女ひとり、歳をとる。

お金なしの60代、犬2匹と同居中。

自分で決める人。

2021-07-22 23:07:22 | 映画

 

きのう『やすらぎの森』を観ました。

カナダの森に年老いた男性3人が、別々の簡素な小屋で、

それぞれの犬と共に静かに暮らしています。

結婚や仕事などの社会生活になじめずに、この森に辿り着きました。

心臓が悪かったテッドが亡くなり、そこへ80歳の女性がやってきます。

60年間、親族によって精神療養施設に入れられていた彼女は、

強い薬や電気ショック、身体拘束、

今までのそんな自分の本名を捨ててマリーを名乗ると宣言します。

マリーに同情したチャーリー、

厄介なことに関わりたくないと困惑するトム。

そして、マリーの甥スティーブ、女性カメラマンのラフが絡んで、

ストーリーは淡々と進んでいきます。

 

生前のテッドとチャーリーとトムには約束がありました。

自分の死は自分で決める、そのため3人は小さな小瓶を用意していました。

その小瓶には青酸カリが入っています。

そのときは、自分の犬も連れて行くと決めていました。

そして、近くの森林が火事になり、避難しようとしますが、

トムは弱ってきている自分の体では、この冬は越せないと言って、

死を選ぶと告げ、チャーリーと一緒に自分の墓穴を掘り、

自分の犬と穴に入り青酸カリを飲み息絶えます。

このシーンはとても辛かった・・・。

残されたチャーリーとマリーは共に新しい暮らしへ向かいます。

 

世の中の常識や決まりと自分の気持ちや人生観が違うこと、

そのことで苦しんだり悩んだりした主人公たちの気持ちが、分かる気がします。

器用に生きられない、素直に他人と接することができない、

それはわたしも同じ、森の中で暮らせる彼らをうらやましいと思います。

就活を始めようと考えてはいるものの、

ひとりの気楽さが日に日に増してきています。

犬の散歩でさえ、人と会わなかったときはすごくリラックスできます。

また組織の一部となって、上司や同僚と渡りあうことに気が重くなっていますが、

このまま社会との繋がりがなくなってしまうのではないのかと、不安もあります。

 

先月観た映画『ブラックバード 家族が家族であるうちに』も、

主人公の難病の女性が、家族に見守られながら自死します。

自分の死を自分で決める、その潔さ、その寂しさ、その悲しさ。

40年前の妹も決意して実行しました。

あの子の気持ちをどれだけ分かってあげられたのか・・・、

代われるものなら代わってやりたかった・・・、

残された者にとって、きのうのようなあの日です。

 

映画の前に『おかめ』で蔵王あんみつを食べました。

わたしはおいしいものを食べるために、

まだまだ、生きていたいと思います。