■ マーケット
NY株 そろって続伸

市場にはリスクをとる動きが戻ってきています。イギリスのEU離脱がさらに現実的になるまでは、足元のアメリカ景気などに目が向きやすくなりそうです。イギリスのEU離脱には多くの手続きが必要で時間がかかる事もあり、ひとまず市場の目は今の世界経済の実体に移りつつあります。アメリカの個人消費もほぼ予想の範囲内で、アメリカの金融政策の行方に大きな影響はないとの思惑も安心感です。また原油の週間在庫統計でアメリカ国内の原油供給が減少したことから、原油価格が49ドル台を回復し株価をサポートしました。株価の終値はそろって続伸です。ダウは284ドル高の1万7,694ドル。ナスダックは87ポイント上昇し4,779。S&P500は34ポイントプラスの2,070でした。

【世界の株価】
29日の終値
【NY証券取引所中継】米消費堅調も住宅には注意
解説はノムラ・セキュリティーズ・インターナショナルの前田秀人氏
--連日で株価しっかりですね
イギリスのEU離脱を受けた投資家心理の悪化が一巡し、先行したアジアやヨーロッパの株式相場が軒並み上昇、それを引き継ぐ形でアメリカ市場も前日に引き続き続伸となりました。
--さて今日は個人消費支出や物価指標が発表になりましたよね。
5月の個人消費は前月比で0.4%の増加と4月の1.1%からは減速したものの、ならしてみれば底堅い動きだったと言えそうです。自動車販売は横ばい、一方ガソリンや外食などは増加しました。FRBが注目する個人消費支出物価指数は前年比0.9%増と前月から低下し、市場予想も下回りました。
--そして今日は中古住宅販売成約件数もありましたが、これはどう見ましたか。
5月は前月の大幅増加の反動もあり、3.7%のマイナスと市場予想を大きく下回りました。この指標は住宅販売件数の先行指標で、今回の結果だけで住宅市場が鈍化しているとはいえませんが注意が必要です。FRBは引き続き利上げはデータ次第としていますが、ブレグジットを受けて、週末のISM製造業指数の結果などが上振れたとしても、追加利上げが期待が高まるとは考えにくそうです。
【NY証券取引所中継】低金利が消費に悪影響?
解説はノムラ・セキュリティーズ・インターナショナルの前田秀人氏

--本当に市場は落ち着きを取り戻してきている感じですね。
アメリカの長期金利も今日は1.5%を回復してきていますが、過去と比べて依然として低金利の状況で、今後も過去最低水準の1.38%台をうかがう動きがあるかもしれません。日本やヨーロッパなども金利低下が進んでいます。
--ただ低金利はメリットもありますよね。
確かにお金を借り入れる時などには有利に働きますが、実は長期的に見るとアメリカの個人消費に悪影響を与えかねないという点で注意が必要です。長期金利が高い場合と低い場合とでは退職後の所得確保のための必要な資金が大きく違ってくるからです。

--具体的にはどのぐらいなんでしょうか。
例えば実際の投資商品の例で見ますと、長期金利が5%の場合、今35歳の人が65歳以降に年4万8千ドル(約500万円)の所得を確保したいと考えた時に、一括で17万8千ドル(約1800万円)を払う必要があります。一方金利が2%に低下すると、約5700万円に跳ね上がります。これは金利水準が少し極端な例ですが、金利が低下すると退職後の所得確保のために使える手元の資金が減り、消費に回らないと言った事態が起きるかもしれません。
【為替見通し】注目ポイントは「注目はアメリカと中国へ」
解説は三菱東京UFJ銀行の内田稔氏
--102円台後半ですが、ニューヨーク市場の動きはどうでしたか。

