星月夜に逢えたら

[hoshizukiyo ni aetara] 古都散策や仏像、文楽、DEAN FUJIOKAさんのことなどを・・・。 

二月大歌舞伎 夜の部「通し狂言 盟三五大切」(2)

2011-02-20 | 観劇メモ(伝統芸能系)
通し狂言 盟三五大切(かみかけてさんごたいせつ)

序 幕 第一場 佃沖新地鼻の場
    第二場 深川大和町の場
二幕目 第一場 二軒茶屋の場
    第二場 五人切の場
大 詰 第一場 四谷鬼横町の場
    第二場 愛染院門前の場


薩摩源五兵衛:仁左衛門   芸者小万:芝雀
笹野屋三五郎:愛之助    若党六七八右衛門:薪車
船頭お先の伊之助:猿弥   家主くり廻しの弥助:彌十郎
富森助右衛門:段四郎


芸者の小万に入れ揚げている塩冶家の浪人不破数右衛門は、御用金
を紛失したことから、大星に勘当された身。討入りの仲間に加わろ
うと、薩摩源五兵衛と名を変え、金策に奔走している。
ある日、源五兵衛のもとに伯父の富森助右衛門が工面した百両の金
が届く。それに目を付けたのが、旧主のために百両が必要だと父親
に頼まれた、小万の情夫三五郎。三五郎は仲間たちと、源五兵衛を
騙してその百両を巻き上げる。騙されたことに気付いた源五兵衛は
復讐の鬼と化し、三五郎夫婦の家で仲間の五人を惨殺する。

逃げのびた三五郎と小万は、偶然に入手した討入り先の高家の絵図
面を、百両とともに三五郎の父に渡す。しかし、百両を必要として
いる父の旧主とは、不破数右衛門、即ち源五兵衛だったのだ。そう
とは知らぬ源五兵衛は、小万を見つけ斬り殺す。全てが明らかにな
り、絶望した三五郎は、源五兵衛の罪を被ろうと切腹。源五兵衛は
三五郎夫婦に感謝しながら、絵図面と百両を持ち、討入りへと向か
うのだった。

(歌舞伎美人より引用)






この演目をナマで通しで観るのは、先週の日曜日が初めて。
一番最初に見たのは2008年11月の歌舞伎座だった。
時間の都合で序幕・二幕だけを幕見し、大詰はかなりの日数を経て
ようやくテレビ放送で通し完結。
源五兵衛は今回と同じく、仁左衛門さん。
三五郎は菊五郎さん、小万は時蔵さんだった。

同年、歌舞伎よりも先に文楽の「国言詢音頭」を。
翌年、花組芝居の「盟三五大切」を観劇。

その後、2006年の歌舞伎座の舞台映像を拝見した。
源五兵衛は吉右衛門さん。
三五郎はナント、仁左衛門さん。
小万はやっぱり、時蔵さん♪

吉右衛門さんの舞台はナマで見ていないので比べることはできない。
ただ、映像で見る限りでは、どんな場面にも歌舞伎の句読点・・・
というのか、歌舞伎らしい格調を失うことのない源五兵衛を演じて
おられると感じた。

文楽の「国言詢音頭」は男のメンツをかけた五人斬りに尽きる。
一方「盟三五大切」になると、色恋、忠義が絡んで少々フクザツ。
今月の松竹座でもやはり五人斬りはウォーミングアップな感じ。
その後に待っている源五兵衛と小万のシーンが最大の見せ場であり、
源五兵衛の感情の起伏のピーク。
好きな女との甘い密約、最後の絆であるはずの彫りもの<五大力>
までが三五郎の所有物と知った瞬間の源五兵衛の表情。

如何にも鬼じゃ。
身共を鬼には、おのれら二人が致したぞよ。


この台詞のときの仁左衛門さん、顔が本当に<鬼>にしか見えない。
白塗りの般若のお面のような顔。
我が子をこの手で殺させられた半狂乱の小万を従え、ぬうっと立つ
その顔は、人ではない。
それなのにこんな瞬間にさえ際立つ美しさにゾッとする。

仁左衛門さんの源五兵衛はあくまでも歌舞伎の様式美を保っていな
がら、ものすごく映像的。いや写真的。フォトジェニックだ。
一瞬一瞬のどれもが絵になる静止画の恐るべき夥しい数の連写で成
り立っている感じ。
最初から最後まで一貫して流れている仁左衛門ノワールとでも呼び
たいような独特の空気が観客を包み込み、いつのまにか私たちは取
り込まれてしまっている。

劇場の席についたら最後。
悲しすぎるのに美しすぎるその芝居に、観終わった途端、またすぐ
に取り込まれたいと願う。
ああ、困ったもんだ。あと1回しか観られないというのに。


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