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モーニングサテライト・ウォッチ

2017.3.27 Newsモーニングサテライト

2017年03月27日 22時47分29秒 | MS
■【本日のコメンテーター】ニッセイ基礎研究所/矢嶋康次氏

■マーケット
 
NY株 今週は消費者信頼感指数に注目
トランプ大統領の政治手腕を測る上でも注目されたオバマケアの代替案をめぐる攻防は法案取り下げという結末に終わり、市場にとって課題が残った形となりました。この先の議会運営への懸念が市場を覆い、市場の不安心理を示すVIX指数は一時14を超えました。株価も同じタイミングで安値を付けたものの切り返す動き。市場が待ち望む減税などの議論がようやく前に進むとの期待感が下値を支えたようですが、今回の一件で期待通りに進むのかどうか慎重にならざるを得ません。今週はアメリカのGDP確定値のほか、物価や消費関連の指標が材料になりそうです。金曜日の株価終値です。高安まちまちでした。ダウは7日続落、59ドル安の2万596ドル。ナスダックは反発、11ポイント上昇の5,828。S&P500は続落、ほぼ2ポイントマイナスの2,343。

【アメリカの専門家インタビュー】株式相場「大幅下落の可能性低い」

先週、トランプ政権と議会が医療保険制度改革、いわゆるオバマケアの代替法案をめぐって混乱に陥り株式相場は不安定な展開となりました。しかし株式ストラテジストは今後株価が大きく下落する可能性は低いと見ています。
 
《ウェルス・ファーゴ/スコット・レン氏》
「(保険改革を巡る)今回の混乱を市場関係者は今後の不安材料と見ている。インフラ投資や規制緩和でm同様の混乱が起こる可能性もあるからだ。そのため先週、相場は調整局面に入ったようだが、驚くほどのものではない。若干の調整にとどまっているので、今後も大きく下落することはないだろう。」

こうした中、今週は今後の株価を占う上で重要な経済指標に注目だと指摘します。

《スコット・レン氏》 「今週は消費者信頼感指数などに注目すべきだ。企業の設備投資がそれほど強くないなかでも、個人消費がアメリカ経済を押し上げているからだ。雇用市場の回復は続き、消費者心理を支えているので、個人消費拡大につながっている景況感を示す指標は注視したい。」
 
 
【為替見通し】注目ポイントは「季節性要因」
解説はクレディ・アグリコル銀行の斎藤裕司氏

--先週末の動きを振り返っていかがだったでしょうか。

週末のドル円相場は、アメリカ下院で予定されていたオバマケアの代替法案の採決が見送られただけではなくて、まさかの撤退となったことを受けて、逆にトランプ政権が税制改革に早期に着手するとの見方が浮上しまして、ドル円は110円台半ばから11円台前半に値を戻して引けました。本日は重要イベントも少なくて、週末のニュースの消化と年度末を控えた最終週ということもありまして、ドル円は110円台後半から111円台前半を中心に、需給で降らされる相場展開を予想しています。

--今日の予想レンジは、110.40円~111.70円です。今後アメリカの税制改革が進むと、ドル円はどう推移すると見ていますか。

話が進めば、ドル円は安いと思いますけれども、トランプ政権と議会との混乱が続くようであれば、税制改革の進展が市場の期待とは逆に遅れる可能性があります。
(フリップ1:米政権と議会の混乱で110円割れも)
その場合は、市場はトランプ政権誕生直後からの高安の半値戻しである109円93銭を視野に入れていくと思いますので、政権と議会の関係には引き続き注意が必要ですね。

--注目ポイントは「季節性要因」です。

毎年のことなんですけれども、この時期になりますと、日本勢による外国に投資されていた資金を本国に戻す、いわゆるリパトリエーションの影響が話題となります。
(フリップ2:3月のドル/円変化率(過去10年))
過去の統計を見ると、月を通して、3月はこの10年間では、7対3でドル高になっています。だからと言ってレパトリエーションの影響がイメージほどないというわけではありません。3週目ぐらいまでは円買い傾向となることが多く、逆に最終週は4月以降の動きを先取りする形で、ドル高傾向になることが過去のデータから見て取れます。従って、季節性要因からは今週はドル円が上昇する可能性があると言えます。