ブレグジットから生じる短期的な市場の混乱が少し沈静化しているので、ドル高・円高共に緩和してクロス円が結構堅調に推移しています。これに支えられてドル円も102円台後半で帰ってきました。
--今日の予想レンジは、102.10円~103.30円です。このまま緊張緩和で円安の流れは続くんでしょうか。
そうですね。若干円安への戻りがあるかもしれないんですが、日本は7月になりますと、これは第一次所得収支というんですが、配当金の集積がものすごく増える時期に入ってきます。従って実需の円買いというのがこの期末の本日あたりから出てくると思いますので、緊張が緩んでもドル円の戻りは鈍いのではないかと予想しています。
--確かに6月と7月の差を見ると大きくなっていますね。そして注目ポイントは「注目はアメリカと中国へ」、ブレグジットから次のテーマへ
移るということですか。

ブレグジットは引き続きテーマではあるんですが、ちょっとしばらく長期戦になりそうですので、その前に関心がアメリカ、中国に移っていくと見ています。特にアメリカについては7月8日の6月分雇用統計で今後の金融政策の展望を見るということになりますし、あとは中国の人民元が足下でちょっと下げ足を速めているんですけども、10月1日に予定しているSDR入りの前に規制を緩和する可能性が高まっていますから、こういった規制の緩和・変更で市場がリスクオフにならないか、要注意だと見ています。
--人民元安がさらに加速する可能性もあるということですね。
そうですね。

【日本株見通し】注目ポイントは「裁定買い残の水準」

解説はDZHフィナンシャルリサーチの東野幸利氏
--今日の予想レンジは、15600~15800円です。
欧米株高を受けまして買い先行が予想されますけれども、明日発表の日銀短観や中国の経済指標を前に後場からは伸び悩むと見ています。この先の相場上昇のカギは出遅れ感のある証券・銀行株そして円高で売られた自動車関連株の上昇が必要になると思いますので、そういった意味では1ドル103円台が見えてきましたドル円相場にいつも以上に連動性を高めるといったような展開を想定しています。
--注目ポイントは「裁定買い残の水準」です。

昨日発表されました裁定取引に伴う現物株の買残高が6月24日時点で8803億円ということで、4年半ぶりの水準まで減少しています。日経平均株価がアベノミクス相場の上昇の半値押し程度まで下落する中で、市場全体の売り圧力はかなり和らいでいると言えると思います。またPERとか配当利回りといった指標面でも割安感が出てきていますので、欧州の政治リスクを中心に不安定になる場面がまだあると思いますけれども、大量の売りで短期間に大きく下げるという状況でもないと見ています。
■【コメンテーター】三菱東京UFJ銀行の内田稔氏、SMBC信託銀行プレスティアの尾河眞樹氏
・英国・募る不透明感・ポンド安の余波
--デンマーク、スイスが為替介入。為替をめぐる状況というのはポンドに振らされる展開が続きましたよね。
(内田氏) 「そうですね。ポンド安の受け皿として同じ欧州のスイスフランとかデンマークが買われているんですけれども、一方でドルが全体的には強くなっていますので、逆にドルにペッグされている中東の通貨や香港ドルは通貨高で、切り下げという話が出てくるかもしれませんから、このポンド安によるリバランスというのはしばらく続くと思います。」
--そういったところがどう波及していくのか、まだまだ不透明なのがすっきりしないですね。
(尾河氏) 「そうですね。よく分からない不透明感というのがマーケットにとって一番マイナスなんですけれども、今回の件は普通イベントがが終わって今後のスケジュールが良きにつけ悪しきにつけ、受け入れていかないといけないですけれども、まだよく分からないですよね。9月以降に交渉が始まるという話だから、この不透明感がしばらく続くのは市場心理には少しましナスかなと思います。」
・今日の経済視点
(内田氏) 「やはり・・・成長戦略」
異次元緩和をやってきたわけですが、なかなか効果が不明瞭で、ただ一方で財政も公的債務残高が積み上がっていますので、異次元の財政出動やってきたはずですが、それらが機能しないとなると、改めて原点に返って成長戦略というのが結局考えていかなければいけないことだと思います。
--成長戦略については皆さん耳にタコができるほど口にされているんですけど、どの程度進捗しているのか、その当たりが見えないですね。
見えにくいところがありますね。やはり一つは首都機能を分散化すれば、人・モノ・金の流れが劇的に変わると思いますので、一つ大きな起爆剤になるかなと思います。日本は地震大国でもありますから。
(尾河氏) 「イベントリスクとボラティリティ」
今日は円安の話をさせていただいたんですが、やはりイベントがどんどん続くわけです。今年は多いですから、7月の参院選、11月の大統領選、これらは基本的にアベノミクス継続で円安の流れ。あるいはクリントン氏が勝ってトランプ氏のようなリスクはないだろう、という見通しはしていますけれども、ブレグジットのようにまさかということが起きるので、やはり気を付けていかないといけないということです。
■特集 年後半の為替は円高?円安?
あすから7月、下半期に入ります。今年も数々の想定外に見舞われ、為替も大きく動きました。年初120円台だったのに先日の100円割れは記憶に新しいところ。年後半、為替は、円安か、円高か、専門家にお聞きします。
解説は三菱東京UFJ銀行の内田稔氏、SMBC信託銀行プレスティアの尾河眞樹氏。

