やっと若紫(上)が読み終わった。お盆期間中、間が空いたので始めから読みなおした。明石の女御が東宮との間に男の宮を生んだ。将来は帝になること間違いない。望みが叶いあとは出家して迎えが来るのを待つだけだ。
女三宮についてきた女房に少なからず不満があった源氏だが何もしないでいた。遊び相手にはよいが女三宮を守るとか、援けるとかできそうもないことを危惧していた。女房の不忠によって姫君や女主人が辱められてきたことを源氏は知っていながら何もしないでいたのは作者に狙いがあったからか。 例えば玉鬘は女房のせいで鬚黒の大将の妻にさせられた。他にも例はある。源氏が認めた女房を付けておけば女三宮に悲劇は起こらなかったかもしれない。その分物語はつまらないものになったはずだ。不届きな女房がいるから物語が面白いといえる。
猫ブームは何時からあったのか。
若い女房達は御簾ごしに若衆の蹴鞠を夢中で見ていた。子猫が急に飛び出してつながれた紐が御簾をめくり上げた。部屋の中が丸見えになり高貴な人の着る着物姿をみた。その時女三宮に違いないと柏木は覚った。飛び出した猫を抱きとると良いにほひがした。子猫を抱いているが女三宮を抱いているような勘違いをするほど猫好きになった物好きな奴。
蹴鞠が終わると酒宴があり帰りは夕霧と一緒だが柏木はどの時点で猫を返したのか気になった。女三宮の代わりに抱いているから返したくはなかったはずだ。返す時の未練がまいしい情けない顔つきは皆にみられたらからかわれたと思うが作者は何も触れてない。読み手の想像に任せたのか、それはそれで面白く想像をしてみた。ここから柏木の狂気ともいえる恋煩いははじまる。 御簾がめくれた時に夕霧も女三宮を見た。柏木ほどの執着はないが気にはしていた、だが親父の目が黒いうちは知らんぷりをすることに決めていたに違いない。義母の紫の上にさえ会わせないほど用心深い父親だから。
女房という側近が女主人を裏切る例は物語り中にある。いくつか思い当る。こういうのももののあわれというのか?
主人公は光源氏から次の世代に変わりつつあるような感じがしてきた。