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満洲の悲劇(『赤い月』『大地の子』)、Gegen廟事件

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2008/9/14(日) 午後 7:24
満洲の悲劇(『赤い月』『大地の子』)、Gégēn廟事件

 1945年8月15日の「終戦」前後における満洲に関しては『赤い月』、『大地の子』など、記録がたくさんある。
 『大地の子』では、日本軍に家族を殺された中国人が、中国に残された日本人に濡れ衣を着せて、罠にはめていた。これは拉致や核問題を口実にした朝鮮人いじめと同質である。人間を所属する「国家」でなく、「個人」、「地球人」として見るべきである。日本人も中国人もそれを肝に銘じるべきであろう。
 「国家」が幻想で「個人」が実態であれば「国家の責任」など存在しない。それはすべて「個人の責任」になる。地球人を「日本人」、「中国人」のように国家で分類して好き嫌いの対象にするのは、グローバル社会に反する。中国製の食べ物が日本で問題になるが、中国国内では会社と消費者の関係である。日本での食品偽装も国外では日本製品全体への不信につながりやすい現代人はまだまだ「国」でものごとを考えるからである。

Gégēn廟事件
 Gégēn(葛根)廟事件では、満洲で日本人がソ連からの攻撃を受け、多くの日本人が殺されたらしい
 Gégēnはモンゴル語のГэгээн(=Gegeen)で「高貴な」という意味。これを「カッコン廟」などと呼ぶと、地名の意味が破壊される(田中克彦『名前と人間』岩波新書参照)。その「日本人」の中には朝鮮人もいたかも知れない。ここで関東軍が日本国臣民を見捨てて逃げたことが批判されるのは当然だが、それならどうすれば関東軍が日本人を守れたか代案がない。逆に言えば、関東軍はソ連軍を全滅させるまで玉砕してでも戦うべきだったことになる。そうなると、反撃しても無抵抗でも相手が攻撃してくるなら、こちらに防ぐ手はなく、相手(ソ連軍)が悪いだけで、この件のロシア軍は『私は貝になりたい』で捕虜を殺した日本兵と同じ罪を背負うはずだ。しかし、この件に関して日本側からソ連(ロシア)の責任を追及する声はほとんどない。
 満洲での悲劇を繰り返さないためには、今後、自衛隊は中国東北を含む海外で、邦人(日本人)が被害に遭わないよう、世界各地で最後まで治安を守るべきだという結論になる。
 日本の反戦思想は、日本軍が戦っても、戦わなくても、被害に遭ったら日本政府と軍部が悪いというものだ。万年野党は代案がないので、批判のたびにコンセプトが変わる。

満洲は満洲族の土地
 満洲はもともと、高句麗や渤海など、シナとは別の国が存在した地域であり、そこはモンゴル、チベットも同様で、玄奘が旅したときを考えればわかる。満洲は現代中国の東北地方になったが、沿海州はロシア領のままである。20世紀前半の東アジアは、西に中華民国、東に満洲と台湾と朝鮮と日本列島の大日本帝国という、「東西朝時代」だったと言える。もし、韓国が旧大日本帝国領を受け継いで、旧高句麗や台湾、日本を領有して100年、200年たったら、満洲国への評価は違っただろう。それで、東アジアが統一したら、満洲国建国は国家統一への模索として歴史に記されるだろう。
 満洲国建国により、朝鮮民族は古代朝鮮の「北方領土」だった満洲を自国領にするチャンスを得ながら、日本の「敗戦」のときに、独立を選んだ結果、日本列島だけでなく満洲とも分断してしまった。それが冷戦開始の時代だったため、満洲や日本だけでなく、朝鮮北部と南部も分断(互いに独立)することとなった。
 「終戦」前後の満洲では大人が生き残るために子供を殺す非道極まる命令があった。沖縄でも同様である。別に戦争や軍隊のせいとは限らず(それが強化した可能性はあるが)、今の日本でも同じような犯罪が繰り返されている。
 『赤い月』の女主人公は「満洲国」を「人の土地に勝手に入り込んだ」と表現したが、それは結果として戦争に負けたから一般化した歴史観であり、中国の統一も「満洲国建国」と同じやり方でおこなわれた。今の日本企業が中国を「安い人件費」とだけ考えて勝手に中国で生産し、勝手に中国製品の評価を落としているのは、昔の満洲国と変わりがない。
 中国製品をすべて排除したがる人たちは、秀吉の朝鮮、明占領構想が実現していたら、また日本が満洲や台湾、朝鮮を併合したまま今に至っていたら、「水際で止める」ことができたかどうか、考えたほうがいい。

NHKドラマ『遥かなる絆』
『月刊ザテレビジョン』首都圏版2009年3/26~4/30号31ページによると4月18日から放送。別のテレビガイドでは全6回とある。1945年(昭和20年)、開拓団として城戸幹が満州(<満洲)に開拓団として渡ったが戦況の悪化で4歳で孤児に。そのむすめ・久枝が1996年(平成8年)に中国に留学。
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2009年3月27日

満洲がソ連から攻撃された時、日本の関東軍が現地邦人の保護をせず真っ先に逃げたことが批判されるが、では日本軍はソ連と戦って玉砕すべきだったことになる。そうなったら元兵士の遺族は「なぜ居留民と一緒に逃げなかったのか」と嘆いただろう。
tweet19:44 - 2013年9月22日
2013年9月22日

満洲がソ連から攻撃された時、日本の関東軍が真っ先に逃げたことが批判されるが、では日本軍はソ連と闘って玉砕すべきだったことになる。そして今の日本が教訓とすべきことは、自衛隊が海外で日本人をしっかり守れるよう法整備することだということになる。
tweet 19:45 - 2013年9月22日

葛根廟事件の「葛根廟」は中国語でGegen-miao、モンゴル語でГэгээн-сум、гэгээнは「明るい」という意味で高僧への尊称だそうです。
0:09 - 2018年8月12日

Y!Blog>満洲の悲劇(『赤い月』『大地の子』)、Gégēn廟事件
       
15:56 - 2018年8月12日

Y!Blog>満洲の悲劇(『赤い月』『大地の子』)、Gégēn廟事件  
2:15 - 2013年9月29日

Y!Blog>満洲の悲劇(『赤い月』『大地の子』)、Gégēn廟事件  
17:24 - 2014年1月12日

Y!Blog>漢字論原点回帰II>葛根廟(Gegen-miao)
20:21 - 2014年1月12日 
 

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関連語句

赤い月 満洲 満州 大地の子
葛根廟(twilog)
gegen miao #第二次世界大戦(twitter)
葛根 廟 葛根 廟 モンゴル語(twitter)

参照
Y!Blog>ものがたりの歴史II>アイヌ民族についてI
Y!Blog>ものがたりの歴史II>日本人と中国人の歴史観に関して(壱)
Y!Blog>ものがたりの歴史II>『霧の火―樺太・真岡郵便局に散った9人の乙女たち』

Y!Blog>漢字論原点回帰II>葛根廟(Gegen-miao)
T-CupBlog>漢字論原点回帰>葛根廟(Gegen-miao)   
T-CupBlog>漢字論原点回帰>根河市 
T-CupBlog>ものがたりの歴史>Гэгээн廟事件に関するラジオ番組 
T-CupBlog>ものがたりの歴史>2014年7月4日朝日新聞投書欄、集団的自衛権関連

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