■マーケット
NY株、3日続伸
ブレグジットの混乱が、実体経済に与える影響を抑えるため、イングランド銀行が利下げを示唆し、好感されました。イングランド銀行のカーニー総裁が、8月の会合での追加緩和を示唆し、ポンドが急落した一方で、ヨーロッパ株が上昇。この流れを受け、アメリカの株価にも勢いが付きました。注目されたセントスイス連銀ブラード総裁の発言は、ブレグジット前と見通しに変化はなく、株価への影響は限定的。イギリスの国民投票後、2日で871ドル下げたダウは、その後、3日間で790ドル戻しました。株価の終値、揃って三日続伸です。ダウが235ドル高、1万7,929ドル。ナスダックが63ポイント上昇です。4,842。S&P500が28ポイントプラスの2,098でした。


【世界の株価】
30日の終値
【NY証券取引所中継】米ストレステストを分析
解説は大和証券CMアメリカのシュナイダー恵子氏
--株価はほぼ右肩上がりでしたね。
イギリス中銀総裁の緩和発言などをきっかけに一気に上昇しました。ダウは最高値までにあと2%ほどで、月末期末の調整買いや相場に乗り遅れたくない人の買いが入りました。
--さて29日にFRBが発表しました銀行のストレステストの結果、市場でも注目されていましたよね。

審査の対象となった33行中、30行が合格、欧州系銀行の子会社2行が不合格、モルガン・スタンレーは半年後までに資本計画を再提出するという条件付きで承認されました。大手6行のティア1比率、いわゆる質の高い自己資本はご覧のように合格ラインを十分にクリアしています。この発表を受けて各行は相次いで増配、自社株買いなどの株主還元策を発表しました。
--シュナイダーさんはこの結果をどう評価されていますか。
利上げが遠のいたことが収益の逆風になる中で、株主還元を強化できたのは、アメリカの銀行の底力です。ブレグジットで金融機関の健全性が不安視される時期にFRBが精査し、高い健全性を確認できたことはマーケットにとって非常にタイムリー、大きなプラスだと思います。
【NY証券取引所中継】英“EU離脱”で投資行動に変化

解説は大和証券CMアメリカのシュナイダー恵子氏
--さてそのブレグジットが投資家の行動を変えているみたいですね。
ドイツ10年債の利回りが初めてマイナスとなったことが象徴するように、いま世界中で10兆ドルあまりの債券がマイナス金利になっています。銀行に預けても利息が付かない、債券もリターンが取れない状況で、その資金の一部がアメリカ株に流れると見ています。
--ただ債券と株ではリスクの大きさが違いますよね。具体的にはどんなところに資金が流れているんですか。
高配当株が過去の水準以上に買われています。買い手が増えてプ
レミアムが付き、水準が切り上がったと見ています。また最近バロンズ紙とウォールストリートジャーナルが相次いで優先株の記事を取り上げています。優先株は普通株と社債の中間的な証券で、株価はほとんど動きませんが利回りが魅力で、債券の代わりとなる商品として注目されています。

--これは大きなトレンドになりそうですか。
ブレグジットは今後数年に渡ってヨーロッパの経済に深刻な影響を与える可能性があります。投資家は当面アメリカ国内株の比率を引き上げるとの見方が優勢です。年内利上げが遠ざかったことも、アメリカにとってはプラスで、優先株や高配当株が安全性と利回りを求める投資家を引き付けると思っています。
【為替見通し】注目ポイントは「イギリス及びヨーロッパ動向」
解説はみずほ銀行NYの日野景介氏
--ニューヨークはドル高円安の動きですね
本日のニューヨーク市場は株高リスクオン相場となりました。ドル円は四半期末の売り圧力が和らいだこともあり、ニューヨーク時間に入り次第に反発、イングランド銀行のカーニー総裁からこの夏の金融緩和の可能性への言及があると、ポンド円の売りにドル円は102円35銭まで売られましたが、ECBにも債券購入ルールの緩和観測が広がると、金融緩和を背景とした株高に、ドル円は103円台まで上昇しております。
--きょうの予想レンジは、102.70-104.00円です。今日発表の日銀短観、前回4月の時には内容悪化で円高に振れました。今回はどう見ていますか。
既に7月の日銀追加緩和期待が相応に高まっており、低調な結果が逆に更なる追加緩和期待からの株高円安を導く可能性もあり、その後の値動きに注目です。
--注目ポイントは「イギリス及びヨーロッパ動向」です。
各国の中銀からの資金供給オペや金融緩和期待から徐々に落ち着きを取り戻していますが、EU離脱へのプロセスは依然不透明で、イギリスや欧州経済へのダメージなど引き続きこの先のテーマとなっていきそうです。イギリスのEU離脱を受けアメリカの利上げ観測は大きく後退しており、このリスクオン局面ではドル安新興国通貨高といったといった展開もありそうです。