--ドル高、円安方向ということですね。
 
【日本株見通し】注目ポイントは「IPOラッシュ」
解説は岡三証券の小川佳紀氏
 
--今日の予想レンジは、19100円~19400円です。

日米ともに政治リスクがくすぶる中で、日経平均は19000円台前半でのもみ合い推移が続く一方、明日の権利付き最終日を前に、高配当銘柄や中小型株などの物色は活況が期待できそうです。

--注目ポイントは「IPOラッシュ」です。

今週の新規上場企業は7社が新規に上場するIPOラッシュとなります。

(フリップ1:今週の情上場企業)
27日(月) ティーケーピー
28日(火) No.1、ズーム
29日(水) オークネット
30日(木) スシローグローバルHD、ユーザーローカル
31日(金) ネットマーケティング

IPO銘柄というと、上場して初めて付く株価、いわゆる初値が注目されがちですが、最近は初値が付いた後も、株価が上昇する銘柄が増えている点に注目しています。このような銘柄が増えることで、投資家がIPO銘柄に対する投資意欲はさらに高まると見られます。

--ただ、これだけ上場する企業が多いと、他の銘柄には換金売りが出ませんか。

はい、確かにIPO銘柄に投資するための換金売りが、中小型株を中心に出る可能性はあります。
(フリップ2:換金売りでの指数下落なし?)
ただ、昨年1年間の月別の新規上場社数と東証マザーズ指数の騰落率を見ると、上場社数が多いからといって、換金売りによってマザーズ指数が下落するということはありませんでした。むしろ上場後も成長性や業績を評価して、中長期的に株価が上昇するIPO銘柄が増えれば、新興市場全体の活況にもつながると考えています。
 
 
■【エマトピ】不況続くブラジル 日本企業は・・・
2年連続のマイナス成長になったブラジル。キリンHDのブラジルからの撤退が報じられる中、他の日本企業の中には店舗数を着実に増やす小売やレストランがあるといいます。解説は大和証券の横路史生氏。
 
 
 
(フリップ1:2年連続マイナス成長)
--まずブラジルの経済状況を確認します。今月7日に発表になった2016年通期のGDP成長率は前年比3.6%減となり、2年連続のマイナス成長となりました。政局の混乱を背景に生産、投資活動が低調となり、失業の増加で消費も落ち込みました。

《ブラジル・サンパウロ:大和証券/横路史生氏》
--ブラジルの景気後退というのはまだまだ続きそうですか。

(フリップ2:先行指標はすでに底打ち)
「いえいえ、景気先行指標や鉱工業生産はずでに底打ちしていますので、景気後退は去年10-12月期で終わり、足下の1-3月期から回復、つまり前期比プラス成長に転じるものとみています。但し気になるのが、17日に発覚した、食肉加工業者が衛生基準を満たしていない食肉や加工品を販売していた問題の影響です。今後、肉製品の国内消費と輸出の急減により、景気回復の腰を折るリスクがあるかもしれません。」

--さらにこの不況の中で、キリンホールディングスがビール事業子会社を売却、ブラジルから撤退が報じられましたが、他の日本企業の動きはどうなんでしょうか。

(フリップ3:不況でも店舗数伸ばす)
「はい、残念ながら、日本企業については、撤退の話が多く聞こえてきます。そうした中、100円ショップのダイソーとすき家のゼンショーは、ブラジルでの店舗数を着実に伸ばしています。ダイソーは今月24日に、23号店目がオープンしたばかり。品質の良さやかわいさがブラジル人に受けています。一方、すき家も今月だけで新たに2店舗をオープンします。注文を受けてから提供までのスピードや、新メニューの積極投入といった点が評価されているようです。」

--お手頃価格の小売店やレストランに人気が集まっているというわけですね。

(フリップ4:トヨタ)
「はい、そうなんですけども、頑張っている日本企業はサービス業だけではありません。自動車市場ではトヨタのシェアが7位から、去年は5位に浮上しました。ブラジル全体の新車販売台数が、前年比20%減と落ち込むなか、新興国向けの小型車トヨタ「エティオス」が16%増と大きく伸びています。エティオスはタクシーとして使われることも多いのですが、運転手に選んだ理由を聞いてみますと、『デコボコの道路でも乗り心地がいいし、耐久性に優れているんだよ』、と話してくれました。」

--そうですか、厳しい現状の中でも頑張っている企業はあるんですよね。では日本の投資家や日本の企業というのは、今後ブラジルをどう見ていけばいいんでしょうか。

(フリップ5:2016年主要株式ベンチマーク指数騰落率)
・ ブラジルボベスパ 45%
・ ロシアMICEX 27%
・ タイSET    20%
・ S&Pトロント総合18%

