goo blog サービス終了のお知らせ 

ことば咀嚼日記

日々読んだ活字を自分の頭でムシャクシャ、時にはゴックン、時には、サクサク咀嚼する日記

ある雑誌から

2013-11-03 | 日記
今日も、池の公園を友人と一周しました。コロコロと鳴く美声の水鳥発見。池が広いので、姿がよく見えませんでした。

先週、ある学生さんがヒットラーの特集の雑誌を三冊机に積み上げて授業中に読んでいました。そのうちの一冊をもう読んだからと言って、私にくれました。学研から出ている『ヒトラーと第三帝国の真実― なぜ国民はこの男を選んでしまったのか ― 』という写真満載の雑誌です。

いろいろ知らなかったことも書いてありました。たとえばヒトラーの帝国は労働者に様々なレジャーを提供したとか、スイスはユダヤ人亡命者に冷淡だったとか。しかし何と言っても一番の感想は、ヒトラーの猛烈な働き振りです。ベルリンを世界の首都にする千年王国を作るために、当時の最高の建築家と組んで、都市の破壊と建築を繰り返したり、トルコのイスタンブールまで延びる高速鉄道を計画したり、寝る暇もなく働いていました。

思わず「勤勉な悪は、怠惰な善を駆逐する」とつぶやきたくなるような働き振りです。
ヒトラー自身、語録によれば「弱者に従っていくよりも強者に引っ張ってもらいたい。大衆とはそのように怠惰で無責任な存在である」と言っているそうです。

今月から「ハンナ・アーレント」という映画が始まります。数百万人のユダヤ人を収容所に送ったナチスの戦犯、アイヒマンの裁判をイスラエルで傍聴してそのレポートを書いた女性です。ナチの大物といわれたアイヒマンが、裁判ではあまりに凡庸な何も考えていない、ただの人だったゆえに、悪の本質は凡庸なものであると「悪の凡庸さ」を書いて、同胞であるユダヤ人から批判を浴びたそうです。

勤勉な悪に駆逐された怠惰な善は、凡庸なものかもしれない。オウム真理教の事件でも、犯罪を犯した人は、ただ命令されたことをやっただけの凡庸な人たちだったはずです。

勤勉な悪に対抗するためには、何をすればいいか考え込んでしまいました。