--まずは年後半に向けてのお二人のシナリオを出していただきましょう。円高と円安に見事に分かれています。まず尾河さんは年末に向けて円安が進むと見ているんですね。107円。
(尾河氏) これは目先、不透明感で一旦97円位まで円高が行くこともあるかなと思っているんですが、7月の日銀の追加緩和で一旦円安、その後はまた大統領選や英国のEU脱退宣言などで一旦また円高の可能性があるけれども、年末にかけては徐々に不透明感が晴れて行って、円安ドル高の方向という見方です。
--ブレグジットを受けまして、やはり為替見通しを修正しましたか。
(尾河氏) そうですね。直近では112~113辺りを見ていたんですが、やっぱり今回のことで足下ド~ンと下がってしまいましたので、もう修正せざるをえないという状況ですね。
--107円を目指すという展開の中で、ベースとなるポイントは何でしょうか。
(尾河氏) 基本的なベースとしては私は日銀のマイナス金利によって長期金利がものすごく下がっているので、これが為替に与えるインパクトが若干過小評価されているんじゃないかなと思っている。足下ボラティリティが高まってしまうと、どうしても為替のインパクトの方が大きくなり、金利差って関係ないという話になってしまうんですけど、ボラティリティが徐々に治まってくれば、金利差に徐々に目が向いていくという見方です。

--そうなるとどういう動きが出てくるのか、マネーは外貨へということなんですけど、その動きを見ていきましょうか。
(尾河氏) 一般投資家も個人も徐々にリスクを取らざるをえない状況になってくる。運用していくにあたっても外貨投資ということが必要になってくるだろう。
(フリップ2)
(尾河氏) これは個人のほうですが、個人の外貨投資はまだまだ全体の金融資産で見れば2.4%ぐらいで非常に小さいですが、それでも外貨の部分が増えているんですね。それは円建てで買える投資信託で中身が外貨モノになっているというのが主流だったんですが、今後は徐々に外貨預金とか海外証券投資なども徐々に増えていく可能性が高い。

--それによって結局、円を売ってドルを買うという円安の効果がベースに出てくるだろうということなんですね。日銀の緩和の効果が出てくるだろうと・・・。一方、内田さんはどうでしょうか。内田さんもブレグジットを受けて修正しましたね。
(フリップ3)
(内田氏) シナリオは円高なんですが、水準調整は不可避ということで、下方修正を予定しています。
--そして動きとしては、これは(8月ごろちょっと上がっているのは)尾河さんと同じで、日銀の緩和期待ですかね。
(内田氏) そうですね。目先は緊張の緩和で、円高の反動であるとか、日銀の追加緩和期待などで、若干上がるときがあるかもしれないと見ているんですが、ただ基調としてはドル安円高を予想しています。
--年後半から下がっていきますけれども、この要因は何でしょうか。
(内田氏) ここまでのドル安円高というのは主に円高要因、日本側のデフレ脱却に対する期待感が後退して、円の実質金利が上がってしまうという円高が原動力だったんですが、5月あたりからアメリカは本当に利上げできるのかというドル安に軸足が移ってきていると見ています。

