるほどいい女だ」

 目があいたお祝いにご馳走しようという小春に連れられて待合いへ。

ところが上総屋から話を聞いて浅草へきたお竹が、待合いへ入っていく

二人を見てしまった。

 庭の植えこみから、お竹がじっと様子をうかがっている。梅喜と小春は

そうとも知らずに、差し向かいで一杯。あやしい雰囲気になってきた

ところへ、お竹が、

「ちょいと梅喜さん」

「お竹か。勘弁してくれ。お竹、お竹っ」

 そこで目が覚めた。

「夢だったか。お竹、俺は信心はやめだ」

「どうして」

「今の俺は、寝てるうちだけよく見える」



                  立川志の輔  古典落語100席引用


もし自分が目が見えないって思うとこんなに不便なことは

ないな~とおもうでしょうな。生まれた時から目が見えない場合

どういう教育がなされるのでしょうかな?