ことば咀嚼日記

日々読んだ活字を自分の頭でムシャクシャ、時にはゴックン、時には、サクサク咀嚼する日記

一番星のような気持ちで

2013-11-09 | 日記
谷川俊太郎の詩を読んでいて、悔しいぐらい、「わかる!」と思ったことは何回もあるが、今回もまたそう思わされた。この人、なんで占い師よりも私のことをこんなに言い当てるのだろう、と思った。
詩が売れているということは、きっとたくさんの日本人が「言い当てられた!」思ってるのかもしれない。
前回は、手の関節の痛みが2年以上続いて、両手の中指と、右手の親指と人差し指が動かなくなったときに読んだ「手とこころ」という詩。
その時、「手」とか「指」の痛みに関心が向いていて、俳句を始めたきっかけも「手の痛み」を詠むことで何とかそこから逃れたかったからかもしれない。2011年の初春に、最初に作った俳句が「指広げ雪受け止めるアロエの葉」だった。あの冬は雪が多かった。
谷川俊太郎の「手と心」の中で、覚えているフレーズは「・・・・手がひどく叩かれる  手はときに早すぎる 心よりも」という最後の部分。ここを読んで、まさしく言い当てられた、と思った。その時やることが多すぎて、心が参っていた時期だった。心より早く何かを片付けようとした焦りというか、迷走状態を言い当てられたと、思った。
今回読んで、またハッとした詩は「捨てたい」という詩だ。


私はネックレスを捨てたい
好きな本を捨てたい
携帯を捨てたい
お母さんと弟を捨てたい
家を捨てたい
何もかも捨てて
私は私だけになりたい

すごく寂しいだろう
心と体は捨てられないから
怖いだろう 迷うだろう
でも私はひとりで決めたい
いちばんほしいものはなんなのか
いちばん大事なひとは誰なのか
一番星のような気持ちで



最後の「一番星のような気持ちで」というところが素敵だ。
空に一番星が出る時の孤独だけれど、すっきりした迷いのない感じは、捨てないとダメなのか・・なぁ・・・