「去年世界の主な国の株式ベンチマーク指数のの中で、パフォーマンスがもっと良かったのはブラジルのボベスパ指数でした。引き続き今年も堅調に推移していますので、史上最高値を9年ぶりに更新する可能性が高いと見ています。好調な株価がブラジル景気が来年にかけてV字回復を示していると考えます。」
 
 
■【NY便り】出口に向かう金融政策、そのカギは
今月半ば、3回目の利上げをしたFRB。市場では今後の利上げのペース、また量的緩和の解除など出口に向けた思惑が高まってきている。出口に向けたポイントは何か、コロンビア大学教授の伊藤隆敏氏が解説。
 
--アメリカの金融政策、出口に向けたポイントは何なのか。スタジオゲストはコロンビア大学教授の伊藤隆敏さんです。まず今月、利上げがありましたが、これは経済の環境的に正しかったんでしょうか。
 
「正しかったとおもいますね。インフレ率も雇用もいい指標が出ていますから、上がって当然という、そういうのも織り込ませることにも成功しましたし・・・。」

--でも織り込ませ方が急だったんじゃないかって、ちょっと思ったりもするんですが・・・。

「まあ、でも3回の範囲内で、良かったんじゃないですかね。」

--なるほど、それで今、出口という表現を使ったんですが、保有債券の放出の議論も始まるのではないかと、市場は気にしていますけれども、そこも含めて伊藤さんはどう思われていますか。FRBの出口戦略について。

「出口は遠いけれども、出口の明かりは見えてきたと思うんですけれども、そこに行く過程で、いつから放出が始まるかというのは、まだそこまで議論は行っていない。これからとにかく、まあ3回利上げというところまでじゃないですかね。」

--でも3回利上げも、そう言えば、前にも3回利上げと言って1回しか上げなかった。ハズレてますもんね。

「2年続けてはずして、今年というか、去年12月に出したのは多分当たると思います。」

--その「たぶん」の根拠は何ですか。
《FOMCメンバー利上げ見通し》  2017年(3回)、2018年(3回)

「やっぱりインフレ率と雇用が堅調に推移している。堅調に推移しているのを壊さないように、少しづつ上げていくというのは可能じゃないかと思うんですよね。」

--イエレンさん自身もちょっと変わってきましたよね。

「そうですね。ハト派の守護神みたいな感じでいたんですけれども、最近はもう少し上げても大丈夫というふうに確信を持つようになったんじゃないですかね。」

--しかも声明文でも前は外部環境のことも言及されてましたけれども、今でもハズレてきているというのがあるんですかね。

「国際経済環境は良くなりましたから、スピルオーバーを心配することも無くなったし、だから最大の不確実要因はやはりトランプ経済政策かと思いますね。」

--それは市場も同じだと思うんですが、そんな中で実は伊藤さんは先週、FRBの高官と会談する機会があったそうですね。

「FRBにちょっと為替の専門論文を持って行って、専門家の人と話をする機会があって、そのついでと言ったら怒られるんですけど、2人ほど高官と話をして・・・。」

--その中で一番印象に残った話、考え方は何でしたか。

「いま理事の空席2つあって、タルーロ理事がもう辞めると政府に宣言していて、来年2月にイエレン議長の満期が来て、6月にフィッシャー副議長が満期となり、ものすごくこれから補充が進まないといけないですね。だから補充するのはトランプ政権なわけですから、そこですごい心配しているんじゃないかと・・・。」

--もちろんマーケットも心配していると思いますよ。

「・・・と思ったんだけれども、意外にもその辺の心配はは、にじみ出てこなかったんですね。」

--どうしてですか。

「なんか財務省、経済系についてはそれほどおかしな人事は行われていない。」

--それはムニューシンさんも含めてということですか。

「そうですね。含めてですね。だからもちろん税についてはそんなに専門性があるとは思えないですけれども、やはり経済関係をずっと生きてきた人ですから、それで特にフェデラル・リザーブを廃止しろなんて馬鹿なことは言っていないわけで、そういう意味で最悪に事態というのはないよね、というところまでは安心感が広がってきたんじゃないですかね。」

--トランプ政権はわざとそういうふうに、反対の人を任命する場合もありましたもんね。環境保護局の方とか。それでトランプさんというと、金利上昇という懸念があると・・・。その辺りの話はあったですか。

