■マーケット
NY株、そろって小幅に下落
9日のニューヨークの株価は、そろって小幅安となりました。前日に株価や原油価格が節目を超えた事もあり、達成感から一服感がただよいました。ダウ平均株価は、8日に1万8,000ドルを回復した反動で売りが出やすい地合いでした。ただ9日発表の雇用指標などはほぼ予想どおりの内容で、下値も限定的。取引終了にかけ下げ幅を急速に縮めました。市場の関心は、すでに来週のFOMC、連邦公開市場委員会に向いているようです。終値はダウが4日ぶり反落、19ドル安の1万7,985ドル。ナスダックは反落。16ポイント低下の4,958。S&P500指数は4日ぶり反落、3ポイントマイナスの2,115でした。

【世界の株価】
9日の終値
【NY証券取引所中継】原油相場の行方は?
解説は三井住友アセットマネジメントNYの曽根良太氏
朝方はアジアや欧州市場の下落を受けまして、下落して取引をスタートしました。ディフェンシブ色の強い通信や広域セクターなどが上昇しましたが、新規材料に乏しい一日となりました。

--このところの原油価格の上昇ですけれども、市場の安定につながる一方で、心配なこともあるそうですね。
原油価格上昇にともなるガソリン価格の上昇のリスクです。既にアメリカでは夏のドライブシーズンに入り、これからガソリンの需要が強くなります。特に今年はSUVなどの大型車の販売が昨年後半から好調で、価格が低位で推移していること、暖冬だったことで、実際2月以降からはガソリン需要の強い状況が続いています。
--そうした価格の節目というのはあるのでしょうか。
ガソリン価格が3ドルを超えてくると、消費者の心理に影響すると言われますが、原油価格が少なくとも70ドルぐらいまで上昇しなければその可能性は少ないと思います。ただもし3ドルを超えてくると8月下旬以降の新学期商戦や年末商戦への盛り上がりの不安が連想されるかもしれません。
【NY証券取引所中継】原油高 消費への影響は?

解説は三井住友アセットマネジメントNYの曽根良太氏
--先ほど原油価格の話があったんですけれども、一時51ドル回復となる展開の中、このまま上昇基調に乗れるのでしょうか。
価格上昇のペースは今後の世界での生産量の増加ペースがカギになります。まずイランの原油生産量が制裁前のレベルに近づいていることで、11月のOPEC総会に向けて生産調整などが合意される可能性は高まりつつあるとの見方が一部で出ています。これは原油価格の安定には一役買いそうです。
--ただ生産量に関しては他に気にしなくてはいけない要素もありますよね。

アメリカの原油生産量は短期的にどのぐらいのペースで回復できるかです。直近では掘削リグの稼働数と原油生産量が約3か月ぶりに増加し、WTI先物でヘッジをかけて販売価格を確定する動きを活発化するなど、アメリカのシェール生産会社が生産を再開する兆しが出ています。
--となると目先はまた下落圧力が高まるのでしょうか。
昨年の5月のような急激な生産量の回復は見込めないため、価格の上昇ピッチがより緩やかになる程度と見ています。というのも油田開発会社が大規模なリストラをし人手が足りないことや、すぐに生産に結び付く未完成の井戸が大きく減少しているためです。但し仮に55ドルを超えてくると、開発を再開するシェール生産会社が増える可能性が高く、掘削リグの稼働数の急増が懸念されそうです。よって夏場に向けたWTIの見通しは45ドルから55ドルのレンジで揉みみ合う動きとなりそうです。
【為替見通し】注目ポイントは「6月FOMC」
解説はフィスコNYの平松京子氏
朝方は原油価格が 10か月ぶりの高値から反落、ECB のドラギ総裁が「ユーロ圏各国の改革案先送りされた場合、経済的代償を払うことになる」と警告したことが嫌気され、リスク回避の円買いやユーロ売りが強まりました。米国債利まわりの低下に伴い、ドルは一時対円で下げました。しかし引けにかけては株式相場の回復につれて大きく戻しました。
--今日の予想レンジは、106.50円 - 107.50円 です。
原油動向を睨みつつレンジ相場ながら、6月の FOMC で利上げが見送られるとの見方からドルの上値は重い展開が続くと予想します。
--注目ポイントは「6月FOMC」、利上げがほぼないと見られる中で、どこを見ていけばいいでしょうか。
利上げ見送りが確実な中、年内の利上げの道筋を確認するうえで声明、四半期ごとに発表されるスタッフ予測、そしてイエレン FRB議長の会見が重要となります。ネガティブショックとなった 5月の雇用統計を受けて、夏の利上げ確率は大幅に後退しました。しかしイエレン議長は統計後の講演で、依然米国経済の強気な見方を維持しており、金利もいずれ上昇すべきとの考えを示しました。このため 7月の利上げは完全に除外されたわけではありません。声明やイエレン議長の会見、予測で強気の見通しが維持され、7月の利上げ確率が上昇した場合に、ドル円は110円を再び試す可能性もあるでしょう。

