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- 腎臓は血液をろ過し尿を作り出す臓器です。腎臓に集められた全身の血液は、糸球体(毛細血管の塊)で老廃物がろ過されます。この過程でできた原尿(尿のもと)のうち身体に必要な物質(水分や栄養素など)は尿細管で体内に吸収され、残りの不要分は尿として尿管を通って体外へ排出されます。腎臓内の糸球体や尿細管をとりまく組織を間質と呼び、この部分に炎症が起こることで腎機能低下をきたす病気を間質性腎炎といいます。間質だけでなく尿細管にも炎症が起こっていることが多く、尿細管間質性腎炎とも呼ばれています
- 【原因】
- 間質性腎炎は、急性と慢性に分けられます。急性間質性腎炎は薬剤過敏症(アレルギー反応の一種)によるものが最も多くみられます。さまざまな薬剤が原因となりますが、主に抗菌薬や消炎鎮痛薬(痛み止め薬)で起こりやすいとされています。そのほかの原因としては、急性腎盂腎炎などの感染症や、免疫異常、重金属(水銀、カドミウム、鉛など)などがあります。慢性間質性腎炎もほぼ同様ですが、薬剤や感染症(慢性腎盂腎炎など)、免疫異常のほか、低カリウム血症や高カルシウム血症などの電解質異常、 高尿酸血症(血液中の尿酸値が高く痛風などを引き起こす状態)などの代謝異常、悪性腫瘍、遺伝性疾患などが原因となります。
- 【症状】
- 急性間質性腎炎は無症状の場合が多いですが、腎臓が腫れて背中に痛みを生じることがあります。薬剤によるアレルギーが原因の場合は、発疹や発熱が出ることもあります。 一方、慢性間質性腎炎では、間質の炎症だけでなく線維化(硬化)によって腎機能が緩やかに低下していくことがあり、貧血を合併する場合もあります。また、尿細管が傷つくことで、尿を作り出す過程での濃縮や、電解質(ナトリウムやカリウム)や酸の調整・排出がうまくできなくなります。そのため、脱水症状を引き起こしたり、高カリウム血症やアシドーシス(血液中の酸が増加した状態)を生じたりすることもあります。
- 【治療法】
- 原因の除去や、原因となっている病気を治療します。薬剤が原因で発症した場合は、その薬剤の使用を中止します。炎症を抑えるためにステロイド薬を使用することもあります。腎盂腎炎などの感染症が原因の場合は、抗菌薬で感染症を治療することが大切です。 脱水や電解質異常の症状がみられたら、点滴や内服薬などで補正の治療を行ないます。
<出典:済生会>