(フリップ1:米国10年債利回り)
「いや、特に今すぐに心配しているという感じではなくて、それは何故かというと、トランプ大統領の言うことと、議会ができること、認めることの間にかい離があるじゃないですか。金曜日の、今回のことのように。だからそういう意味では、やはりいろいろ注視はしているけれども、どっちに転ぶか分からないし、それについて今から準備することはできないという感じだと思います。」

--10年債利回りも高止まりというか、2.5%ぐらいでずっと横ばいになってますが、景気がいいからこそ利上げをしたと思いたいんですが、実はGDPナウ、この番組でもたくさん出してきましたが、いま足下1.0で、この前利上げしたときは0.9だったんですね。そして前回12月の時は2.4だったんです。この環境(2.4)で利上げしたんだと思っている市場関係者が多いと思うんですよ。

(フリップ2:GDPナウ)
「まあでも金融政策というのは、6ヵ月、1年後を見て決めているものですから、今の足下が上がったり下がったりしても、そんなに影響を受けないと思うんですよね。」

--この差があってもですか、2.4と0.9って案外差があるような気がするんですけどね。

「(16年前半の頃だって、)上がったり下がったりしているじゃないですか。」

--まあそうですね。GDPってデータ・ディペンデントなんですけれども、じゃあ今仰っていただいた見通しが今回出ましたよね。これは市場がびっくりしたのは、来年18年も今年と変わらないって、トランプさんの影響は全く無視なんですね、って思ったと思うんです。」
 
(フリップ3:FRBの経済見通し)
「低すぎるということですか。だからそこは本当に何ができるのかというのが見えてないじゃないですか。減税にしても本当にできるのかとか、法人税も15に下げると・・・、いや、それはできないだろうと・・・、20ぐらいまでは下がるのかな、25ぐらいで終わるのかなと・・・。まだ全然、減税は法案にもなっていない。インフラ投資と言ってもどう反映するのかも分からないですから、そういう意味では、まだ注視はしているけども、そこは織り込めないということじゃないですか。マーケットだから株価にすぐ反映しちゃいますけど・・・。」

--でも市場はそこのところが・・・、しかもサイクルが速まることを懸念しているわけじゃないですか。そのヒントが無かったというのは、市場はやっぱり不安なんだと思うんですよ。

「ただ、やはり今言ったように、FRBとしては確実に、例えばモデルを使って・・・とか、信頼のできる予想をして、来年に織り込むだけの情報はまだ無いということだと思うんですよね。あともう1つは、もし財政が突っ走るということがあったら、金融で引き締めないといけないというふうに思いますから、そういう意味ではGDPというのはその両方の結果ですから、安定的に推移させようという意思が表れているのかもしれない。」
 

■【モーサテ・サーベイ】今週のマーケットを出演者が予想
マーケットや世界経済の先行きを番組のレギュラー出演者へのアンケートから独自に予想します。
(期間:2月24日~26日、対象:番組出演者32人)

(1) 今週末の日経平均予想
予想中央値(19400円)
先週終値 (19262円)
 
《岩井コスモ証券/林卓郎氏》
(19400円予想)
「日米の政局懸念は残るものの、新年度相場への期待などから巻き戻しがある。」

《ニッセイ基礎研究所/井出真吾氏》
(19000円を予想)
「トランプ政権に対する期待や信頼の低下に加え、配当落ちもあり、軟調な展開になる。」

(2) 今週末のドル円相場予想
予想中央値(115.50円)
先週終値 (111.44円)

《FGP証券/深谷幸司氏》
(112.00円予想)
「アメリカの税制改革への悲観的な見方が修正され、リスク回避が後退する可能性がある。」

《ソニーフィナンシャルホールディングス/尾川眞樹氏》
(110.50円予想)
「オバマケア代替法案の撤回の影響がドルの上値を抑える。」

(3) トランプラリーは今後どうなる?
継続する(41%)、終息へ向かう(31%)、どちらとも言えない(28%)
「継続する」とした人は、税制改革への期待やアメリカ経済の堅調さを理由として挙げている。一方、「終息へ向かう」とした人は、共和党内部の分裂の深刻さなどを挙げている。
 

■【特集】複雑化する教育無償化議論
政府や自民党で教育無償化について議論が始まっている。6月の骨太の方針に盛り込もうとの予定だが、課題も多いと言います。今後の見通しは?解説はニッセイ基礎研究所・矢嶋康次氏。
 