--そしてそれによって日本の期待インフレ率が低下をします。それによって日米の金利差がここで・・・
(フリップ4)
(内田氏) そうですね。2012年以降日本の期待インフレがずっと上がりまして、これが株高円安の原動力だったんですが、昨年以降急激に低下して円高をもたらしていた。しかし今年の4~5月ぐらいに一旦底を打って反発していますので、本来ならば円高は落ち着いてもよかったんです。ところが4月以降はアメリカサイドの連続利上げに対するシナリオが揺らぎ始めていて、今度はアメリカの名目金利が少し下がってきていて、これが今の足下のドル安円高の大きな要因になっています。

--結局アメリカの金融政策の方向性に注目が集まるわけですね。過去にもそういう局面がありました。これはアメリカで前回の引き締め局面のところ、ピンクのところですが、引き締めにもかかわらず、為替はドル安になっている。
(フリップ5)
(内田氏) そうですね。前回、17回連続で利上げをした局面で、アメリカドルは全面安になっています。当時は周りの国も利上げをしていたので、いわゆる金融政策の格差というのがあまりなかった。その時に経常赤字が重しとなってしまった。ここから先は日本やECBは緩和姿勢を維持するんでしょうけれども、アメリカもそんなに利上げができないんだとすると、金融格差がだいぶ縮小してしまって、経常赤字が効いてきてしまうということで、ドル安と見ています。

--金融政策が同じ方向の場合というのは、経常赤字に注目が行ってしまって、ドルが売られてしまうという流れですね。さて円高派の内田さん、円安派の尾河さんということで、続いては非常に為替に影響を与えます日米金利差、追加緩和があるかどうか、利上げがあるかないか。尾河さん、まずアメリカをどう見ますか。
(尾河氏) 12月に一回利上げをする可能性があるかなと思っています。
(フリップ6)
--現在、市場の予想はどんどん回数が減ってきまして、12月でもようやく8.6%ぐらいです。
(尾河氏) そうですね、織り込みとしてはほとんど年内無しということですね。だけどここまで利上げの期待が後退してしまっているわけですから、9月までに織り込ませていくのは非常に難しいだろうということで、9月の利上げはもうなくなったと思いますけれども、12月に1回はできるんじゃないかと思います。
--できると見るその根拠は何でしょうか。ですから尾河さんは年後半に円安になると見ているんですね。
(尾河氏) アメリカの経済は直近でFOMCメンバーが年内2回利上
げ、3回利上げという意見が多かったですけれども、そのくらい温まってきているというか、良い状態だったと思うんですね。これがブレグジットによって大きく変わるのかというとその可能性は低いだろうと思うんです。

(フリップ7)
このグラフは各国のGDPなんですけれども、例えばユーロ圏(グリーンの線)は2011年の年末から景気後退に入っているんですが、これはユーロ圏の債務問題が影響していて、非常に景気後退になったんですが、イギリスもある程度それに引っ張られている。だけどアメリカ(ブルーの線)はほとんど影響を受けていないんですね。だからそもそも欧州経済とアメリカの経済の関連性というのは低いのではないか。今回もしイギリスが離脱して景気後退に入るとしても、それが実際に起こるのは2年後であって、今年のアメリカの金融政策には影響はない。
--そうすると対する円高派の内田さんとしては利上げの可能性をどう見ているのかというと・・・

