ことば咀嚼日記

日々読んだ活字を自分の頭でムシャクシャ、時にはゴックン、時には、サクサク咀嚼する日記

Kさんの目が丸かった

2013-10-26 | 日記
先月から入院しているK姉のところに行きました。Kさんは亡くなった父と同い年です。Kさんがお元気の時は、よくお家に遊びに行かせてもらいました。遊びに行く時は、玄関からではなく、道に面しているKさんの部屋の窓をトントンとノックすると、Kさんが窓から顔を出してくださるのです。
これには、別の友人の失敗談があって、彼女がKさんの家に行く時、私のやり方をまねたところ、一筋違う道に面した家の窓をノックしてしまい、知らないおじさんが「何ですか」と出てきたので死ぬほど驚いたと言っていました。
さてKさんは行くといつも紅茶と小さいチーズを出してくださり、大学ノートにぎっしりと書いた聖書の引用をみせてもらいながら、たくさん聖書の話をしました。私は自分の書いた俳句と和歌山の甘いミカンをよく持って行きました。二人とももと文学少女なので、とても話が合いました。帰りには時々、Kさんが箱で注文している赤玉ワインの小瓶をおみやげにいただきました。
今日はKさんのところに河野進氏の詩集『ぞうきん』を持っていきました。これは私が今、一番気に入っている詩集で、仕事にもよく使っています。
Kさんは目をまん丸にして詩集を見て、喜んでくださいました。その目があんまりまん丸だったので、私も思わすまん丸の目でじっと見てしまいました。
Kさんは、もうすぐ家に帰れると言っていましたが、それはとても難しいと、お家の方から聞いていたので、ちょっと寂しいです。