〘 ルネサンス以来、西洋音楽は、私たちも慣れ親しんでいる「ドレミファソラシド」の音階に基づいて展開される「調性」の原則で作られてきた。
ここでは「ドミソ」「ファラド」「ソシレ」といった協和音こそが、音楽に安定感や終止感をもたらす響きであった。不協和音は、調という脈絡から逸脱するダイナミックな効果として正当化されたけれども、元の調への復帰か、あるいは新しい調への指向(転調)かによって解決される必要があった。
しかし十九世紀のロマン派音楽では、不協和音のより自由な使用により、調性の輪郭は拡大され曖昧になる。二十世紀に入ると調性の崩壊はさらに推し進められ、オーストリアの作曲家シェーンベルクは一九〇八年に「弦楽四重奏曲 第二番」の終楽章で、ついに調性体系の主音(ドレミファソラシドのドに当たる音)が判別できない「無調」に到達した。しかし調性の否定は、それに立脚していたあらゆる作曲技法の否定を意味し、作曲の実践をきわめて困難なものにした。
徹底的な解体の次にやってくるのは、新しい秩序づくりである。当時、多くの作曲家が、一オクターブに含まれる十二の音(ピアノの白鍵と黒鍵を順に数えると、ドから次のドまでに十二の音がある)に新しい秩序を与えようと試みた。中でも大きな影響力をもったのが、シェーンベルクが一九二一年に案出した「十二音技法」である。
十二音技法は、十二の音のすべてを重複のないように一回ずつ用いて並べたセリー(音列)をあらかじめ作っておき、それを音楽の旋律的・和声的な基礎とするものであった。…
…水戸芸術館で三月二十一日に開催する「パトリツィア・コパチンスカヤ ヴァイオリン・リサイタル」では、シェーンベルクとその弟子ウェーベルンの十二音技法による作品が、ベートーヴェンの二つのヴァイオリン・ソナタと共に演奏される。ぜひ、お聴きいただきたい。
チケットの予約や問い合わせは水戸芸術館チケット予約センター=電029(231)8000=へ。(水戸芸術館音楽部門芸術監督・中村晃)=毎月第三日曜日掲載 〙
〘 ベルリンを拠点とするヨーロッパ室内楽界の「王者」ノトス・カルテットが東海市芸術劇場の多目的ホールに登場する。洗練されたスケールの大きな音楽を間近で楽しもう。出演は、ノトス・カルテット(ピアノ四重奏)。プログラムは、〜シェーンベルク・エフェクト〜 ブラームス(タルクマン編曲ピアノ四重奏版):交響曲第3番ヘ長調Op.90 ※日本初演、シェーンベルク:弦楽三重奏曲Op.45 ほか。未就学児入場不可。
- 2023年4月7日(金)
19:00〜 - 開場18:30
- 東海市芸術劇場 多目的ホール
愛知県東海市大田町下浜田137番地1F - 有料
入場料:一般3,000円、小中高生1,000円 割引価格:一般2,700円、小中高生900円 ※割引はユウナルフレンドメンバーズプラチナ会員が対象 - 公共交通:名鉄「太田川」駅南改札口すぐ
車:西知多産業道路「加家」ICまたは「横須賀」ICより約2km(約5分) - あり 140台
30分未満:無料、30分以上24時間未満:30分ごとに100円(上限2,000円)、24時間以上:30分ごとに100円(上限2,000円・24時間毎に適用) - 0562-38-7030(東海市芸術劇場 文化芸術課)
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- イベント備考
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