(内田氏) かなり難しいと見ています。年内はないと予想しています。
--円高円安の方向性はここが違うわけですよね。何故でしょうか。
(フリップ8)
(内田氏) アメリカは確かに欧州からの影響はそんなに受けないかもしれないが、今回の景気回復というのは2009年7月から始まって、もう8年目に入るという状況です。労働市場情勢指数という非常に景気との関係性が深い指標が既に5ヶ月続けてマイナスになっている通り、経済については勢いがそろそろピークアウトしている可能性が高い。アメリカは時間が経てば利上げがやりやすくなるというよりは、むしろ時間がたつほど利上げがやりにくくなってくるときに差し掛かっていて、結局、利上げできないのではないか。もし利上げできないとすると、先ほど申し上げた経常赤字が効いてしまうので、ドルには下押し圧力が加わってくると予想しています。
--尾河さん、今の内田さんの意見はどう思われますか。
(尾河氏) 景気循環的にアメリカが景気後退に入るのは来年後半ぐらいと、私のほうはちょっと後ろなんです。まだ手前は大丈夫じゃないかという見方で、そこが違うんだと思います。
--なるほど。それからさっきのお話で言いますと、尾河さんはフローの部分、それから(内田さんは)ファンダメンタルズの部分、ここの見方の違いというのがあるわけですね。でも根底は同じで、どっちが強く出るか、ということですね。さてそして追加緩和については、内田さん。
(内田氏) 円高が進むと7月の追加緩和の可能性が高まってくると見ている。ただまだマイナス金利政策の影響や今回のブレグジットの影響などを見極めて、10月以降まで温存するのではないかと予想しています。
--尾河さんは・・・
(尾河氏) 私は7月の可能性がむしろ高まっていると思います。円高株安で動かざるをえないと思います。
--ということでお二人の考え方をまとめました。

