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『水戸黄門』の間の番組が現代劇になったことによる影響

2011-10-10 02:28:00 | 21世紀~未来


水戸黄門終了に一言物申す! - 今日もがんばろっっ! - Y!ブログ

ここである高齢者が、『水戸黄門』の合間のドラマが現代ドラマになったことで、『水戸黄門』のないときのナショナル劇場を観なくなり、『水戸黄門』が始まっても観なくなったという報告がある。また、ここで「野球の時期は、祖父が野球を見ていた」とある。そうなるとドラマを作っているテレビ局は、野球にまったく興味のない視聴者に向けて番組を企画するようになる。そういう視聴者層が若者を主人公とする現代ドラマを望むのなら、それが制作、放送される。プロ野球の季節にプロ野球のほうを観てしまうような視聴者を相手にしなくなる。これは当然の話だ。

『オール讀物』で春日太一氏が指摘しているように、『水戸黄門』の定番のシーンの繰り返し、マンネリは視聴者を月曜夜8時にテレビの前に向かわせ、TBSを観るように誘導する効果をもたらしていた。それは視聴者の生活パターンに『水戸黄門』を組み込むためで、『水戸黄門』の合間に『江戸を斬る』『大岡越前』といった似たような時代劇を放送することで視聴者をキープすることもそのために必要だったことがわかる。

そして『水戸黄門』の合間のドラマを現代劇にした改革がナショナル劇場から視聴者を離れさせる結果となったことがよくわかる。

1989年に松下幸之助が、1995年に西村俊一と逸見稔が他界し、1996年に個人視聴率の調査が導入され、時代劇の視聴者の大半が高齢者と判明。
民放各局は若者向けのドラマやバラエティを増産し、時代劇から撤退していった。

テレビ朝日も『八丁堀の七人』など、時代劇を続けてきたが、結局、撤退した。

間の番組が現代ドラマに
TBSのナショナル劇場では、『大岡越前』が加藤剛の高齢化で第14部(96)の次の第15部(99)で連続時代劇としては終わりを告げ(正式な終了は2006年のスペシャル版)、それと前後して『江戸を斬る』は里見浩太朗主演第2シリーズに当たる1994年の第8部(94)のあと、後継者が見つからなかったのか、これで終了。その後、由美かおるが主役の『水戸黄門外伝 かげろう忍法帖』(95)はなぜか単發で終了。のちに『水戸黄門』で助三郎役となる原田龍二が主演の『南町奉行事件帖 怒れ!求馬』(97~99)も続編の『大江戸を駈ける!』(2000~2001)まで3シリーズ続いたが、これを最後にナショナル劇場では『水戸黄門』の合間で時代劇に見切りをつけた。

2001年に『水戸黄門』第29部が石坂浩二主演シリーズになったとき、合間のナショナル劇場は『こちら第三社会部』から現代ドラマになった。里見浩太朗が光圀役になった2002年の『水戸黄門』第31部以降、合間は『こちら本池上署』(02~05)、『特命!刑事どん亀』(06)、『浅草ふくまる旅館』(07)、『あんどーなつ』(08)、『ハンチョウ~神南署安積班~』(09~)と現代ドラマが続いている。

松下電気にとって高齢者は重要な客ではない
90代の高齢者には気の毒だが、80代、90代の高齢者がナショナル劇場で松下電器のCMを観て、果たしてビエラのテレビやDIGA、カメラの愛情サイズなどを購入するであろうか。
松下電器にとって主な顧客のターゲットは40代以下、30代前後のようである。企業としては視聴者に商品を買ってもらうためにCMを出しているのであり、そのためにテレビ番組の制作に資金を提供しているのだ。番組を観ているのが高齢者だらけで、最新の家電が賣れないようでは、企業にとって「もとがとれない」のである。

時代劇が減った理由は、時代劇を主に高齢者が観ているからであり、購買力の強い若者にCMを観てもらわないと意味がない。
そうなると老人が今後、時代劇を見たかったら、有料の衛星放送かネット配信、あるいは観る者がカネを拂う映画で観るのが最善策だ。