【日本株見通し】注目ポイントは「投資家心理」

解説はSMBC信託銀行プレスティアの山口真弘氏
--今日の予想レンジは、16500~16900円です。
アメリカ株は午後に持ち直すにつれて、シカゴ日経平均先物もこの日の下げを徐々に戻す展開となりました。本日の東京市場はメジャーSQを通過し値動きが軽くなる可能性もありますが、株価の円高に対する感応度もやや低下していることもありますので、仮に下値模索となってもその動きは限定的と思われます。引き続き明確な方向感が出にくい相場展開となりそうです。
--そして注目ポイントは「投資家心理」です。(フリップ1)
投資家が予想する将来の株価の変動率を示します日経平均ボラティリティ・インデックスが横ばい圏で推移しています。これは相場の安定を示しておりますが、足下では26ほどと、20付近で横ばい圏にあった昨年末の水準と比べると
やや高めで、投資家の不安心理がやや強い様子が窺えます。その背景になる最も強い要因はやはり今月23日のイギリスの国民投票に対する警戒感だと思われます。EU残留か離脱かの優劣が見極めにくい状況であることから、投資家の不安心理は当面くすぶるというふうに考えています。

--そうなると株価は今後どう展開するとみていますか。(フリップ2)
日経平均株価は2月以降上値を切り下げ、下値を切り上げる三角持合いを形成しています。16000円台後半を中心に当面は膠着感の強い相場展開が続くと予想しています。ただブレグジット自体はないと見ておりますので、もしなかった場合には日経平均株価は17000円台後半まで上値余地が広がると考えています。
■【コメンテーター】双日総研/吉崎達彦氏
・クリントン氏支持表明「大統領にふさわしい」
--アメリカ大統領選、オバマ大統領がクリントン氏を支持表明しました。
「このタイミングをずっと待っていた感じですよね。でもオバマさんとしてはこの春ぐらいから自分の支持率が上がってきているので、非常にいい感じで次へ渡せて、ご自分はハッピーなのではないか。」
--ただ今後の影響ですよね
「おそらくサンダースさんがいかにうまくメンツを保ちながら、撤退できるようにするかということをオバマさんは考えていて、たぶん今8年前のことを思い出している。あの時は自分が勝ってヒラリーさんが負けた。あの時もヒラリーさんはすぐに負けを認められなかったんです。だからこれをまとめられるのは俺しかいないというふうに思っていると思いますね。」
--仲介役としての役目を意識されているということなんですね。
・日刊モーサテジャーナル/サンダース氏にハリウッドが熱視線
--サンダース氏がタレントに?
アメリカで今注目されているのが18歳から35歳までのミレニアル世代で、この世代ををこんなにはっきりつかんだ政治家は初めてです。ですから彼の人気は何が原因なんだというはみんな興味があるのではないか。
・ワードバンク/イギリスのEU離脱
--日本企業には影響が出てくるんですか。
社内で議論すると、いますぐどうこうという感じではない。イギリスがもし抜けるという決断をすると、他の国がまた同じようなことを考え出すかもしれない。だからEU全体の不透明性が増すことがリスクになると思う。
・今日の経済視点 「ミレニアル世代(1981年~1998年生まれ)」
今回の大統領選挙でサンダース氏はこの世代を新しい民主党のお客さんに取り込んでいる。実はこのミレニアル世代が数の上でバビーブーマーよりも多くなった。移民の若くて出生率の高い人たちがどんどん入ってきているので、そこも逆転しているんですね。
