山口仲美著『日本語の歴史』は軽くて安くて深くて、ここ数年バッグに入れて愛読・愛用している。740円+税だが、その100倍ぐらいの価値は十分あると思う。文章もわかりやすく、たしかエッセイストクラブ賞を受賞されていたのではないだろうか。この本のテーマは「話し言葉と書き言葉のせめぎあい」だが、最後の部分で、日本語の表記について触れている箇所があって、
「 My father is ill in bed.
を日本語で書くと
父は病気で寝ている
となって、語と語の間に空白が入りません。世界で最も体系的に作られているハングルも、世界で最も簡素な文字体系のローマ字も、イスラム文化圏で通用しているアラビア文字も、すべて文章を書く時には、語と語の間に空白を入れて書く必要があります。同じ種類の文字が続くために、語の切れ目が分かりにくいからです。それに対して、漢字かな交じり文は、異種類の文字で構成されるために、切れ目を入れなくても、一目瞭然。さらに、句読点を併用すればわかりやすいことこの上なしです。」
このことを受け売りで私が自慢すると、表音文字の国から来た人(例えばフランス人とか)は「なるほど、なるほど」と感心してくれるが、表意文字の親玉、中国から来た人には、感心してもらえない。中国語も語と語の間に空白は要らない。
そこで、もうひとつ頑張って自慢するために、「ほら、漢字だけ見れば、大体の情報が取れるでしょう」というと、「それは私たちも日本語を読むとき、いつもやっていることだ。漢字がますパッと目に入ってくるから、それだけで意味が取れる。なら、なんで平仮名・カタカナの必要があるのか」というので、
「平仮名のところは、大体、昔からの日本人が話していた日本語の音をあらわすためにどうしても漢字では書きにくいから日本人が考えたものだし、漢字のところは大体、お宅の国からそのままお借りしたものだし、カタカナのところは、外国から取り入れてそのままになっている言葉なの。こうして由来をはっきりしておくと、いろいろ便利でしょう。パソコンの管理だって、ファイルを作って整理分類しているでしょう。それと同じことよ」
といって、難を逃れることにしている。厳密に言うと、例外もあるだろうが、分かりやすく説明するためには、時には敢えて誤解を恐れないというのが、どの語学教師でも要なのである。
ところで韓国は、世界の韓流ブーム・ハングルブームに応えて「世宗学堂」を2015年までに世界中に500店舗展開するそうである。世宗とはもちろんハングルの創始者。できたら私も通いたいと思っている。中国語ではすでに孔子学院というのが、世界的展開を見せていて、私も微々たる学費を納めたことがある。
隣の国では、世宗・孔子という強いリーダーシップを持つ人物が、そのネームバリューによって、世界的にアピールできるが、日本語の学校を世界的に展開するためには、いったい誰の名を冠すればいいのだろう。
平仮名・カタカナの創始者は、よく分からないようだし。
「 My father is ill in bed.
を日本語で書くと
父は病気で寝ている
となって、語と語の間に空白が入りません。世界で最も体系的に作られているハングルも、世界で最も簡素な文字体系のローマ字も、イスラム文化圏で通用しているアラビア文字も、すべて文章を書く時には、語と語の間に空白を入れて書く必要があります。同じ種類の文字が続くために、語の切れ目が分かりにくいからです。それに対して、漢字かな交じり文は、異種類の文字で構成されるために、切れ目を入れなくても、一目瞭然。さらに、句読点を併用すればわかりやすいことこの上なしです。」
このことを受け売りで私が自慢すると、表音文字の国から来た人(例えばフランス人とか)は「なるほど、なるほど」と感心してくれるが、表意文字の親玉、中国から来た人には、感心してもらえない。中国語も語と語の間に空白は要らない。
そこで、もうひとつ頑張って自慢するために、「ほら、漢字だけ見れば、大体の情報が取れるでしょう」というと、「それは私たちも日本語を読むとき、いつもやっていることだ。漢字がますパッと目に入ってくるから、それだけで意味が取れる。なら、なんで平仮名・カタカナの必要があるのか」というので、
「平仮名のところは、大体、昔からの日本人が話していた日本語の音をあらわすためにどうしても漢字では書きにくいから日本人が考えたものだし、漢字のところは大体、お宅の国からそのままお借りしたものだし、カタカナのところは、外国から取り入れてそのままになっている言葉なの。こうして由来をはっきりしておくと、いろいろ便利でしょう。パソコンの管理だって、ファイルを作って整理分類しているでしょう。それと同じことよ」
といって、難を逃れることにしている。厳密に言うと、例外もあるだろうが、分かりやすく説明するためには、時には敢えて誤解を恐れないというのが、どの語学教師でも要なのである。
ところで韓国は、世界の韓流ブーム・ハングルブームに応えて「世宗学堂」を2015年までに世界中に500店舗展開するそうである。世宗とはもちろんハングルの創始者。できたら私も通いたいと思っている。中国語ではすでに孔子学院というのが、世界的展開を見せていて、私も微々たる学費を納めたことがある。
隣の国では、世宗・孔子という強いリーダーシップを持つ人物が、そのネームバリューによって、世界的にアピールできるが、日本語の学校を世界的に展開するためには、いったい誰の名を冠すればいいのだろう。
平仮名・カタカナの創始者は、よく分からないようだし。