久々の投稿になりますね。
先日の竜王戦挑戦者決定3番勝負第2局▲丸山忠久九段対△久保利明棋王・王将戦。
ゴキゲン中飛車対超速パターンC(△3二金・連結重視型)から
久保二冠が工夫を見せたものの完封されてしまいました。
A図の△3六龍に▲2四角成なら△5四飛が研究手の様で、
持ち駒の銀を使わせれば遊ばせて駒の効率で勝負形。
しかし、▲4三銀不成が△5四飛を防ぎつつ歩切れを解消する好手で、
最後はこの銀が美濃囲いの金と交換になり後手は受けに窮しました。
内容はゴキゲン中飛車の完封負けでしたが、この形はまだまだ工夫が可能であると私は思います。
例えば、3つアイデアがあったとして、下のパターンBとCを使い分ける事でアイデアも2倍。
つまり、6通りのアイデアが生まれると言う訳です。
事実、パターンCでは△7一玉型である為角のラインを気にする必要があって使えない変化もありますし、
パターンBでは▲4二飛などが王手になって2二に配置された駒が取られてしまう場合もあります。
今回は、前述の久保新手とパターンB(△3二金・囲い保留型)を組み合わせて
ひとつのアイデアを示したいと思います。
パターンBとCを使い分ける参考例になればと思います。
******************************************************************************************
パターンBからの指し手
▲6八銀△4二銀▲4五銀△2二角▲2四歩△同歩▲3四銀△5一飛(第1図)
◇▲4五銀の仕掛け
▲6八銀は次に▲7七銀~▲6六銀で5五の歩を狙っています。
ここで後手には2通りの方針があり、ひとつは▲7七銀の瞬間に△5六歩と「捌く」。【パターンD(△3二金・待機型)】
もうひとつが5五の「位を守る」です。
△4二銀に▲7七銀は、△5三銀▲6六銀△4四銀(B図)で旧式の▲3七銀急戦に合流するのが一例。
これが「位を守る」という方針です。
旧式の▲3七銀急戦は過去に記事を書いているので参照頂けると幸いです。
しかし、△4二銀と上がった瞬間は▲4五銀の仕掛けが生じます。
△3一銀型では成立しないのですが、詳しくはライバルに勝つ最新定跡がとても詳しいので参照頂ければと思います。
最後の△5一飛が久保新手。
飛車の利きで桂馬に紐が付いている意味があります。
過去の実戦例(類型含む)では△5四飛、△3三銀がありましたが後手が芳しくないのが現状です。
第1図からの指し手
▲2四飛△3三銀▲2三歩△2四銀▲2二歩成△同金▲4二角(第2図)
◇定跡の受け
▲2四飛はこうするところでしょう。
△3三銀は部分的に定跡化された受けで、△5一飛▲2四飛を入れていない進行で
△3三銀▲2三歩△3一角(以下は書籍参照)が定跡になっていますが芳しくないのが現状。
△3三銀に▲同銀成は△同角で2一の桂に紐が付いているのが久保新手△5一飛の効果。
そこで▲2三歩ですが、△3一角は▲3三銀成△同金▲2七飛くらいで先手が指せる。
これは次に▲2二銀が厳しい。
▲4二角の局面は左の金銀がそっぽに行き、飛車銀両取りで厳しい様に思えますが、
飛車角交換で捌け気味とも取れそうです。
そっぽの金銀が1つでも捌ければ優位に進められそうです。
まずは、第2図から▲丸山忠久九段対△久保利明棋王・王将戦の様に進めてみましょう。
第2図からの指し手①
△2七飛▲2八歩△4七飛成▲5八金右△3六龍(第3図)
◇銀取りを受ける△2七飛
△2七飛は銀取りを一時的に受けた手。
というのも、続く▲2八歩を△同飛成とすると▲5一角成△同金▲5五角(C図)と、
①壁角を解消し、②守りの金を引き離し、③龍金両取りを掛けられてしまうので、
金取りに△4七飛成とするよりない為です。
▲5八金右に△4九龍はあるかもしれませんが、攻めが細いのでここでは検討しません。
△3六龍にパターンCでは▲2四角成は危険でしたが…。
第3図からの指し手
▲2四角成△5四飛▲2五馬△3四飛▲3六馬△同飛▲4二飛(第4図)
