■マーケット
NY株 上昇一服
アメリカ株は小休止ですね。安定しない原油価格、また、アメリカの消費の強さにも確固たる自信が持てず、方向感に乏しい動きです。サウジアラビアが、減産の用意はないと改めて表明したことで、原油価格が荒い値動き。増産凍結の協調もどこまで実現できるのか、市場も気にしているようです。また、ウォルマートの決算が冴えず、相場の足を引っ張りました。世界最大の小売チェーンだけに、個人消費のバロメーターとしても投資家心理を冷やしています。昨日までの大幅高が、単なる買戻しなのか?それとも底入れのサインか?見極めは難しそうです。現在の株価揃って4日ぶりの反落です。ダウが40ドル安、1万6,413ドル。ナスダックが46ポイント下落です、4,487。S&P500が8ポイントのマイナス、1,917です。
【NY証券取引所中継】米製造業 低迷続く
解説はノムラ・セキュリティーズ・インターナショナルの三浦洋平氏
《フィラデルフィア連銀製造業景気指数》
2月 -2.8(やや予想を上回る)
1月 -3.5
12月 -10.2
改善が見られたものの、在庫水準、受注動向、販売価格、新規受注などは引き続き弱含んでいる。この指数はISM製造業指数と比較的相関があり、特に新規受注、在庫水準が重要指数です。
【NY証券取引所中継】輸送から見る米景気
解説はノムラ・セキュリティーズ・インターナショナルの三浦洋平氏
米経済成長率は鉄道輸送量と約90%の相関性があり、足元の景気を示すデータとして注目されているが、米鉄道局発表の月次の鉄道輸送データによると、1月の貨物輸送量は-16.6%(前年比)と09年7月以来の下落率。天候要因による石炭の下落のほか、金属鉱物、石油関連などの輸送量低下には要注意。これは製造業の落ち込みの裏付けでもある。直近のマクロ経済データとも一致し、徐々にリセッションが意識されている。
もう一つの指標がS&P500社の利益率。過去を見ると利益率がピークから0.6%低下した局面では、1985年を除いてリセッションに陥って、直近もこの値を上回っている。
【為替見通し】注目ポイントは「リスク選好環境」
解説は三井住友信託銀行NYの海崎康宏氏
112.90-114.00
米消費者物価指数の上昇がドル上昇の材料になる。ダウやWTI原油価格先物価格のチャートを見るとダブルボトムを形成中で、2月初めの高値を上抜ければ相場反転の可能性が高まりそう。またメキシコやベネズエラ政府は通貨政策の変更を発表するなど、中南米諸国の信用スプレッドもやや落ち着きを取り戻してきている。一方大きく売られた日欧の株価はようやく1月半ばの水準を取り戻した状況で、この水準で跳ね返されると再びリスク回避相場が意識される展開になる。ドル円の予想変動率が高止まっているは、リスク選好度合が不安定な市場心理を反映している。日欧の緩和策効果が疑問視される中、アメリカの経済見通しや国際協調的なリスク選好環境の好転が確認できるまではドル円の上値が重い状況が続く。
【日本株見通し】注目は「累積売買代金と25日線」
解説はみずほ証券の三浦豊氏
15900~16300
昨年12月以降の日経平均の価格帯べつ累積売買代金を見ると17000~17500が最も多く、17000円に接近すると戻り売りが大きく膨らむ。ただ今年の日経平均は25日線を下回って推移していて、戻り売りの水準が25日線の16700円位まで下がってくることが予想される。25日線を超えるには、ドル円115円を超えてることが条件。
【世界の株価】18日の終値
■【プロの眼】アメリカの景気後退?
