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自己免疫疾患

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 それぞれの人の組織内細胞にも抗原が含まれています。しかし、通常であれば免疫系は異物や危険な物質に対してだけ反応し、自己の組織の抗原には反応しません。ただし、ときに免疫系が正常に機能しなくなり、自己の組織を異物と認識して自己抗体と呼ばれる抗体や免疫細胞を産生し、これらが特定の細胞や組織を標的にして攻撃します。この反応を自己免疫反応と呼び、炎症と組織の損傷を引き起こします。こうした反応は自己免疫疾患の症状である場合がありますが、多くの人では作られる自己抗体の量がごく少量であるため、自己免疫疾患は起こりません。

自己抗原と分子相同性(molecular mimicry)を有する外来抗原(例えばウイルス・細菌成分)に対する抗体が自己組織の傷害をもたらす可能性も考えられている.多くの自己免疫疾患は遺伝素因に加え,環境・ホルモン因子など多彩な因子が複雑に関与する多因子疾患と考えられているが,自己免疫性多腺性内分泌疾患Ⅰ型(APECED, autoimmune polyendocrinopathy-candidiasis-ectodermal dystrophy)など単一遺伝子異常によって引き起こされる自己免疫疾患の存在も知られている。

自己免疫疾患は、特定の臓器だけが攻撃される「臓器特異的自己免疫疾患」と、全身の臓器が攻撃される「全身性自己免疫疾患」とに大別される。

 ■ 臓器特異的自己免疫疾患
 代表的な臓器特異的自己免疫疾患
名称 メモ
自己免疫性溶血性貧血 疲労、脱力感、頭のふらつきを伴う貧血。脾臓肥大。
特発性血小板減少性紫斑病 血小板数が減少するため種々の出血症状をひき起こす病気
慢性甲状腺炎 橋本病とも呼ばれる自己免疫疾患の一つ
バセドウ病 自己の甲状腺に対する抗体(抗TSH抗体)が甲状腺を 刺激するために甲状腺が腫大し、ホルモンの産生、分泌が亢進する疾患
悪性貧血 胃粘膜の損傷により、成熟血球の産生に必要なビタミンB12の吸収が悪くなる。貧血と神経損傷。
重症筋無力症 アセチルコリン受容体,筋肉、特に眼の筋肉が弱り、疲れやすくなる。
自己免疫性胃炎 胃壁細胞
自己免疫性肝炎(AIH) 慢性に経過する肝炎で、肝細胞が障害されます。
インスリン依存症糖尿病 Ⅰ型糖尿病,アセチルコリン受容体
天疱瘡 デスモグレイン


 ■ 全身性自己免疫疾患
 代表的な全身性自己免疫疾患の例
名称 メモ
膠原病 皮膚や内臓の結合組織(いろいろな組織の間にある膠原線維などからなる部分)や血管に炎症・変性を起こし、さまざまな臓器に炎症を起こす病気の総称
全身性エリテマトーデス 抗二本鎖DNA抗体や抗Sm抗体
多発性筋炎 抗アミノアシルtRNA合成酵素抗体
皮膚筋炎  
関節リウマチ 抗CCP(シトルリン化環状ペプチド)抗体
強皮症 抗トポイソメラーゼⅠ抗体や抗RNAポリメラーゼ抗体
血管炎 抗好中球細胞質抗体
シェーグレン症候群  
混合性結合組織病  
抗リン脂質抗体症候群  


<出典:難病情報センター>

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