◇王手金取りで失敗
▲2四角成△5四飛には、▲2五馬が好手で、銀を取り返しても飛車を渡してしまうので▲4二飛が激痛になり失敗です。
なので、久保二冠はパターンCでの進行を選んだ訳です。
しかし、冒頭で述べたとおりパターンCも▲4三銀不成でうまく行かないので、第2図に戻って工夫したいと思います。
第2図からの指し手②
△5四飛▲2四角成△2七飛▲3五馬(途中図)△2九飛成▲4三銀不成△7四飛▲5九金右△7六飛▲7七銀△7四飛(第5図)
◇銀取りを掛ける△5四飛
△5四飛と銀取りに浮くのが私の研究手。
先に銀を取らせてから△2七飛で馬桂の両取り。
途中図を良く見て下さい。
もしこれが、パターンCであればD図の様に王手で切り返されて失敗に終わるところです。
以下は、だいたいこう進むであろうと言う一例です。
最終第5図はどう攻めるか難しい局面ではありますが、互角ではないでしょうか。
△7四飛に▲8五銀と打たれるのが気になりますが、△1四飛と逃げれるので簡単には死にません。
久保新手は負けたとは言え、△3二金・△4二銀型の可能性を見せてくれたという意味で
とても価値の高い一局であったと思います。
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ゴキゲン中飛車超急戦研究 第1章
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先日の竜王戦挑戦者決定3番勝負第2局▲丸山忠久九段対△久保利明棋王・王将戦。
ゴキゲン中飛車対超速パターンC(△3二金・連結重視型)から
久保二冠が工夫を見せたものの完封されてしまいました。
A図の△3六龍に▲2四角成なら△5四飛が研究手の様で、
持ち駒の銀を使わせれば遊ばせて駒の効率で勝負形。
しかし、▲4三銀不成が△5四飛を防ぎつつ歩切れを解消する好手で、
最後はこの銀が美濃囲いの金と交換になり後手は受けに窮しました。
内容はゴキゲン中飛車の完封負けでしたが、この形はまだまだ工夫が可能であると私は思います。
例えば、3つアイデアがあったとして、下のパターンBとCを使い分ける事でアイデアも2倍。
つまり、6通りのアイデアが生まれると言う訳です。
事実、パターンCでは△7一玉型である為角のラインを気にする必要があって使えない変化もありますし、
パターンBでは▲4二飛などが王手になって2二に配置された駒が取られてしまう場合もあります。
今回は、前述の久保新手とパターンB(△3二金・囲い保留型)を組み合わせて
ひとつのアイデアを示したいと思います。
パターンBとCを使い分ける参考例になればと思います。
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パターンBからの指し手
▲6八銀△4二銀▲4五銀△2二角▲2四歩△同歩▲3四銀△5一飛(第1図)
◇▲4五銀の仕掛け
▲6八銀は次に▲7七銀~▲6六銀で5五の歩を狙っています。
ここで後手には2通りの方針があり、ひとつは▲7七銀の瞬間に△5六歩と「捌く」。【パターンD(△3二金・待機型)】
もうひとつが5五の「位を守る」です。
△4二銀に▲7七銀は、△5三銀▲6六銀△4四銀(B図)で旧式の▲3七銀急戦に合流するのが一例。
これが「位を守る」という方針です。
旧式の▲3七銀急戦は過去に記事を書いているので参照頂けると幸いです。
しかし、△4二銀と上がった瞬間は▲4五銀の仕掛けが生じます。
△3一銀型では成立しないのですが、詳しくはライバルに勝つ最新定跡がとても詳しいので参照頂ければと思います。
最後の△5一飛が久保新手。
飛車の利きで桂馬に紐が付いている意味があります。
過去の実戦例(類型含む)では△5四飛、△3三銀がありましたが後手が芳しくないのが現状です。
第1図からの指し手
▲2四飛△3三銀▲2三歩△2四銀▲2二歩成△同金▲4二角(第2図)
◇定跡の受け
▲2四飛はこうするところでしょう。