アメリカの実体経済の指標をみる限り、その景気後退のリスクはまだ3割程度しかないが、株価やクレジットのスプレッドなどをみると、5割ぐらいにまで高まっているといいます。また、景気回復期間の終焉や企業収益の悪化などから市場心理も悪化しているといいます。ただし原油価格の下落や堅調な雇用を踏まえると、1年以内の後退は考え難い、としつつもアメリカ経済も構造的に低成長になった可能性があり、このため中国やその他新興国の過剰債務などの問題が予想外に一気に悪化したりすると、アメリカ経済が無傷でいることも難しいかもしれない、ということです。解説はJPモルガン証券 足立正道氏。
景気循環論で2009年からの景気回復から、そろそろ不安が出始めている。アメリカの景気後退の起こるメカニズムは、企業収益から起こる。ドル高、原油安よりも先に、労働生産性が非常に落ちていて人件費負担が重くなっている。もし賃金が上がってきて企業収益が圧迫されると、アメリカ企業はすぐに解雇するので、個人消費が落ちていくという悪循環が起きてしまう。これがアメリカの典型的な景気悪化のメカニズムだ。但し今のところ雇用に関して心配なデータはない。今年アメリカ景気悪化の見通しは、過去の景気指標からみると3割程度、マーケット(金融市場)の反応から見ると5割位の可能性。当初4回の利上げ予定が、現在は1回あるかどうかとの見方が大勢。
■ワードバンク 【長期金利】・・・ 経済の体温計
満期1年以上の国債や社債などの利回り。長期国債1年物~40年物の中でも指標とされているのが10年債利回りで、住宅ローンの目安にもなる。
《国債利回りと価格の関係》 解説はSMBC日興証券/末澤豪謙氏
今月購入 年利3%、額面100万円
日銀利上げ
翌月発行 年利5% 額面100万円
投資家は利益率の高い5%国債を買いたくなる。また3%国債を持っている人は5%国債に入れ替えたいと思う。但し、入れ替えるためには、同じ100万円では売れない。なぜなら100万円で5%の国債が買えるのにわざわざ3%のほうを買う人はいない。3%国債の価格を安くする必要がある。86.5万円にすれば利回りは約5.2%位になり、新発債とほぼ同水準となり買う人が出てくる。これが価格が下がり金利が上昇するという債権の仕組みである。
だいたい債券を購入すると普通は満期まで持ち切る。途中で売却する人がほとんどいないから、この話はなかなか理解してもらえない。
9年債以下は金利が0%以下のマイナス金利となっている。10年債も一時マイナスを付けた。マイナス金利の国債取引も活発。マイナス金利でも日銀の国債購入で価格が上昇し、利益を出せると見ている。
・大和証券/債券部長/山田孝志氏 20年債入札
20年債だとまだ0.8%の利回りが残っている。利回りを求めている投資家は超長期のところに出てきているので、件数的には20年債が一番伸びている。
物価の2%上昇は程遠い。(金融緩和の)出口の議論をするよりも、次の金融政策で緩和強化と見ている人のほうが多い。マイナスが深くなる可能性は考えておくべき。
・財務省理財局/国際業務課長/辻貴博氏
投資家によってはマイナス金利の国債は買えないという人もいる。著しく金利が低いことになると国債の取引主体が限定されてしまう。その結果、国債市場が不安定になる恐れもある。
■今日の予定
1月粗鋼生産
1月全国百貨店売上高
米1月小売売上高
英1月消費者物価指数
■今日のオマケ 経済視点『不安』
JPモルガン証券 足立正道氏
不安が不安を呼んで、冷静にと言われても、投資家は取り合えず売ってから考える習性がある。不安解消の手立てはない。
■ニュース
EU首脳会議 改革案協議
イギリスのEU離脱は現実味を帯びてくるのでしょうか。EU=ヨーロッパ連合の首脳会議が18日、ベルギーのブリュッセルで始まりました。イギリスが残留の条件とするEU改革案をめぐり、協議が続いています。イギリスのキャメロン首相は2日間の日程で開かれる首脳会議に先立ち、EUのトゥスク大統領と会談し、改革案の受け入れに協力を求めました。イギリスの離脱を阻止したいEUは、加盟各国に対し、妥協するよう求めていますが、イギリスが求めている改革案の一つ移民に対する福祉削減について、東ヨーロッパを中心に反発が残っていて、協議の行方は予断を許しません。
OECD 世界経済見通し下方修正
OECD=経済協力開発機構は18日、今年の世界経済の成長見通しをこれまでの3.3%から3.0%に下方修正しました。年初からの世界的な株安や景気の減速を反映させた形です。国や地域別でみるとアメリカの成長見通しを0.5ポイント、ユーロ圏を0.4ポイントそれぞれ引き下げました。一方、中国は6.5%で据え置きました。また、日本経済の見通しは個人消費の低迷などを理由に0.2ポイント下方修正されました。