--存在感がある世代だということですね
問題は今まで投票率が低かった。ですからこの人たちをどうやって選挙に駆り出すか。そうするとたぶん考えられるのが、「トランプを大統領にしていいのか」と言って落とすんじゃないかと思う。
--一方でトランプ陣営もヒラリーでいいのか、というネガティブ選挙になりそう。
今までで一番嫌な大統領選挙になりそうですね。
■【プロの眼】どちらが抜け出す?大統領選の行方
アメリカ大統領選で民主党クリントン氏がようやく候補指名を確実にし、共和党トランプ氏との戦いになります。ただ両氏の人気は決して高くなく、むしろ不人気比べの対決という見方もあります。政治専門サイトの世論調査では、両者の差はわずかで拮抗しています。ただアメリカの選挙を、州ごとの支持率調査で見ると、昨年に比べて民意が民主党側に寄っています。いつも激戦になる、フロリダ州やペンシルベニア州でやや民主党が有利になっています。クリントン氏が予想以上に優勢と見ていいのでは。ただし勝つためには、民主党が団結しなければならないでしょう。サンダース支持者がちゃんとクリントン陣営に合流してくれるかどうかががカギになります。もしトランプ政権誕生になれば、日米関係の築き上げた関係が崩れる懸念も含んでいます。

解説は双日総研の吉崎達彦氏。
--民主党のクリントン氏がようやく候補指名を確実にし、共和党トランプとの戦いになる。この二人の好感度調査では、お二人ともとても嫌われている印象を持ってしまう。(フリップ1)
支持するか支持しないかというのは結構ぶれるんですが、好き嫌いというのはあまり変化しない。こういう人も珍しいが、寄りによってそういう人同士の戦いになってしまった。

この間もう重なってしまったので結構騒がれたんですが、ただこれはどっちを支持するかといって
も、投票が今日だったらという話なので、あまりこれに一喜一憂するのはプロではない。
も、投票が今日だったらという話なので、あまりこれに一喜一憂するのはプロではない。
--プロが見るのは、ブックメーカーですね。
例えばイギリスのブックメーカーではクリントン1.4倍、トランプ3.25倍で相当な差がある。単勝で1倍と3倍だと競馬でいうと相当な差なんですが、実はこれだけでは見通せない。
--それではこちら(フリップ3)。大統領選の時によく見るアメリカの地図ですね。
米国の大統領選は州ごとの選挙人の獲得競争なんです。いつも(例年)は、こういう州を見る時、激戦州(黄色)が10個ぐらいある印象です。ところが、フロリダ州など典型的な激戦州が今は民主党州になっている。
コロラド州やペンシルベニア州もそうなんですが、たぶんこの辺はヒスパニック人口が多いので、既に反トランプで少し動きが出てきている。結果的に民主党寄りの州を足しただけで過半数を軽く超えてしまう。ものすごい地殻変動が起きている。

--それを見るとクリントン氏が予想以上に優勢と見ていいのですか。
クリント氏が、ではなくて民主党が優勢なんです。つまり民主党が団結できればいま楽勝の構えになっている。
--それで団結させるためにオバマ氏が仲介を買って出ているわけですが、サンダース氏はどう出ますか。最後まで戦うと言っていますが・・・。
問題は、サンダース氏の支持者は若い。クリントン氏の支持者はどちらかというと中高年。この世代間ギャップを埋められるかどうか、というところがこれからの注目点です。
--党内が団結できるかどうか。ただこうして団結がうまく行って、クリントン氏がもし大統領になった場合には、日米関係などオバマ路線を踏襲すると見ていいですか。