【日本株見通し】注目ポイントは「イノベーションに伴う設備投資」
解説は三菱UFJモルガン・スタンレー証券の藤戸則弘氏
--今日の予想レンジは、15500~15800円です。
海外株高、円安なんで、当然寄りは高いと思うんです。但し6月末というのは欧米のファンドにとっては中間決算で、強烈に売りのドレッシングが入っています。それが剥げるリスクが7月以降は出てくる。それも抑えておかないといけないんで、ちょっとザラ場で弱くなるかもしれませんね。
--注目ポイントは「イノベーションに伴う設備投資」です。

グラフを見て頂くと、やはりブレグジットのリスクの前からですけども、円高傾向ということで、輸送用機器(自動車)、金融がすごく弱かった。日本株はすごくダメだなあという感じですが、実は違うグループを見ると、東京エレクトロンやスクリーンホールディングズといった半導体製造装置関連の合成指数(赤色のグラフ)はどんどん高値を取っている。エレクトロンは輸出比率が8割、スクリーンも7割を超えるんですけれども、この円高局面でも全く違う値動きなんです。
--何故ですか。
これはイノベーション、技術革新に伴う設備投資、つまりスマートフォンはいま液晶なんですが、これに来年からアップルが有機ELを投入するという動きが出てきた。しかもテレビも大画面化してくるかもしれないということになると、単にスマートフォンだけではなくて、ここ5年以上続いていく長いトレンドになる。日本の経済が不況から脱出するとき必ずイノベーションに伴う設備投資だったんです。だから暗い指数だけではなくて、こういう面を見て頂ければリターンも十分に得られるでしょう。
■【コメンテーター】三菱UFJモルガン・スタンレー/藤戸則弘氏、ニッセイ基礎研究所/井出真吾氏
・米国・ストレステスト・欧州の銀行に注意
--カーニー効果といいますか、緩和相場再びかということで、井出さん、ずいぶんと安心感が広がってきたようですね。
(井出氏) 「先週金曜日の極端なリスクオフからは若干解放された感じはありますけれども、まだまだ安心できないと思う。実際、金融株はあまり戻っていなくて、元の水準に戻ったのは食品などディフェンシブばっかりですので、まだまだ安心はできないと思います。」
--そういった中でシュナイダーさんがお伝えしていたアメリカのストレステストで不合格になった一つがドイツ銀行なんですね。
(藤戸氏) 「これは2年連続なんですよ。もう一つはスペインのサンタンデールで、これは3年連続不合格です。今回のブレグジットで一番の焦点があってくるのは、欧州の銀行株の財務体質の劣化、これが直近のブレグジットで悪くなったんではなくて、欧州中銀の利下げで既に財務が疲弊しているときに、今回の事態が起こったということですから、今後の最大のキモはになる。ブレグジットの中で一番注目しておかないといけないのは欧州の銀行の財務だと思いますね。」
・政井貴子氏、日銀審議委員就任
--政井さんと言えばモーサテファミリーで番組のコメンテーターです。不思議な感じですね。
(藤戸氏) 「何度も番組でご一緒したんで、非常にマーケット感覚に優れた方で、是非それを日銀の執行部に伝えて頂きたい。これが私のお願いです。」
--執行部に伝えてさらにそれを市場とのコミュニケーションとして私たちにも伝えてほしい。期待したいと思います。
・日刊モーサテジャーナル/「円安に頼るべきでない」為替介入に批判的
--為替の水準というのはどう見ればいいですか。
(井出氏) 「いろんな説がありますけど、いまの102円は高すぎず、安すぎずぐらいのところだと思うんですけど、アベノミクスが始まった時に金融政策は時間稼ぎにすぎないと言われていた。だからこのフィナンシャルタイムズの社説はそれを再確認するという意味にもなるんでしょうし、同時に国民に不安が多いので、財政出動の必要性を指摘してくれたんだと思います。」