《OECD16年見通し(従来比)》
アメリカ 2.0%(-0.5)
ユーロ圏 1.4%(-0.4)
中国 6.5%(変わらず)
日本 0.8%(-0.2%)
米製造業指数 6ヵ月連続マイナス
アメリカの製造業の弱さが改めて確認されました。フィラデルフィア連銀が18日発表した2月の製造業景気指数は6ヵ月連続のマイナスとなりました。総合指数はマイナス2.8で市場予想を上回ったものの依然として低い水準で停滞しています。6ヵ月先の見通しを示す指数も総合で17.3と2012年11月以来の低水準に落ち込みました。
ウォルマート決算 減収減益
世界最大の小売りチェーンウォルマートが18日発表した11月から1月期の決算はドル高や店舗閉鎖、人件費の上昇などが重なり減収減益でした。売上高は中国など海外の店舗が振るわず前の年に比べ1.4%減少の1,297億ドル=およそ14兆8,000億円でした。純利益も7.9%のマイナスとなりましたが一株利益は市場予想を上回っています。今年についても、為替変動や国内外での店舗削減の影響を加味し売上高の見通しを引き下げています。
【ウォルマート11-1月期(前年比)】
売上高 1297億ドル(-1.4%)
純利益 45億ドル(-7.9%)
1株利益 1ドル49セント(予想を上回る)
米新規失業保険申請者が減少
アメリカの雇用の堅調さを示す結果となりました。労働省が発表した先週1週間の新規失業保険申請者数は26万2,000人で、前の週に比べ7,000人減少しました。また、中期的な傾向を示す4週移動平均は27万3,250人でこちらも8,000人減少しました。
羽田ー米国便 昼間も就航へ
日米両政府は航空交渉の協議で、羽田空港を利用する日米路線の拡大で合意しました。現在、羽田からのアメリカ路線は深夜・早朝時間帯の8便に限られていますが、これを2便に減らして新たに昼間の時間帯に10便を設けます。また、これまでは、西海岸やハワイ方面行きの便に限られていましたが、この秋にもニューヨークなど東海岸への直行便が実現します。成田空港よりも都心に近いため、ビジネス客や地方空港からの乗り継ぎ客の利便性の向上が期待されています。
シャープ あす臨時取締役会
経営不振に陥っているシャープが、再建の支援策をめぐって、あす臨時取締役会を開くことがわかりました。高橋社長は今月4日の決算発表会見で、支援策について、官民ファンドの産業革新機構と台湾のホンハイ精密工業の2社と交渉していると明かし、交渉の進捗はホンハイが優位にあるとしていました。ただ、シャープの取締役の中には革新機構の支援を受け入れたほうが良いという声も強く、どちらの支援策を選ぶのか予断を許さない状況です。
安倍総理「マイナス金利 効果に期待」
安倍総理大臣は経済財政諮問会議で、日銀が導入したマイナス金利政策について、「住宅ローンや中小企業融資の金利が下がり、消費や投資の拡大につながる」との見方を示しました。さらに、マイナス金利の内容が十分に伝わっていないとして、情報発信につとめるよう関係閣僚に指示しました。また、消費の喚起策として企業に改めて賃上げを求め、「『世界経済の不透明さを理由に賃上げしない』という流れにしないことが大切だ」と強調しました。
女性の平均賃金 過去最高に
厚生労働省は残業代などの手当てを差し引いた女性の賃金が去年、平均で月24万2,000円となり、前の年より1.7%増加し、過去最高となったと発表しました。男性の賃金は月33万5,100円で男女間の賃金格差は男性を100とした場合、女性は72.2で、過去最少となりました。一方、雇用形態別では正社員が32万1,100円だった一方、非正規社員の賃金は20万5,100円でした。
中国1月消費者物価 ↑1.8%
中国の国家統計局が発表した1月の消費者物価指数は1年前に比べて1.8%上昇しました。上昇率は去年12月と比べて0.2ポイント拡大しましたが、引き続き低水準にとどまっています。景気の減速感が強まる中、個人消費の伸びが力強さを欠くほか、企業は過剰な生産設備を抱えていて、物価が上がりにくい状況が続いています。一方、1月の卸売物価指数は5.4%下落しました。下落率は去年12月と比べ、0.6ポイント縮小しましたが、3年11ヵ月連続で前年の水準を下回っています。
女性人質 男が立てこもり