△3三銀は部分的に定跡化された受けで、△5一飛▲2四飛を入れていない進行で
△3三銀▲2三歩△3一角(以下は書籍参照)が定跡になっていますが芳しくないのが現状。
△3三銀に▲同銀成は△同角で2一の桂に紐が付いているのが久保新手△5一飛の効果。
そこで▲2三歩ですが、△3一角は▲3三銀成△同金▲2七飛くらいで先手が指せる。
これは次に▲2二銀が厳しい。
▲4二角の局面は左の金銀がそっぽに行き、飛車銀両取りで厳しい様に思えますが、
飛車角交換で捌け気味とも取れそうです。
そっぽの金銀が1つでも捌ければ優位に進められそうです。
まずは、第2図から▲丸山忠久九段対△久保利明棋王・王将戦の様に進めてみましょう。
第2図からの指し手①
△2七飛▲2八歩△4七飛成▲5八金右△3六龍(第3図)
◇銀取りを受ける△2七飛
△2七飛は銀取りを一時的に受けた手。
というのも、続く▲2八歩を△同飛成とすると▲5一角成△同金▲5五角(C図)と、
①壁角を解消し、②守りの金を引き離し、③龍金両取りを掛けられてしまうので、
金取りに△4七飛成とするよりない為です。
▲5八金右に△4九龍はあるかもしれませんが、攻めが細いのでここでは検討しません。
△3六龍にパターンCでは▲2四角成は危険でしたが…。
第3図からの指し手
▲2四角成△5四飛▲2五馬△3四飛▲3六馬△同飛▲4二飛(第4図)
◇王手金取りで失敗
▲2四角成△5四飛には、▲2五馬が好手で、銀を取り返しても飛車を渡してしまうので▲4二飛が激痛になり失敗です。
なので、久保二冠はパターンCでの進行を選んだ訳です。
しかし、冒頭で述べたとおりパターンCも▲4三銀不成でうまく行かないので、第2図に戻って工夫したいと思います。
第2図からの指し手②
△5四飛▲2四角成△2七飛▲3五馬(途中図)△2九飛成▲4三銀不成△7四飛▲5九金右△7六飛▲7七銀△7四飛(第5図)
◇銀取りを掛ける△5四飛
△5四飛と銀取りに浮くのが私の研究手。
先に銀を取らせてから△2七飛で馬桂の両取り。
途中図を良く見て下さい。
もしこれが、パターンCであればD図の様に王手で切り返されて失敗に終わるところです。
以下は、だいたいこう進むであろうと言う一例です。
最終第5図はどう攻めるか難しい局面ではありますが、互角ではないでしょうか。
△7四飛に▲8五銀と打たれるのが気になりますが、△1四飛と逃げれるので簡単には死にません。
久保新手は負けたとは言え、△3二金・△4二銀型の可能性を見せてくれたという意味で
とても価値の高い一局であったと思います。
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ゴキゲン中飛車超急戦研究 第1章
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使えない事は無いと思います。
相手は急戦に来ているので足止めして穴熊で
固さ勝負という考えです。
ただ、位取りされながら飛車を責められる事を考えると
旧式の▲3七銀急戦定跡でも十分かなとは思います。
△3二銀型は△7二玉型なら有力ですが
先手の変化が多いので準備していないと大変です。
14歩~だと44銀の相殺形にできれば後手も面白いと思います。
後、54飛車~の新手はやっぱり相手の厚みに対して相性が悪いので大変でしょうね。
1つ聞きたいのですが、32銀形の急戦は現状どんな感じなのですか?
プロ棋界のほとんどの人が研究している形なので
どんどん対策が進んでいますね。
私の新手△1四歩は見向きもされていませんが、
プロでは1手でも無駄にできないと言う考えで
使う人はいないかもしれませんね。
でも、アマレベルでは知らない人に一泡吹かせる
事も可能ではないかと思います。
超速がもし先手良しになったとしても、
超力戦もありますし、5五の位取りが本当に必要か
見直されるのではないかと予想しています。
ゴキ中もさらに進化しましたね。
14歩新手も無駄手になりそうですか・・
これから、どう変化していくか楽しみですね。