(フリップ9)
見立てとしてはアメリカの(内田)利上げは年内無し、(尾河)12月。追加緩和の時期に違いがあるということで、ドル円の方向性も(内田)95円、円高(尾河)107円、円安となっています。もしこのシナリオが崩れるとしたら何でしょうか。
(内田氏) 米中を中心に世界経済が良くなるという明るい雰囲気とアメリカの利上げが重なると、その時は円安に振れやすくなってくると見ています。
(尾河氏) イギリスと欧州の状況がもっと混沌としてきて、各国の外貨準備、イギリスポンドやユーロから円にシフトする、そういうしわ寄せが円に来ていしまう場合の円高ということですね。
■今日の予定
5月鉱工業生産指数
5月自動車生産・輸出実績
6月為替介入実績
ユーロ圏6月消費者物価
米6月シカゴPMI
■ニュース
イギリス抜きのEU会議 改革を議論
イギリスのEU離脱(=ブレグジット)を受けて、ベルギーのブリュッセルではイギリスを除く27ヵ国が首脳会談を開きました。一層の団結を確認した上で、今後のEU改革について議論を進める方針です。
《中継 : 豊島晋作記者》
第2、第3の離脱は防げるのか。英国が姿を消したEUが事実上スタートした。今回の首脳会議はEUの歴史上初めて英国抜きで開かれた。各国ともEUに反対する勢力を抱える中、一層の団結を確認したうえで、次の出ないよう今後必要なEU改革を議論していくことで一致した。また離脱後も、EU単一市場へのアクセスを求める英国を強く牽制した。EUのトゥスク大統領は「EUの単一市場にアクセスしたいなら、移動の自由などEUが掲げる自由を認めることが必要だ。これは明確な方針だ。」と述べた。英国のEU離脱派が目指す移民の制限などは認められないというわけだ。EUは今回、英国にいいとこ取りさせない姿勢を明確に示した。一方、英国のキャメロン首相はロンドンで、EU市場へのつながりを確保し国内産業を守ることが重要だと強調した。
《英国/キャメロン首相》
「間違いなく経済は厳しい状況を迎える。英国にとってベストな条件を引き出さなければいけない。それはEUの単一市場へのアクセスを確保することだ。GM、日産、トヨタなどはそのために英国に投資しているからだ。」
英国とEUは離脱交渉を9月以降に交渉を始めることで合意したが、思惑はすれ違ったままで交渉は難航必至だ。
「スコットランド残留」に波紋
イギリスを構成する4つの地域の1つスコットランドが、EU残留を図る動きを加速させ、波紋が広がっています。スコットランド行政府のスタージョン首相は29日、ブリュッセルのEU本部でヨーロッパ議会のシュルツ議長などと会談し、EUにとどまる方策について意見を交換しました。しかしこうした動きに対しスペインのラホイ首相が、「スコットランドとのいかなる交渉にも反対する」と述べたほか、フランスのオランド大統領も「交渉相手はあくまでイギリスだ」とするなど、スコットランドのEU残留に否定的な見解を示しています。
「ECB 金融緩和急がず」
ECB=ヨーロッパ中央銀行は、恐れていたほどには市場が混乱しなかったとして金融緩和を急いではいないことが、複数の関係者の話で分かりました。ロイター通信が伝えたものです。ただ、相場が持ち直した要因の一つは、ECBによる景気刺激策への期待があったためとの見方もあり、今後の相場の動きが注目されます。
デンマーク 770億円相当 為替介入か
ブレグジットによる為替変動を受け、デンマークが50億クローネ、およそ770億円相当の為替介入に踏み切ったもようです。これは、北欧最大の銀行、ノルデアの推計で明らかになったものです。ブレグジット決定による質への逃避で、クローネが対ユーロでおよそ10年ぶりの高値まで上昇したことを受けたものとみられます。
エコノミスト7割「英景気後退へ」
ブレグジットを受けてエコノミストの7割が、イギリスは、遅くとも来年には景気後退入りすると予想していることが、ブルームバーグの調査で分かりました。エコノミスト35人に調査したもので、このうち過半数が、イングランド銀行は来月から9月までに利下げすると予測しました。一方、格付け会社フィッチ・レーティングスは、イギリスへの投資は来年5%減少するとの見通しを示しました。
ソニー ロボ事業再び
ソニーは、AI=人工知能を搭載した家庭用ロボット事業に再び参入すると明らかにしました。これは、平井一夫社長がきのうの経営方針説明会で、明らかにしたものです。事業化の時期は未定ですが、5月に出資したアメリカのAIベンチャーと共同で既に開発を進めており、ゲームや半導体に次ぐ事業の柱に育てたい考えです。ソニーはかつて犬型ロボットの「AIBO」を手がけていましたが、2006年に生産終了し、事業から撤退していました。
タカタ 株売却で資金
エアバッグのリコールによる多額の費用負担が懸念されるタカタは持ち合い株の6割を今年3月期に売却したことが有価証券報告書で分かりました。凸版印刷や東レ、三井物産の株式をすべて売却し、自動車メーカーのホンダの保有株式は223万株から99万株へと大幅に減らしました。売却益はおよそ38億円です。
自爆テロ 死者41人に