さっきの接続水域のニュースなんかもそうですが、割といま日米関係はカチッとうまく行っている。これがこの後も続くかどうかなんですが、たまたま先週末にアメリカの安保の専門家が大量に日本に来ていまして、これは日経の企画なんですけれども、結構なメンバーが来ているんですね。(フリップ4)
日経・CSIS共済シンポジウムでアーミミテージ元国防副長官、グリーン元大統領補佐官、ペーター元大統領補佐官、フロノイ元国防次官、キャンベル前国務次官補が来日。それで私の注目はフロノイ元国防次官を呼んだこと。基調講演もこのフロノイさんなんですが、この方はもし来年民主党政権の場合は初の女性の国防長官として有力視されている。こういう人を呼んできたというのは非常にポイントが高いと思います。
--日本としては人脈をしっかりと構築できていると・・・
ところがこれは来年ヒラリーさんが大統領の時の話で、トランプ大統領だとこの投資が全部無駄になるかもしれない。
--トランプ氏とのネットワークはまだなかなかできていない。
それは世界中の誰も持っていないと思います。
■【ワードバンク】イギリスのEU離脱

イギリスのEU離脱問題は離脱派優勢の世論調査結果が相次いでいます。23日の国民投票でEU離脱が現実となれば、イギリスの経済成長率はEUにとどまった場合と比べて最大9.5%も下落すると見込まれています。EU離脱で何が起こるのか、シミュレーションします。
残留派《キャメロン首相》
「EUから離脱すると市場が狭くなり、ビジネスや雇用の大きなダメージになる。」
離脱派《独立党/ファラージ党首》
「この国をより安全にするためには、EUのパスポートをイギリスのパスポートに戻すべきだ。」
残留か離脱か23日の国民投票に向け論戦はヒートアップ。世論調査では離脱派(48%)が残留派(43%)をリード。イギリスのEU離脱で何が起こるのか。そして日本への影響は?イギリスのEU離脱をシミュレーションします。
離脱派が勢いを増していますからどうしても離脱後に注目が集まってきます。
(1) そこでまずは経済への影響は?
①国民投票の結果にいち早く反応するのが金融市場で、ポンドやユーロがどこまで下落するのか。みずほ証券の鈴木健吾氏は、ポンド(154円→120円)、ユーロ(120円→100円)と円高が進むと予想する。
②そして実体経済への影響は?OECD経済開発協力機構の予測では2030年の経済成長率がEUに残留した時に比べて(-2.7~-7.7)、イギリス財務省の試算では15年後に(-3.4%~-9.5%)
③結構予測の振れ幅が大きい。その理由は、どのような協定をイギリスとEUが離脱後に結ぶのか不透明だから。
(2)イギリスの歩む道は?

離脱後はノルウェー型かスイス型かカナダ型か。こちらはイギリスとEUが新たに協定を結ぶうえで見本となる国です。それぞれEUと結んだ条件に違いがあります。
・ ノルウェー型
・ スイス型
・ カナダ型
カギとなるのは
・ EU市場への自由なアクセス(モノ、サービス、人)
・ EU法規則の順守
・ EU予算への拠出
--EUとの交渉の上でイギリスがこれらの点についてどんな要求をしそうなのか、みずほ総研の吉田健一郎氏に聞いた。
《みずほ総研/吉田健一郎》
「(英国は)EUの規制を全部受け入れなければいけいことや、EUに対して予算を出さないといけないことが嫌ですし、もっと嫌なのが移民です。居住の自由や就労の自由がEUの中では認められているが、そこを制限したい。」
一方でイギリスはEU市場へのモノやサービスの流れに制限を賭けたくなと言います。
「緊要な産業は金融サービスと製造業で、こうしたセクターの欧州市場への自由なアクセスの確保ができるかどうかがイギリスにとっては重要になる。」
--モノやサービスは自由に、でもEUに予算や規制というところでは縛られたくない。果たしてそんなことが可能なのか。

