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平成26年当時の『美味しんぼ』と『はだしのゲン』に関する話題、補足

『美味しんぼ』の作者が鼻血の描写で狙っている結果は「単行本売上倍増」か「福島への観光客減少」か「被災地訪問者で鼻血を出す人が増えること」だろうが、恐れているのは「不買運動で売上落ち込み」か「福島への観光客が増えて、みな何事もなく、鼻血描写が間違いだと証明されること」だろう。

もし今回の件で『美味しんぼ』の売上が伸び、この漫画のせいで福島への観光客が減っても、それは雁屋哲の狙い通りだろうし、あるいは観光客が増えても鼻血を出せば、これまた作者の狙い通りだろう。福島への訪問者が増えて何事もなく被災地を後にするケースが増えれば作品は嘘だったことになり、売上は減る。作者はそれを恐れているのだろう。

『美味しんぼ』で海原雄山は「国と東電は被災者に何の責任も果たしていない」と言っているようだが、雁屋哲も原発の恐怖をあおるだけで「風評被害」の責任を一切取っておらず、むしろ安倍首相が「根拠ない風評に国として全力で対応」(5/17産経電子版)としている意味で「国」が責任を取っている。逆に言えば雁屋哲「国」ではないから責任を取ろうとしないだろう。
反原発派は風評をあおるだけで、後は政府と東電に後始末を任せるだけなので、反原発が一番「無責任」で「気楽な稼業(運動?)」である。

『美味しんぼ』の論理で行くと『はだしのゲン』で被爆者を差別する人たちも、ゲンの敵も、結局は「責任は『国』『天皇』『アメリカ』」ということになる。
(『はだしのゲン』に対する批判で「ゲンは原爆を落としたアメリカを憎まず天皇をに悔いんでいる」というのがあるが、これは間違いで、ゲンはアメリカも批判の対象にしている。ゲンを批判する人はろくに作品を読まず、漫画を読み慣れていない人による雑誌などでの的外れな批判を鵜呑みにしているケースが多い)

雁屋哲は風評をひろめるのが目的ではないと言うが、それはそうだろう。なぜなら『美味しんぼ』のせいで福島に観光客が来なくなっても、雁屋哲にとってはそれは「風評」でなく「当然の判断」だからだ。雁屋哲は「福島に人が住んではいけない」と言っており、福島に観光に行くのを禁止して、逆に福島県民が全員外に避難すべきだと主張する。
だがそのための受け入れ態勢などについて雁屋哲は何もしないだろう。雁屋哲は自分の責任を棚に上げて「国と東電が悪い」と言うだけだから、避難者が苦労しても雁屋哲は「国と東電が責任を話していない」と言い続け、自分の責任を否定するのだろう。

一方、「鼻血は事実」とする人もいるらしい。では「鼻血が事実」なら何がどうだと言いたいのか。すると鼻血描写を信じて福島への旅行をキャンセルした人たちの行動は「正しい」わけで、「鼻血は事実」とする人たちは「福島に観光客は来なくていい」と考えているのだろう。すると被災地の自治体が『美味しんぼ』に抗議したのは「事実隠蔽による観光客誘致」を狙っていることになり、問題は政府や東電でなく被災地の知事や市長、町長などということになる。

「鼻血は事実だ」と言う人は「誰でも福島に住んではいけない」という『美味しんぼ』の論に賛成するのだろうか。結局、反原発派は原発の恐怖を叫ぶだけで、では誰が何をどうすべきか何も言っていていない。

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関連語句)
美味しんぼ

参照
〔『美味しんぼ(おいしんぼ)』の「山岡さんが福島に行ったら鼻血」描写に批判
2014/4/30 14:07
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