ナショナル劇場から時代劇がなくなったのを嘆いている人は『水戸黄門外伝』や『怒れ!求馬』などの時代劇を観ていたのだろうか。
『水戸黄門』の視聴率低下の原因は、視聴者から見ればテレビ局のせいだが、テレビ局から見れば視聴者のせいであり、『水戸黄門』はTBSではなくパナソニックとC.A.Lが企画、制作していた番組であった。TBSにとって『水戸黄門』は「お荷物」であり、存続するかどうかも「ひとごと」なのであろう。

後番組は何がいいか
『水戸黄門』は1969年に始まったときは『七人の孫』のような現代ホームドラマが主流の時間枠にホームドラマ的時代劇として企画されたものだ。それが42年経過して現代ドラマ枠に戻っただけの話である。
今後のナショナル劇場では『水戸黄門』が放送してきた日本の傳統文化、各地の名産などを紹介する現代ドラマが必要になるだろう。
『あんどーなつ』や『浅草~旅館』のように日本の傳統文化を適度に傳える現代ドラマか、あるいは旅刑事物が適切であろう。
それにしても、NHKでやっている『神様の女房』は松下幸之助と妻の傳記であり、TBSのナショナル劇場でこれをやらないのは奇妙だ。
冒頭の大正時代の風景は和服の人も多く、半分は時代劇である。その点は『カーネーション』も同様だ。
明治時代の士族を描いた『るろうに剣心』も実写化されるようである。
今後は明治、大正を描いた作品も『時代劇』と見なしていいだろう。

ドラマと野球
日曜夜のNHK大河ドラマは長い間、他の時代劇と同様、中高年男性を主な「顧客」にしていたが、この層はプロ野球のシーズンにはその中継を観てしまう。
TBSが『水戸黄門』を放送してきた月曜はそのプロ野球チームの移動日に当たることが多く、野球中継でドラマが潰されることが少なかったようだ。
大河ドラマはプロ野球シーズンになると視聴率が5%減ると言われてきた。
そのジンクスが破られたのは、奇しくも時代劇に逆風が吹き始めた1996年の『秀吉』であった。
大河のスタッフは、野球を観てしまうような中高年のオジサン族に見切りをつけて、ドラマを観てくれる女性や若者に的を絞り始めた。その傾向は1980年代からあったが、21世紀になって強化されたようである。

「お年寄りが気の毒」を強調するのは逆効果
TBSとパナソニックにとって、高齢者は「お呼びでない」ということになる。
1996年以降、TBSにとっても松下電器にとっても『水戸黄門』を続ける意味は、なくなっていたのである。
それから20代、30代、40代の人が「90歳以上の祖母が『水戸黄門』を観なくなった」「老人ホームの人が『水戸黄門』を楽しみにしている」などと何百回言っても無駄である。それは所詮はひとごとであり、そう言っている20代、30代、40代の人たち自身が『水戸黄門』を積極的に観ないと意味がない。「祖母が『水戸黄門』を観なくなった」と言っている人はその「祖母」に『水戸黄門』の新シリーズが始まるときに情報を提供しているのかどうか。一緒に住んでいるのなら、若い世代が自分で『水戸黄門』を観るなり、高齢者に声をかけて誘うなり、工夫すればいいのである。
むしろ『水戸黄門』を高齢者が観ていることを強調すればするほどスポンサーは『水戸黄門』をやめようと思うだろうから、「高齢者が楽しみにしていた」ということを繰り返すのは、むしろ逆効果である。

新シリーズの情報は新聞、雑誌、ネットでわかる
『水戸黄門』の新シリーズはネットで随時、情報を観ていればわかる。高齢者はネットを観ないことが多いだろうが、パナソニックもテレビ局もネット世代に番組を観てもらいたいのだ。重要なのはCMで紹介するパナソニックの録画機などを買ってもらうことなのだから。それに毎日、新聞のテレビ欄を観ていれば新シリーズのスタートがいつかわかるはずである。