①ノルウェー型
EUへのアクセス モノ(○)サービス(○)人(○)
EU法規制の順守(○)
EU予算拠出(○)
これは現状と似ていて、イギリスとしては難しいだろう。あまり今と変わらない感じがする。
②スイス型
EUへのアクセス モノ(○)サービス(△)人(○)
EU法規制の順守(○)
EU予算拠出(△)
これはイギリスが求めている自由な金融サービスに少し制限があるので難しい。
③カナダ型
EUへのアクセス モノ(○)サービス(△)人(×)
EU法規制の順守(△)
EU予算拠出(×)
自由な人の移動を制限できて、財政拠出もない。モノやサービスの移動は交渉次第である。離脱派の希望に一番近い形になりうるということで、吉田氏は「カナダ型」をベースに独自の経済協定を目指していく可能性が高いと予想しています。
(3)離脱は長い交渉の始まり
・ 【EU離脱のプロセス】
国民投票で離脱派が勝利すると、EUに離脱の意思を通告し、2年をめどに離脱協定、新協定の枠組について交渉する。2年間は加盟国のまま。
《16年》==========《17年》==========《18年》
23日国民投票 EUに通告から2年間 6月?交渉期限
(交渉(離脱協定・新協定の枠組み)

《みずほ総研/吉田健一郎》
「17年春(4-5月)にフランス大統領選、秋(8-10月)にドイツ議会選挙がある。いずれの国でもEUに懐疑的な政党が支持率を伸ばしているので、イギリスに安易に妥協すると選挙情勢に影響するので、そんなに妥協は簡単ではない。」
吉田氏が予想したカナダ型でさえも、締結までに4年かかっているということで、うまくまとまらないということも十分考えられる。その場合、交渉がまとまらないうちはWTOの枠組の中で貿易をするということになるので、高い関税がかかる。経済成長率も大きく落ち込むことになる。そこが決ま
らないということは不透明過ぎて企業は行動できない。現在イギリスに進出する日本企業は、トヨタ、日産、ホンダ、日立製作所、東芝、富士通、武田薬品など931社。そのうち35%が卸売販売、24%が製造業で、ヨーロッパの拠点としてイギリスに進出している企業が多い。輸出に関税がかかるということは当然影響が出てくる。実際イギリスに鉄道車両工場を置く日立製作所は、離脱した場合投資や雇用の計画を見直す可能性があるというふうに表明している。