--ただ一方で為替介入は最良の手段ではないとも言っているんですよね。
(藤戸氏) 「ただ私はこれでもう落ち着いたということではなくて、もう一回100円を割れて円高になる局面があると思う。その時は私は断固として介入をやるべきだとおもう。ルー財務長官は官僚なんですよ。ブレグジットの前から『秩序だった』、あとでも『秩序だった』、政治家じゃないんだよ。私は断固として日本は必要とあらばやるべきだと思う。」
・今日の経済視点
(藤戸氏) 「欧州銀行株」
今回のブレグジットで一番弱い部分がどこかと言うと、これが分かってきた。イギリスはバークレイズ、ロイズ、あるいはRBSといったところが24日と27日の2日間で3割下がった。イタリアのウニクレーディトも3割下がった。その後もほとんど戻っていない。つまりもう一回資本注入とか脆弱なシステミックリスクにつながる恐れがある。今のところまだ信用リスクはないんですけれども、この銀行株がさらに落ちていくということになると、要注意になってきます。注目しておいてください。
--特に今日名前が上がりましたけれども、ドイツ銀行は2月に信用不安で1回大きく揺れましたからね。
ジョージソロスが大量に空売りしているということもありますから。
(井出氏) 「日本の新常態(ニューノーマル)」
円安に頼るのはもうやめましょうということです。それは市場も企業も両方共ですね。アベノミクス始まって以来去年までは円安円安で増益増益と繰り返してきて、乱暴な言い方をすれば株価はなんでも上がった。でもこれからはそうではないので、個別企業で、先の半導体のように、きちんと分析しようということです。
■特集 年後半の日経平均は株高?株安?
ブレグジットの影響で世界に広がりを見せる景気後退懸念。年末に向け日経平均はどのような動きになるのか。下期の株価動向を専門家が大胆予想します。
解説は三菱UFJモルガン・スタンレーの藤戸則弘氏とニッセイ基礎研究所の井出真吾氏です。

--さあ7月になりました。昨日の為替に続きまして今日は年後半に向けて株価がどう動くのか、聞いていきましょう。まずはお二人の年後半のシナリオをフリップにしていただきました。藤戸さんは強気となっていますが弱気の局面もありまして、年後半に向けて株高、そして井出さんはリスクシナリオ(1万3200円)とメインシナリオ(1万4500円)という株安を年末に見ている。まず藤戸さんはどうしてこう見ているのですか。
(フリップ1 : 日経平均予想)
(藤戸氏) いま世界的に急速なブレグジットに対するポジション調整を行って、これは一巡感が出たということで、世界的に株価は戻っています。ですから日経平均も16000円前後までは戻る可能性がありうる。ただその後に実体経済や企業業績の下方修正にもう一回直面する局面がある。従って8月の14000円程度まで行くというふうに見ているんです。
(フリップ2 : 急落後は2番底から上昇)
(藤戸氏) 過去、外的要因で急落した時、古くはブラックマンデーの時、それから記憶に新しい13年5月のバーナンキ・ショックの時、まずびっくりして一番底を付ける。ところがその後にいったん戻すんですけれども、
実体経済の悪化、企業業績の下振れを懸念して2番底を打ちに行く。このパターンで、その後に上昇していくというパターンなんです。ですから実体経済の悪化という部分がおそらく私はだいたい2か月後、8月末から9月にちょうど例えば中間決算前に下方修正が出てくるというようなことになる。