--今日のテーマは、「複雑化する教育無償化議論」ですが、議論はすでに始まっているわけですよね。

「政府は6月の骨太にも教育の無償化を盛り込もうということで動き始めていますが、ただ結構、経済的な話とか、いろんな話と重なっているので、結構、議論としては面白くなってきている気はします。」

--コチラがまず最初に見ていただきたいものです。

(フリップ1:経済成長政策の定量的効果について:既存研究に基づく概観(出典:森川正之))
「これを見ていただくと、日本の潜在成長率がゼロ%ぐらいの中で、これからどうやって中長期的に力をつけていくかということで、いろんな項目がこういうふうに出ているんですけれども・・・。」

--成長率への効果ということ、長い目で見たときですね。

「これは経済財政諮問会議で、経済産業研究所の森川先生が出されたものなんですけど、これを見ていただくと、よく言われるTPPとか、女性の就労参加みたいな話よりも、実は学力のほうが非常に寄与率が高いということが明らかになっているということですね。」

--これはちょっと意外な数字なんですけれども、これは高等教育というか、非常に高度な教育ということですよね。ここに持っていくまでには、やはり義務教育からここに行くまで持ち上げていってあげないといけない。

「ちょっと日本の教育を考えると、まだまだ問題点が指摘されていて、例えば日本の支出の、今日予算が決まりましたけれども、高齢者向けの支出がものすごく多いんですけど、若者とか、子供への支出はものすごく少ないというのが日本の特徴です。」

(フリップ2:収入で広がる教育格差)
(青:4年制大学、緑:専門学校、紫:短期大学、赤:就職など)
「その少ない中でも起こっている話というのが、格差の問題でして、親の年収が400万くらいですと、4年制大学に行く人は30%ですけど、1000万円を超えてくると60%を超えてくるという意味で、親の年収で子供の学歴も決まってしまうという現状があるというのも明らかですよね。」

--データで見ると明らかですけれども、政府もやはりこういうところに手を打とうとしているわけですよね。

「そうですね。17年度から返済不要の給付型奨学金制度が約70億円、それから18年度から本格実施で220億円の予算を用意しているんですけど、今日お話しする教育無償化は、どこまで範囲を広げるかもありますけれども、幼児教育から高等教育、大学・大学院まで含めると、だいたい4~5兆円ぐらいかかる。さっきの220億円と、全然違う規模の数字の話になってきているということなんですね。」

--今ある予算と現実のお金というのは、全然違うと・・・。そこまで規模が大きいと、手の打ちようがほとんど無くなってきますよね。

(フリップ3:各党の教育無償化)
「そうです。これだけ規模が大きいと、ある程度、政治の力とか、政治の判断が必要になってくると思うんですけど、各党、実は見ていただくと、教育の無償化については結構皆さん積極的にこれをやるぞ、やるぞ、という話になっています。ただ分かれているのが、憲法にこれを明記すべきかどうか、特に維新さんは憲法を改正すべきだというところまで来ています。それとあと違うのが財源ですね。自民党さんは教育国債とか、国債で発行しようなどと、いろんな形で財源の話が出ているんですけども、安倍総理は実は1月に施政方針演説で、『誰もが希望すれば、高校にも大学にも進学できる環境を整えなければいけない』、という話を言われているんです。教育無償化は先ほどお話ししたように、日本維新の会が改憲項目(憲法改正項目)に挙げているので、安倍総理がこの憲法改正で教育無償化の実現を訴える、維新と手を結ぶ、そういう思惑も見えてきていて、かなり議論がいろいろな政治的思惑が出てきているという状況になってますね。」

--政治的な思惑はいろいろあるにしても、根本的に財源、それだけ4兆円~5兆円かかるであろうという教育無償化に関して、財源はどうするか、ですね。

「これはいろんな方法があると思うんですけども、国債を発行してお金を調達する方法とか、税制であるところからちょっと負担をしてもらって教育に回すとか、いろんな話が出てくるかと思いますが、今のこのご時世を考えると、なかなか消費税を例えばさらにアップするとか、ちょっと難しいと思うので、どうしてもやっぱり国債になると思うんですよね。そうすると4~5兆円の財源を用意するかは別としても、もうちょっと小さな規模にしても、ちょっと財政規律との関係がどうしても出てくるんだと思います。そういう意味では政治で本当に教育無償化をやるということになると、財政規律の議論が出てくる。実はこの間コロンビアのストゥリスさんがいらっしゃって、消費税は反対、それから、債務の永久債とか、長期債の組み換えなどを提言されていたと思うんですけど・・・。そういう意味ではこの議論が進んで、本当に政治的にやるという話になった時には、やはり財政規律を緩める。例えば、国債発行を毎年、毎年減らしている部分をちょっと緩めるとか、もともと2020年のPB黒字化をちょっと緩めるとか、そういう議論が出てきてもちょっとおかしくないかなという地合いになってきていると思いますね。」