トルコ最大の都市イスタンブールにあるアタチュルク国際空港で28日に起きた自爆テロについてトルコ政府は死者が41人、負傷者は239人になったと明らかにしました。捜査当局は、空港の監視カメラを分析するなど実行犯3人の特定を急いでいます。犯行声明は出ていませんがトルコのユルドゥルム首相は中東の過激派組織「イスラム国」による犯行の可能性が高いと指摘しました。
小池氏 出馬宣言で波紋
自民党の小池百合子元防衛大臣が、東京都知事選に出馬する意向を表明したことに対して自民党内では反発が広がっています。「崖から飛び降りるつもりで、その覚悟で挑戦したい」小池氏は、このように述べ、自民党の支持を得た形で、都知事選に出馬したい考えを表明しました。ただ、自民党の東京都連は、政治資金問題の指摘を受ける可能性が低い、国会議員以外の候補を擁立する方針を固めていて、小池氏の突然の出馬表明には、反発が広がっています。東京都連会長を務める石原経済再生担当大臣は、きのう、擁立論が高まっている総務省の前の事務次官、桜井俊氏と会い、出馬を直接要請しました。しかし、桜井氏は、「家族に迷惑をかける」として、出馬を固辞する考えを改めて伝えたということです。一方、民進党東京都連も小池氏の出馬表明を受けて緊急会合を開きました。会合では、江田代表代行や長島昭久議員などの名前が挙がりましたが決定には至りませんでした。
パトカーがバスと衝突
横浜市瀬谷区できのうサイレンを鳴らしたパトカーが赤信号の交差点に進入し青信号を直進してきた18歳の高校生が運転する車と衝突しました。衝突のはずみで、パトカーは乗客17人を乗せた路線バスにぶつかりました。事故で18歳の高校生が軽いけがをし、路線バスはフロントガラスが破損しましたがバスの乗客と運転手、パトカーを運転していた警察官3人にけがはありませんでした。
■日経朝特急
①女性・シニア、働く人の5割
国勢調査の一部を抜き出した速報集計で、就業者全体に占める女性と65歳以上の高齢者の割合が初めて5割を超えたことがわかった。労働力人口の6000万人割れが目前に迫るなか、女性とシニア層が働き手として存在感を高めている。
②高齢化社会一段と
初めて全ての都道府県で65歳以上の高齢者の割合が15歳未満の子どもの割合を上回った。総人口に占める高齢者の割合は26.7%に達し、日本が世界で最も高い水準となっている。
③MRJ量産工場・来月稼働
国内初のジェット旅客機MRJの量産工場が来月上旬稼働する。三菱航空機は来年からは月1機程度のペースで生産する予定だ。初号機については国内の型式承認を取得し、2018年半ばに納入する見通しだ。
■日刊モーサテジャーナル
①米トランプ氏の経済政策、反グローバリズム鮮明に(ニューヨークタイムズ)
米大統領選、共和党のドナルド・トランプ氏が28日に発表した経済政策のなかで、NAFTA(北米自由貿易協定)やTPPなどを猛烈に批判したことに注目し、「グローバリズム脱却の道を鮮明にした」と報じている。かつて製造業が栄えていたペンシルベニア州の鉄のリサイクル工場で演説したトランプ氏は、「NAFTAは再交渉なければ無効に、TPPにいたっては再交渉なしで完全に拒否する姿勢」を表明。グローバリズムは富裕層に恩恵をもたらしただけで、製鉄業など多くのアメリカ人労働者を苦しめている」と主張し、関税を元に政府の歳入を確保する方針を示した。ただ記事は、トランプ氏の経済政策はノスタルジアに過ぎないとし、アメリカ経済の過去数十年の歩みに逆行することになると批判している。そしてつい先ほどNAFTAを構成する米国とカナダ、メキシコの3首脳が共同記者会見し、トランプへ反論として、NAFTAの意義を改めて強調した。オバマ大統領は「貿易協定から撤退し、国内市場だけに焦点を当てるのは誤りだ。人々の利益になる国際的枠組みを作るため努力を続ける。」と述べた。
②ブレグジットで不動産価格下落、狙う中国人(ウォールストリートジャーナル)
ブレグジットで英国を含めヨーロッパの不動産業界にも激震が走っている、と報道。外国企業が拠点の移動を進めていることもあり、今後18ヶ月でロンドンの商業不動産価格は最大20%下がるという見方を伝えている。一方、一部の中国人はロンドンの不動産価格の下落を「バーゲン」ととらえて、絶好の買いのチャンスを狙っているそうだ。上海に拠点をもつ不動産のウェブサイトによると、イギリスの不動産について問い合わせをしてきた中国人の数が先週は前の週の倍に膨らんだという。ポンドが対人民元でも急落していることに加え、長期的にロンドンは安全な投資先と見ているということだ。
③米国のジムがオフィスに(ウォールストリートジャーナル)
米国では運動と仕事を両立できる設備を整えたジムが増えている。ジムがオフィスと一体化してきている。これまではスターバックスなどが会社の外の仕事場として使われてきたが、いまは多くのジムがデスクやWi-Fi設備、無料でコーヒー提供など、まさにオフィス作りに力を入れている。
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