千葉県佐倉市で男が女性1人を人質に立てこもっていた事件で、警察が突入し、男を監禁の疑いで現行犯逮捕するとともに人質の女性を保護しました。事件が起きたのは、千葉県佐倉市にある「佐倉王子台チャペル」で、両親とともに教会を訪れた30代の男が、カウンセリング中にリュックサックからバットやナイフを取り出し、暴れ出しました。両親と教会関係者の男性がケガを負い、3人は、外に逃げ出しましたが、女性1人が取り残されていました。午前5時前、警察が突入し男を監禁の疑いで現行犯逮捕しました。人質となっていた女性はケガをしていますが、命に別状はないということです。
自民・丸山氏 野党が辞職勧告決議案
民主党など野党3党は、自民党の丸山和也議員が、17日の参議院憲法審査会でアメリカのオバマ大統領について「黒人の血を引く奴隷」などと発言した問題で、丸山議員に対する議員辞職勧告決議案を参議院に提出しました。丸山議員はきのう、テレビ東京の取材に応じ、発言が誤解されているとして、議員辞職はしない考えを示しました。
世界スマホ販売 伸び低調
調査会社ガートナーが18日発表した去年10月から12月期の世界のスマートフォン販売は4億300万台で、前の年に比べ9.7%の上昇と2008年以来の低い伸び率に留まりました。また、アップルのアイフォーンは発売以来初めて販売数が減少しました。
米大統領 3月にキューバ訪問
アメリカのホワイトハウスは18日、オバマ大統領が来月下旬にキューバを訪問しカストロ国家評議会議長と会談すると発表しました。今回の訪問についてオバマ大統領はツイッターで「キューバの人々の生活を向上させるためだ」と述べ訪問した際にはキューバ国民の人権問題を直接提起すると強調しました。キューバ革命の後、半世紀以上国交を断絶していたアメリカとキューバはオバマ大統領が主導して去年7月、国交を回復しました。アメリカ大統領のキューバ訪問は実に88年ぶりでオバマ氏としては両国の関係をさらに進展させて自らの歴史的な功績にしたい考えとみられます。
■日経超特急
①風力発電、増強加速
ユーラスやJパワーが2020年まで600億円規模を投資する。能力は現在の3倍、原発10基分に増える。政府も太陽光偏重の是正に動いていて、風力も再生可能エネルギーの柱になる。
②「マイナス金利」受けて、長期調達の動き
JR西日本は民間企業として初めて期間400年の普通社債を発行する。日銀がマイナス金利政策の導入を決めてから、市場金利は大きく低下していて、安いコストで長期の資金を確保する。また味の素も期間20年の社債を計画している。低金利を背景に長期資金を調達する動きが広がっている。
③素材デフレ、輸出に打撃
中国など新興国経済の減速が日本の輸出に影を落としている。財務省が発表した1月の貿易統計では、輸出額が12.9%減(前年比)、アジア向けは17.8%減となった。新興国の需要減少で鉄鋼が3割減ったほか、非鉄金属も2割減。素材は日本の輸出総額の25%を占めていて、世界的な価格下落が輸出低迷の大きな要因となっている。
④日銀内でマイナス金利効果に疑問視
日銀・石田委員は昨日福岡市で会見し、マイナス金利導入について、このタイミングでは効果は期待できないと指摘した。導入に反対した一人で執行部との認識の違いが浮き彫りになった。
■日刊モーサテジャーナル
①テロリストのiPhoneのロック解除めぐり、アップルに賛否両論
WSJ『クックCEOは危険な選択をした。スマホの未来に影を落とすかもしれない。テロリストのiPhoneは5Cで、ロック解除に協力しても新型iPhoneに影響なし。それにもかかわらずFBIに協力せず、もし大規模な訴訟に発展し、アップルが負ければハイテク業界で進める暗号化技術の進化が後退する。』
NYT『情報管理能力で確固たるブランドを築き上げていて、世論はアップルの方針に理解を示していることから長期的には優勢と見ている。』
②WSJ『ここ数日の株価上昇はファンダメンタルズというより、FRBの政策頼みだ。FRBが今年の利上げを見送るという期待だと指摘。FOMC議事要旨からも、FRB幹部が世界市場の混乱に懸念を示していることがわかり、市場に安心感が広がった。FRBが市場を見ながら金融政策を変える一方で、市場もFRBの政策変更に一喜一憂するという毎度のパターンで、両社とも確固たる方向性が見いだせていない。』
③NYT『デルタ航空がレストラン業界「スター」とコラボし、機内食を変える。マイヤー氏のレストランの料理と同じ料理を提供することで機内食に対する見方を変えたい。アメリカでは機内にスパを導入するなど富裕層の囲い込み競争が激化していて、デルタは"食"で一歩リードしようとしている。』
STAR(スター)ダニー・マイヤー氏
NYで13のレストランを展開。去年日本に進出したシェイク・シャックの創業者。
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