--でもプライマリーバランスの維持というのは、今ですらもう無理なんじゃないかと言われている中で、さらにこういう大規模なものが出せるかどうか、という語論になりますよね。

「そうですね。そういう議論も当然ですし、政治的に考えたときに、いま森友の問題の話もあって、なかなかちょっと揺れていますし、それから都議選を見たときに、いま自公の間にちょっと亀裂が入ってきているので、政治的にどういうバランスになるか、そこが決まらないと、なかなか無償化の話、憲法改正、財源の議論というのは出てこないので、その辺これからいろいろ出てくるのかなというふうに思います。」
 
 
■日経朝特急
 
東芝ウエスチングハウス、米破産法申請
アメリカの原子力子会社ウェスティングハウスがアメリカ連邦破産法11条の適用を申請する方針を決めたことが分かった。ウェスティングハウスが28日に開く取締役会で正式に決議する見通しで、適用申請後の支援先として韓国電力公社グループに協力を要請した。実現すれば東芝はウェスティングハウスを連結から切り離すことができ、再建への道が開ける。
 
 
東京電力、改革へ新体制東京電力HDの新たな経営陣が固まった
会長に日立製作所の川村隆名誉会長、社長に小売部門トップの小早川智明取締りが付く。東京電力と政府は人事案を巡って、年明けから水面下の調整を続けてきて、若返りを図るとともに、生え抜きと社内取締役の結束も狙う。6月の株主総会を経て新体制に意向する。
 
 
外国人技能実習受け入れ
厚生労働省は来年度から、外国人技能実習生の受入期間を、優良な団体に限り、従来の3年から5年に延長する。技能実習生は違法な長時間労働、低賃金での労働が社会問題になっていて、優良な団体を優遇することで労働環境改善を促す。
 
 
■日刊モーサテジャーナル
 
トランプ政権で最大の敗北、連立政権の構築を
トランプ大統領と与党・共和党がオバマケア代替法案を撤回したことについて、アメリカの新聞各紙は、「政権始まって以来最大の敗北」、と報じている。
ウォールストリートジャーナルは、共和党が上下両院で過半数を握っているにも関わらず、法案が成立しなかったことを重く見ていて、「党派を超えた連立政権の構築が必要だ。」、と訴えている。記事は、「トランプ大統領は大統領選期間中に、共和党を攻撃してきた付けが回ってきた」、と指摘。「トランプ大統領の支持層は代々民主党を支持する労働者が多いことから、民主党の一部と連携できる可能性があるものの、民主党のオバマ前大統領の、いわば遺産でもあるオバマケアから手を付けたことで、それも難しくなってしまった。」、と政策の優先順位に疑問を呈している。
一方、週刊投資新聞バロンズは、「次の戦場は税制改革だ」、と早くも切り替えモード。「減税が嫌いな人などいない」、と強気な見方で、「オバマケア代替法案に反対した共和党の保守強硬派も賛成するだろう」、と楽観的な見方を示している。
 
 
マーケットはアメリカ・ファーストではない(週刊投資新聞バロンズ)
バロンズは、税制改正には楽観的見通しを見せているが、トランプ政権の政策実行能力への不透明感から、アメリカの中小型株、いわばアメリカ・ファースト銘柄の下落が最近、目立っている、と警戒している。記事は、「S&P500の銘柄のうち、アメリカ国内での売上高が多い上位50社の株価が、3月に入って4.2%下落した一方、海外での売上高が多い上位50社の株価が0.1%上昇したことに注目。「トランプラリーの原動力の1つは、議会の行き詰まりを打ち破る突破力に対する期待だったが、マーケットはそれが難しいという現実に気づき始めたのでは。」、と分析している。
 
