３か月ぶりの再会

　昨日、都内で桜が咲いた。ここ数日は暖かい日が続いた。寒の戻りがあるが、季節は完全に春だ。

　昨日は彼女と会った。昨年末にデートのドタキャンと未読スルーされた。一ヶ月前に彼女からラインが来た。

　３か月ぶりのデートだったが、彼女は少し太ったが相変わらず可愛らしかった。再会して開口一番「最近疲れちゃって…」と言っていた。

　疲れの原因はクラゲ男とのデートらしい。詳しくは書けないが、クラゲ男にとってはショックだった。

　色々話した。破局ではなく、彼女にとっては少し距離を置いていたつもりらしい。彼女はクラゲ男との結婚を視野に入れているみたいだ。

　それから彼女から一ヶ月以上遅れてのバレンタインチョコを貰った。

「女ノ心ハ複雑ニシテ怪奇ナモノナリ…」

　彼女と別れてからの帰り道、こんな言葉が頭の中で渦巻いた。

役人心得

　クラゲ男は市役所で働いている。かれこれ10年近くになる。

　仕事柄、建設会社の担当者と関わりが多くなる。クラゲ男も最初のうちは公務員と業者の関係であったが、在籍年数が長くなると、彼ら業者たちとの関係は馴れ合いになってしまう。

　もちろん、役人として業者との関わりは自重していたが、やはり気安い関係になってしまう。さすがに袖の下をもらったりするなど利益供与は無かったが、ある種の緊張感がなくなった。

　先日、建設会社の宅地造成計画に対して住民の反対運動が起こった。

　件の建設会社の代理人はクラゲ男と仕事上の付き合いが長い人物だった。

　窓口で彼と話すと…というよりは、付き合いの長い業者とは、みんな気安くなる。

　その代理人とは世間話をしただけだが、なぜか反対住民の間でクラゲ男が業者と馴れ合いの関係の上で建設会社に有利になるような計らいをしているという事実無根の噂が流れた。

　上司に詰問された。もちろん「そんなことはありません。」と毅然と答えた。しかし、確信はなかった。

　クラゲ男は人と話すことが好きだ。

もしかしたら例の代理人にポロッと住民の信頼を失うことを言ったかもしれない…？

　市議会議員を巻き込んだ住民運動が起こっている状況で、建設会社の肩をもつような言動があったとなれば、クラゲ男に重大な責任問題が生じる。

　結局、身の潔白が証明されそうだが、一歩間違えたら上司だけでなく、住民や市議会議員から糾弾されていたことだろう。

　この時ほど、「懲戒処分」を意識したことはない。

　この出来事を教訓に「業者とは節度もって接しよう」と思った。

水曜日 午後５時 東京大神宮

深大寺で束の間の散策を楽しんだ後、クルマを東京大神宮へ走らせた。

東京大神宮は縁結びの神社で有名だ！

クラゲ男は、去年の12月まで会っていた彼女とずっと会っていないので、気休めに東京大神宮へ行くことにした。

近くにクルマを止めて神社へ向かう途中で、占い師に見てもらうことにした。

まず、クラゲ男と彼女の相性は、まずまずらしい。一緒にいてストレスは感じないし、楽しい間柄であるとのこと。

ただ、彼女はせっかちな性格でどんどん結婚に向けてスムーズに物事を進めたいタイプらしい。

言われてみれば思い当たるフシがある。

そして、クラゲ男に対して昨年の12月から2ヶ月間未読スルーだったのは、結婚に対してノンビリ構えているクラゲ男に嫌気をさして、婚活パーティーにあちこち参加し、他の男性と会っていたから…ということだ。

ちょっとビックリしたが、そこまで意外ではなかった。

ただ、他の男(少なくとも３人以上)
とカップリングしてデートしたりしたが、やっぱりしっくりいかないので、クラゲ男に連絡してきた…というのだ。

これを聞いて少し複雑な気分になった。

占い師はさらに続ける「彼女は、あなたと連絡を絶ってから出会った男性の一人と続いているみたいです。ただ、クラゲ男さんのような決定打に欠けるみたいで、迷っているみたいです。」

「実は先日、三連休の日曜日にご飯に誘ったんですが、既読スルーなんです。どうすれば良いですか？」と尋ねると、「様子を見ましょう」と答えてくれた。

復縁への道程は長そうだ。

大神宮で引いた恋みくじは大吉だった。

果たして、どうなることやら。

水曜日 午後３時 深大寺

　今日は仕事を休んだ。ハードワークで疲れているのだ。どうせ、土曜日は休日出勤するので思いきって休みをとった。

　いつもと違うことがしたかったので、朝１０時からBSで2時間ドラマの再放送を観た。クラゲ男は2時間ドラマが大好きだ。

　立て続けに2本を観た。時計を見ると２時少し前だった。窓を開けると上天気だったので、深大寺へドライブに行った。

　高速を使うと１時間で着く。そこは都内とは思えないほど自然豊かで情緒のあるところだった。

こんな風情のある坂道は大好きだ。

足を伸ばすと「自由広場」がある。

こどもたちが遊んでいた。

学校が終わってからみんなでサッカーをしているみたいだった。

小学生の男女が仲良くボールを追いかけていた。

着いた時間が午後３時なので、何となくのんびりした空気が流れていた。

都内なのに空気が旨かった。

小一時間ほど散策をした。

日が大分延びてきたので、帰るには早すぎるな…と思って、ある場所にクルマを走らせた。

　　　　　　　　　　　　　　つづく