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『水戸黄門』終了と『半沢直樹』高視聴率

2011年7月15日ごろに『水戸黄門』の終了が決まった。実際の終了はその5箇月後の12月19日だった。
その報道の少し前、7月初めに毎日新聞の東京夕刊で第43部について脚本家が「勧善懲悪劇からの脱皮」と「庶民の美しさ、絆を描くこと」を目指しているという報道があった。
最終シリーズの一部の脚本を担当した脚本家・黒土三男は「予定調和の絵空事だと若者がウソっぽいと感じ、見なくなる」「時代劇こそ今を書けると思っている」と語っていた。

その後、8月に朝日新聞で「ご老公の威光通じぬ『時代』 だんらん消え視聴率1ケタも」という特集記事が掲載された。そこでは「現代劇では駄作と評されるような『先が読める』展開こそが水戸黄門の最大の売りだったと言える」とあった。つまり先が読める展開は現代劇では駄作だが時代劇のような「嘘っぽい」世界では許されたということだ。

ところが現代劇でも「先の読める」展開が支持されることもある。
必ず犯人が逮捕される刑事ドラマなどがその例だ。
警察官でない主人公が毎回「悪」を倒す現代ドラマの人気も衰えていない。
『半沢直樹』は「現代版水戸黄門」とされるが、これは『水戸黄門』終了の原因とされた「先の読めるパターン」「勧善懲悪」の人気が健在だということか。
それならTBSが「勧善懲悪」の時代劇を放送したら視聴率が10%に落ちて、現代劇でやって20%を超えたのであるから、テレビ関係者は「視聴者は時代劇を望んでいない」と判断するだろう。
勧善懲悪を時代劇でやって受けない時代になり、現代劇で受けたということは、『水戸黄門』は定番のパターンを時代劇でやったから飽きられたのであって、現代劇ならまだまだ人気ということだろう。

『半沢直樹』より『特命!刑事どん亀』や『ハンチョウ』にあった潜入捜査の方が『水戸黄門』に近い。
『水戸黄門』のスタッフは何度もマンネリ打破を試み、「印籠」「主人公が老人」「白髭」「由美かおるの入浴シーン」などの定番を省いたりしたが視聴者の抗議でそれらを完全に捨てることはできず、全国行脚の設定も捨てることはなかった。『半沢直樹』にはこの「印籠」「主人公が老人」「白髭」「入浴シーン」「全国行脚」のどのパターンも見受けられない。まだ浅見光彦シリーズの方が『水戸黄門』に近い。

少なくともテレビ界では『水戸黄門』を終了させたのは視聴者だという結論になっているだろう。

関連語句
水戸 視聴率
水戸黄門 勧善懲悪 脱皮(Y!Blog)

参照
『水戸黄門』と視聴率至上主義
Y!Blog>2011年『水戸黄門』終了関連記事、朝日
Y!Blog>『水戸黄門』終了に関する記事(「テコ入れ」と「打ち切り」表現について)
Y!Blog>水戸黄門の時間軸、光圀隠居後の10年とテレビ放送42年
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