 
米ハリウッド→ネットフリックス、人材流出相次ぐ(ウォールストリートジャーナル)
「ハリウッド映画の新たな悪役が登場」との見出し。実はこれは新作映画の登場人物のことではなく、動画配信サービス大手のネットフリックスを指している。最近、ハリウッドは独自コンテンツの政策に力を入れるネットフリックスに優秀な人材を引き抜かれているという。ネットフリックスが今年、独自コンテンツにかける制作費は60億ドル以上と他の大手メディアを圧倒する見通し。年間の製作本数も70本以上にのぼると見られている。また俳優はもちろん、カメラや音声など、裏方にも高い給料を支払うことで知られるネットフリックス。最近になって、ソニーやディズニーの幹部も移籍したという。記事は、「残された問題は、巨額の製作費に見合うだけ、世界各地で有料会員数を増やせるかどうかだ。」、との専門家の声を掲載している。
 
 
・ 「トランプ政権で最大の敗北」について
 
--さて出だしからつまづいたトランプ大統領ですが、税制ってそんなにすぐに行きますかね。楽観視しているようですが・・・。

「でもトランプさんは30年ぶりとか、驚くような税制を出すと言ったので・・・、オバマケアも最初にすぐ潰すぞと言っといてできなかったことを考えると、やっぱり議会との折り合いが・・・。次は何か見えるものを実現しないと、ちょっとトランプラリーに影が確実に出ちゃうんじゃないかと思いますね。」

--見えるものというと、むしろ探すのが難しくないですか。規制とかですか。

「はい、規制緩和とか、なんか議会と手を結べるものをいくつか出してこないと、ちょっと市場としては期待がなくなる感じはしますよね。」
 

■今週の予定

27日(月) 2017年度予算成立、日銀金融政策決定会合の主な意見(15~16日分)
28日(火) 米1月S&Pケース・シラー住宅価格指数、米FRBイエレン議長が講演
29日(水) イギリスがEU離脱通告
30日(木) 米10-12月期GDP確定値
31日(金) 2月消費者物価指数、2月鉱工業生産指数、中国3月製造業PMI・非製造業PMI、米2月個人消費支出
 
 
■今日の予定
 
2017年度予算成立
日銀金融政策決定会合の主な意見(15~16日分)
2月企業向けサービス価格係数
米シカゴ連銀エバンス総裁講演
 

■ニュース
 
原油減産の延長を検討
原油減産の延長を検討します。OPEC=石油輸出国機構に加盟する産油国と非加盟の産油国が行う協調減産を点検する閣僚級監視委員会は26日、延長の是非を検討することで合意しました。原油相場下落を踏まえ、来月の会合で減産延長の妥当性を精査する考えです。今年1月から始めた協調減産は6月までの予定ですが、半年程度延長されるとの観測が浮上しています。
 
 
イラン 対アメリカ報復制裁
イランの外務省は26日、アメリカの企業15社を対象にイラン国内の資産凍結や関係者へのビザ発給禁止など制裁を科したと発表しました。イランの中距離弾道ミサイルの発射実験を受けトランプ政権は対イランの追加経済制裁を発動しましたが、今回のイランの措置はその報復と見られます。ただAP通信によりますと対象となったアメリカ企業はいずれもイランと取引を行っている形跡はなく、影響は限定的です。
 
 
テレ東・日経世論調査 政府説明「納得できず」74%
テレビ東京と日本経済新聞の世論調査で、学校法人「森友学園」への国有地の払い下げについて、政府側の説明に「納得できない」という人が74パーセントと「納得できる」の15パーセントを大きく上回りました。この調査は、ご覧の方法で行ったものです。安倍内閣の支持率は先月から横ばいの62パーセントでした。国会で森友学園への国有地の払い下げ問題について追及が続いていますが、現時点では、内閣支持率に影響はない模様です。一方、これまでの政府側の説明に「納得できる」という人が15パーセントなのに対し、「納得できない」という人が74パーセントに達しました。天皇陛下の退位を巡り、政府は、与野党の合意を踏まえ、特例法での法整備を進める方針ですが、この対応に「賛成だ」という人は55パーセント、「皇室典範の抜本改正で対応すべき」は35パーセントでした。
 

