原発性免疫不全症候群(指定難病65、PID)のページを更新
- 正常なヒトでは体内に細菌やウイルスなどの病原体が侵入すると、これらを排除する 防衛反応 が生じます。この仕組みが免疫系です。 原発性 免疫不全症候群は、先天的に免疫系のいずれかの部分に欠陥がある疾患の総称であり、後天的に免疫力が低下するエイズなどの後天性免疫不全症候群と区別されます。障害される 免疫担当細胞 (たとえば、好中球、T細胞、B細胞)や補体などの種類により400以上の疾患に分類されます。 原発性免疫不全症候群で問題となるのは、感染に対する抵抗力の低下です。重症感染のため 重篤 な肺炎、中耳炎、 膿瘍 、髄膜炎などを繰り返します。時に生命の危険を生じることもあり、中耳炎の反復による難聴、肺感染の反復により気管支拡張症などの後遺症を残すこともあります。 多くは免疫系に働く蛋白の設計図となる遺伝子の変異です。代表的な原発性免疫不全症候群の原因遺伝子はほとんど解明されており、確定診断や治療に役立っています。まれな原発性免疫不全症の原因遺伝子も次々と発見されており、その数は400以上になっています。一方、乳児 一過性 低ガンマグロブリン血症や自己免疫性好中球減少症のように一時的な免疫系の未熟性によると思われる疾患もあります。
【症状】 - 主な症状は 易感染性 です。つまり、風邪症状(咳や膿性鼻汁など)がなかなか治らなかったり、何度も発熱したりし、入院治療が必要です。重症のタイプでは感染が改善せず、致死的となることもあります。好中球や抗体産生の異常による疾患では細菌感染が多く、T細胞などの異常ではウイルス感染が多い傾向があります。また、易感染性を呈さず、 炎症 、湿疹、自己免疫症状、リンパ節腫大、悪性腫瘍(がん)、アレルギーなどを呈する疾患も多数発見されています
【治療法】 - 疾患・重症度により治療法が選択されます。 細菌感染症が問題になる軽症例では、抗菌薬の予防内服はかなり効果があります。抗体欠乏を主徴とする免疫不全症では、月1回ほどの静注用ヒト 免疫グロブリン 製剤、あるいは1-2週に1回の皮下注用ヒト免疫グロブリン製剤の定期補充により感染はほぼ予防できます。 重症複合免疫不全症などの重症なタイプでは、早期に 臍帯血 や骨髄による 造血細胞 移植が選択されます。ドナーがみつからない場合、海外では、疾患によって遺伝子治療が考慮されます。 疾患によっては、免疫抑制剤やステロイドなどの治療が必要になる場合もあります。
<出典:難病情報センター>
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