急性心筋炎(acute myocarditis)のページを更新
- 急性心筋炎とは、今まで元気に生活していた人が風邪などをきっかけに、数日の間に進行して心臓の筋肉に炎症が起こる病気です。心臓の動きが悪くなって、心不全や危険な不整脈を引き起こします。急性心筋炎は多くの場合、心筋にウイルスなどが感染して発症します。 心筋炎は新型コロナワクチンの副反応としても注目されています。 そのほか、心臓に影響を与える毒素や薬剤、肉芽腫(にくげしゅ)ができる難病のサルコイドーシスといった全身性疾患などさまざまな病気によって引き起こされる可能性があります。 心筋炎の中には死に至るほど急激に病状が変化するものがあり、劇症型心筋炎と呼ばれています。
- 【症状】
- 急性心筋炎の主な原因となるウイルスは、風邪や胃腸炎などを起こすウイルスと同じものが多いことが知られています。最初にみられる症状は喉の痛み、せき、発熱などで、やがて消化器症状(胃のむかつき、腹痛、下痢)や感染症に伴う全身症状(筋肉痛、全身倦怠感など)が現れます。症状はごくわずかの場合もあれば、急速に進行する重度の心不全や不整脈がみられる場合もあります。心不全の症状としては疲労感、息切れ、足のむくみなどがあり、不整脈の症状としては動悸や失神がみられることもあります。心筋炎に加えて心膜の炎症が起こると、胸痛が現れることがあります。
- 【診断・治療】
- 心電図検査や、血液中の心筋マーカー(心臓が損傷を受けたときに増加する物質)の濃度を測定して診断されます。心臓のダメージが大きければ、心エコー(超音波)検査で異常がみられ、心臓MRI検査で特徴的な異常パターンが認められることがあります。心内膜心筋生検といって、心臓の心室内の心筋から組織のサンプルを採取して、顕微鏡で調べる検査を行なうこともあります。
急性心筋炎の合併症や原因に対して、早期に治療を行なうことが重要となります。心不全の治療としては、症状を軽減するために利尿薬や心保護薬(ホルモンの働きを調整することで血圧を下げる治療薬)などを使用します。心筋炎の原因が感染症である場合は、抗菌薬やその他の感染症治療薬を使用します。 劇症型心筋炎については、PCPS(カテーテル治療)、左室補助人工心臓(LVAD)の装着や心臓移植といった手術を要することがあります。また、退院後も長期にわたって心不全に対する薬物治療が必要です。劇症型の一種である巨細胞性心筋炎は、ステロイドと免疫抑制療法で治療します。
<出典:済生会>