千葉の女児全裸遺棄 遺体は不明のベトナム国籍女児
26日朝、千葉県我孫子市の排水路脇で10歳ぐらいとみられる女の子が死亡しているのが見つかり、24日から行方不明になっていたベトナム国籍の女の子と確認されました。26日午前7時前、千葉県我孫子市の排水路脇で釣りに来た男性が、「女性が全裸で倒れている。マネキンかもしれない」と警察に通報しました。警察によりますと、松戸市で24日から行方不明になっていたベトナム国籍の小学3年生、レェ・ティ・ニャット・リンさん9歳と確認されました。首にはしめられた痕があり警察は殺人・死体遺棄事件と断定し、今後、司法解剖して死因を調べるということです。
 
 
香港行政長官選挙 親中派の林鄭氏が当選
香港政府トップを決める行政長官選挙が行われ、中国政府が支持する林鄭月娥氏が、市民の人気が最も高かった曽俊華候補を抑え当選しました。この選挙は、市民に投票権がなく親中派が多い選挙委員の投票で決まる中、民意と異なる選挙結果になり、新政権は厳しいスタートを切ることになりそうです。
 

米ウーバー 自動運転車の実証試験を中断
自動運転車による事故が波紋を広げています。スマートフォンを使った配車サービス最大手、アメリカのウーバー・テクノロジーズはアメリカ国内で行っている自動運転車の実証試験を中断しました。ウーバーがアリゾナ州の公道で行っていた自動運転車の実証試験で24日、自動運転モードで走っていたボルボのSUVが他の車と衝突し横転しました。これを受けウーバーは事故の詳しい調査結果が出るまで試験を停止します。自動運転をめぐっては、去年、電気自動車大手テスラの乗用車がトラックと衝突し、ドライバーが死亡する事故が発生したほか、グーグルの実証試験でも自動運転車がバスと接触する事故が起きています。
 

欧米でも主要観光施設で消灯
毎年3月の最終土曜日はWWF=世界自然保護基金が一定の時間、消灯するようを呼び掛けている「アースアワー」の日です。欧米の観光施設でも明かりが消えました。ヨーロッパではパリのシンボル、エッフェル塔が消灯。アメリカの西海岸ではサンフランシスコのゴールデンゲートブリッジの明かりが1時間消えました。ロイター通信によりますと、10回目となった今年、172カ国のおよそ7,000都市で消灯が行われたということです。
 
 
■【コメンテーター】ニッセイ基礎研究所/矢嶋康次氏
 
・ “森友問題”影響なし?、内閣支持率横ばい

--森友学園で揺れる安倍政権ですけれども、支持率は横ばいだったんですね。

「今のところ、影響なしという話だと思います。きょう2017年度予算が決まるので、国会での追及の場が減るという話はあると思うんですけど、南スーダンの話とか、いろいろありますので、それから今回の森友の話も、これは長期化ということを考えると、かなり内閣としても支持率、特に野党の支持率が上がるかどうかに関しては、7月の都議選もありますので、かなりまだピリピリする展開なのかなというきはしますね。」

--南スーダンに関しては、稲田大臣の行方も懸念されていますね。

「そういう意味では、一部で衆議院解散早期かという話もあると思うんですけれども、まあ4月は北朝鮮がこういう状態ですし、それから経済対話がアメリカでも始まるので、解散をやっている場合ではないですけども、その意味でも支持率の動向というはかなり注目かなと思います。」
 
 
・ きょうの経済視点 「政治リスク」

「なんかちょっと潮目が変わってほしくないんですけど、トランプラリーの潮目が変わりそうな気がしてきて、経済統計はおそらく夏場ぐらいまでどこの国も労働環境がいいので、そこそこいいとは思うんですよ。ただ、今日のニュースでいっぱい出ていますけれども、例えば、ロシア、北朝鮮、韓国、香港、ウクライナ、フランス、どこを上げても政治の話ばっかりになってきて・・・。」
 
--イギリスもですね。

「はい、イギリスも今週ブレグジットですね。あとはトランプさん、今日はあまニュースに出てなかったですけど、ロシアとの問題がかなりいっぱい出てきていますので、そういう意味では世界全部そうですし、それから今までないと思って安心していた日本が、急に先週ぐらいから政治的にちょっとニュースが出ると円高になったりとか、そんな意識が出てきているので、ちょっとこの数ヵ月の間に政治問題が終息するというのはなかなか見えにくいと思うんですけど、ちょっと他ランプさんがいくつか政策が実現できるかとか、日本だと今のグダグダの話から、前向きな政治課題の話に移るかどうか、この辺がちょっと見えるか同課が重要かなと思います。」
 


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