■今日の予定
5月企業物価指数
印4月鉱工業生産
米5月財政収支
米6月ミシガン大消費者信頼感指数
上海休場
■ニュース
米大統領 クリントン氏支持表明
アメリカのオバマ大統領は9日大統領選挙で、民主党のクリントン前国務長官を支持すると正式に表明しました。オバマ大統領は9日公開したビデオメッセージの中で「彼女ほどふさわしい資質を持った人物は過去いなかった」と述べました。今後、クリントン氏が開く集会などにも参加し、支援を本格化させる見通しです。一方、クリントン氏と民主党の候補者指名を争うサンダース上院議員はオバマ大統領と会談したあと選挙戦から撤退しない意向を改めて示しました。民主党が結束を固めるにはまだ時間がかかりそうです。
ECB総裁 構造改革訴える
ECB=ヨーロッパ中央銀行のドラギ総裁は9日、ヨーロッパ経済の低迷を指摘するとともに構造改革の必要性を訴えました。「構造改革の遅れに対する対価は高い」このほか、ドラギ総裁は不確実性を取り除くことにより、ユーロ圏経済の成長や安定を確保すべき、と述べました。
世界パソコン販売見通し 下方修正
パソコン販売の苦戦が続いています。ハイテク専門の調査会社IDCは9日、今年の世界のパソコン販売台数見通しをこれまでの予想よりおよそ2%下方修正しました。スマートフォンとタブレット端末の普及や企業の買い替えが進んでいないことなどを理由に販売台数が前の年に比べ7.3%減ると予想しています。パソコンの世界販売はこれまで4四半期連続で2ケタの減少を記録しています。
米卸売在庫 予想上回る
アメリカの商務省が発表した、4月の卸売在庫は前の月に比べプラス0.6%と市場予想を大幅に上回りました。これは去年6月以来の大幅な伸び率で多くの企業が夏に向け販売の増加を見込んでいることを裏付けています。同時に発表された4月の卸売売上高も1%のプラスで、今年に入ってから最も強い伸びとなりました。
米新規失業保険申請者 ↓4,000人
失業保険を申請する人が予想よりも減少し、企業の人員削減の落ち着きが確認されました。アメリカ労働省が9日発表した新規失業保険申請者数は前の週に比べ4,000人減少の26万4,000人となり66週連続で雇用改善の目安となる30万人を下回りました。トレンドを示す4週移動平均も7,500人減少しています。
米 中国軍艦の動きに懸念表明
中国の軍艦がきのう沖縄県の尖閣諸島周辺の接続水域に入ったことについてアメリカ国務省のトナー副報道官は9日、「懸念」を表明し、情勢を注視していると述べました。「このような報道は常に注視し日本政府と緊密に連絡を取り合う」トナー副報道官はこのように述べた上で、尖閣諸島は、アメリカが日本を防衛する義務を定めた日米安全保障条約第5条の適用対象であると強調しました。この問題で日本政府はきのう、安倍総理大臣が参加するNSC=国家安全保障会議を開き、情報の分析を行いました。日本の領土からおよそ44キロメートル以内の海域を指す「接続水域」を航行することは国際法に違反する行為ではありませんが中国は尖閣諸島の領有権を主張しているため、日本政府は「一方的に緊張を高める行動だ」として外交ルートで中国側に強く抗議しました。これに対し、中国は「他国にとやかく言う権利はない」と反論しています。
熊本地震 保険支払2,724億円
日本損害保険協会は熊本地震における家屋損壊などの被害に対して支払われた損害保険の金額が、およそ2,724億円に達したと発表しました。支払い額は東日本大震災に次ぐ史上2番目の規模です。熊本地震で受け付けた案件の85.6%についてすでに調査が完了し、77.4%の案件で支払いを実施しました。損保協会では「支払いの迅速性が高まった」としています。
中国5月消費者物価 ↑2.0%
中国の5月の消費者物価指数は1年前に比べて2%の上昇でした。4月と比べて0.3ポイント縮小し、市場予想も下回りました。個人消費は力強さを欠いていて物価上昇率は政府目標である3%を下回る状態が続いています。一方、5月の卸売物価指数は2.8%の下落でした。景気減速などを背景に51ヵ月連続で前年の水準を下回っています。
韓国 1年ぶりの利下げ
韓国の中央銀行、韓国銀行はきのう、政策金利を0.25%引き下げ、過去最低の1.25%とすることを決めました。利下げは去年6月以来、およそ1年ぶりです。輸出の不振に加え、消費や設備投資も冷え込んでいて、景気を下支えする必要があると判断したとみられます。
ダイコー廃棄物 撤去始まる