選擇肢の廣がり
高齢者だからといって『水戸黄門』を楽しみにしているとは限らず、東野英治郎の時代がいいと言って里見浩太朗シリーズに見切りをつけている人、地デジ化で別のチャンネルを観るようになった人もいるだろう。
それから『水戸黄門』にとって失った視聴者を呼び戻すのと、今まで観なかった層に観てもらうことは方向性が違うのに、制作者がその二兎を追って一兎も失ったことが大きいのだろう。

里見黄門も9年続けば充分
石坂浩二の起用はその「今まで観なかった層」を狙うのに有効であった。もし石坂版が9年、10年続いていたら新境地を開拓した可能性もあったが2年足らずで終わったのは残念である。
里見浩太朗のシリーズも9年続いたことを考えれば結果としては成功で、それこそ役割をおえたと言えるだろう。むしろ石坂黄門時代の改革があったから、21世紀以降も『水戸黄門』が10年間継続したのだろう。
時代が変わったというのは確かだがその原因を作ったのは民放が時代劇から撤退したせいである。その原因は高齢者の購買力が低いからと、ナショナル劇場の時代劇の視聴率が下がったから、つまり視聴者が観なくなったからである。

今後は定番でなく先の読めない人間ドラマが支持される
春日氏が指摘しているように、時代劇のレギュラー枠がなくなったことで、視聴者は『鬼平』でも『JIN-仁-』でも視聴者は一日または短期間の時代劇の放送を待って気合を入れて観るようになった。また、映画では時代劇の新作が毎年出ている。そういう時代劇の新作はこれまた雑誌やネットをチェックしていればわかる。毎週、毎日、今った時間に時代劇をダラダラ観る時代ではなくなった。『水戸黄門』終了は「毎週、決まった時間にテレビで観る時代劇」が民放の地上波から消えただけの話である。テレビ局がそういう時代を作り、視聴者もそれに合わせて変化したわけで、まさに時代の趨勢である。

問題は制作者の側も視聴者の側も『水戸黄門』打ち切りや連続時代劇(民放の地上波)の減少の原因が自分たちにもあることを自覚しているかどうかである。「ただ、何だかわからないうちに世の中が変わってしまった」というわけではないのである。そうなった原因は自分にもあるということだ。

『水戸黄門』の時間にパナソニックのCMは効果があるか
『水戸黄門』のファンだった人が『水戸黄門』の合間の番組を観なくなった場合、『水戸黄門』のほうも意図的に観なくなったのでなければ、『水戸黄門』の新シリーズが始まっても気づかない人も多くいただろう。しかし、それなら『水戸黄門』の途中や前後で松下電器が宣傳しているDIGAのような録画機を買って録画すればいいことだ。録画装置に「水戸黄門」のキーワードを入れて自動的に録画してもらうことも技術的に可能なはずだ。

また、定年前の働き盛りで夜8時だと帰宅中で観られない人も多いだろう。そういう人も録画で観ればいいことだ。つまり『水戸黄門』の視聴者に松下電器の家電がきちんと宣傳されているかどうかが問題である。例えば松下のCMの中に『水戸黄門』の映像を入れて「『水戸黄門』を録画していつでも観られる」という宣傳をしてもよさそうなのが、過去に本放送を観た限りではそういうCMは観た記憶がない。

松下電器のCMは『水戸黄門』の間にあっても『水戸黄門』を観ている視聴者を想定して作られてはいない。レギュラー出演者は松下電器のCMに出演していない。ただ機械的にいつものCMを流しているように見える。
今や松下電器にとって『水戸黄門』の視聴者の大半は宣傳の対象外なのだろう。

『大岡越前』は30年か40年か - 虚実ヒストリー~ものがたりの歴史~ - Y!ブログ
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