愛知県は、産業廃棄物処理業者「ダイコー」の本社など3ヵ所で、食品などの廃棄物の撤去作業を始めました。愛知県は、ダイコーに対し、廃棄物の撤去を命じていましたが、廃棄品の冷凍カツを横流しした事件の影響で、ダイコーの経営が事実上破綻し、廃棄物が放置されていました。ダイコーが放置したおよそ9,000立方メートルの廃棄物について、県は処理を委託した事業者に回収するよう促してきましたが、半分以上の廃棄物について事業者を特定できず、県が撤去することになりました。この撤去作業にかかる費用として、県は、およそ4,000万円を計上しています。
集中審議で舛添知事追及へ
東京都議会は、13日と20日の総務委員会に舛添知事の出席を求め、集中審議を開くことを決めました。集中審議は、これまでより詳しい説明を求めることができる一問一答形式で行われ、政治資金の流用問題や高額な海外出張費、公用車の使い方について追及する方針です。2日間の質疑で説明が不十分だと判断すればさらなる集中審議の実施も検討するとしています。
アパートに20代女性遺体
きのう午後6時前、相模原市のアパートで20代とみられる女性が死亡しているのを同僚の男性2人が発見しました。女性がおとといから会社を欠勤していたため、同僚が訪ねたところ、玄関の鍵が開いていて、室内で女性が倒れていたということです。女性の首に絞められたような痕があることから警察では、殺人事件とみて調べを進めています。
■日経朝特急
①株で役員報酬、広がる
株式で役員報酬を支払う制度を導入する企業が増えている。今月末までで前年比3倍以上に増える見通しだ。これまで企業が役員報酬で業績への連動を強めるためには、ストックオプション(自社株を買える権利)を与えることが一般的だった。ただこれだと役員が短期的な株価を重視しがちになる面があった。一方、株式報酬制度は「3年後の利益額」など業績目標の達成で株式を付与するため、中長期の企業価値増大への役員の意欲を引き出し、将来を見据えた構造改革などを導く効果が狙えることになる。
②AI人材・電機も食指
大手企業によるAI(人工知能)の技術者の採用意欲が高まり、争奪戦の様相を呈してきた。AIの活用が小売り、サービスや製造業、医療などあらゆる分野に広がっている。AI人材の活用にはこれまで自動車業界が積極的だったが、たとえば製造業ではソニーが新卒のAI技術者の専門枠を設けるほか、日立製作所は米国の開発拠点で採用を増やしている。
③LINE・日米同時上場
LINEが日米で同時上場する。東京証券取引所とニューヨーク証券取引所はきょう上場を承認する。日本企業が日米で同時上場するのは初めてで、公募増資により約1000億円の資金を調達する見通しだ。上場は来月中旬になりそう。
■日刊モーサテジャーナル
①「日欧の銀行が反乱」
日銀やECBが導入したマイナス金利について弊害が出てきている。
フィナンシャルタイムズは「日欧の銀行が反乱。三菱東京UFJ銀行が国際入札への特別参加資格を返上する方針を示したことに加え、ドイツのコメルツ銀行は現金をECBに預けるのではなく、自社の金庫に保管することを検討している」と紹介している。
一方で、ウォールストリートジャーナルは、マイナス金利の影響で、英国の50年債ですら2%未満になっていることに注目し「世界の債券市場は何かがおかしい。その背景は、日銀がマイナス金利を導入したことで、日本の投資家が日本より利回りの高い海外の国際買い進めていることだ。世界経済の見通しが暗いから、長期債が買われるという説もあるが、もし純粋に利回りのみを追求した資金の流れだったとしたら、バブルかもしれない。」と分析・懸念している。
②弱気派ソロス氏、投資再開か(ウォールストリートジャーナル)
ジョージ・ソロス氏(85)は、1992年にポンド安に賭けて10億ドルを稼いだことなどが逸話となっているが、ここ数年、慈善活動などに専念し、第一線からは退いていた。しかし記事によると、ここに来て投資活動を再開。ソロスが「世界経済は低迷の局面」とみていることから、弱気派のソロス氏がトレーディングに戻ってきた、と伝えている。ソロスは株式を売って金を購入している。この理由についてソロス氏は、ウォールストリートジャーナルとのやり取りの中で、中国経済の危機とEU崩壊の可能性をリスクとして指摘している。
③サンダース氏にハリウッドが熱視線(ニューヨークポスト)
民主党のサンダースをめぐり、大統領選撤退後を狙って、ハリウッドのタレント事務所が熱視線を送っていると伝えてる。例えばサンダース氏の地元の名産品のメープルシロップの宣伝を任せたら、大ヒット間違いなしと期待されている。このほか、その人気の高さから、講演料は1回1600万円ほど見込めるという。政治革命を起こすと言ったサンダース氏。記事は、選挙後もこうしたメッセージを発信し続けられるだろうとの見方を掲載している。
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