--それが8月ごろ下げるという動きになっています。ただ年後半は上げてくるんですね。
(藤戸氏) そうなると安倍さん、黒田さんが指をくわえて黙って見ているんですか。ということにはならないと思います。私のポイントは『大規模補正予算や日銀追加緩和の効果発動』です。ありとあらゆる政策を総動員する。日銀の追加緩和はもちろんなんですが、追加緩和自体が限界的にきていますから、大規模な補正予算を組んで景気刺激策を行う。いま稲田政調会長辺りから10兆円という話が出てきているんですけども、私は10兆円プラスαですね。というのは1-3月期のGDPギャップが約6兆円、熊本の震災の影響が最大で4.6兆円、これにブレグジットが加わるんで、それを考えると大規模な10兆円プラスαが出てきて、抜けるカードは全部抜きましたということを反映してから、年末にかけて上がって行く。
--政策が実際にパッケージで行われるということですね。たださっきの新聞でもありましたように税収が伸び悩んでいて実際に財源はどうするんだという話です。そこまで出せるか。赤字国債か。
(藤戸氏) やり繰りはまだできると思うんですけど、但し場合によっては赤字国債も辞さないという形でやるべきだ。というのは日本の成長見通しはIMFによると今年0.5なんです。ところがブレグジットの影響でマイナス0.46というのがOECDの見通しなんです。つまりゼロ成長になってしまうかもしれない。こういう厳しい状況では躊躇しないで大規模に投入していくというのがポイントです。
--井出さんは年後半は下がると見ていて、全く逆なんですが、今の政策出動についてはどうですか。
(井出氏) 私も財政出動が必要だという点は全く同感ですし、マーケットの期待値、すでに政府のブレインから15~20兆円必要という情報が流れてしまったので、もしかしたら10兆では物足りないかもしれない。10兆、15兆じゃマーケットはあんまり大きく評価しないかもしれないという心配もあります。

--織り込んでしまって反応しないかもしれないということですね。ただもう一つ藤戸さんが上がると見ている理由は、バリエーションですね。
(フリップ3 : 株価の割安感が台頭)
(藤戸氏) いま予想PERというのは下方修正含みなのでなかなか使えないんです。ところがPBR(株価純資産倍率)で見ると1倍にもう接近なんです。1倍を割れるということは解散価値を下回るということで、中長期の投資家はPBR1倍になると問答無用で買いということをやってくるんです。それが支えになって、それに政策発動が加味されれば、年末に向けていい相場になるんじゃないかなと思います。
--中長期でどうですか、井出さん、そういう見方はあると見られますか。
(井出氏) PBR1倍というのは歴史的に見ても下値目途とされてきていますので、合理的な考え方だと思います。実際、中長期の年金などの資金はPBR1倍に近づくと入ってくるというのも確かです。

--さてここからは年後半に向けて、強気の藤戸さん(17500円)に対して、弱気の見立ての井出さんに話を聞いていきます。藤戸さんは日本の政策総動員で株高という話でしたが、株は下がると見ている井出さん、何故でしょうか。
(フリップ4 : 井出氏 経済悪化懸念から円高が加速)
(フリップ5 : 年内にもマイナスに?)
(井出氏) 私の一番注目しているポイントは『アメリカ経済悪化懸念から円高が加速』を一番心配しています。アメリカの経済指標、ISMとか、小売売上高とか、一つ一つ見ているとそこそこいいものもあるんですけれども、それらを総合的に見た景気先行指数というのがあって、これが去年の後半からずっと下がってきていて、このペースで行くと今年中にも前年比マイナスに転じてしまいそうです。
(フリップ6 : 米失業率は底打ちか)
(井出氏) 過去長い歴史を振り返ると、景気先行指数がピークアウトすると、つまり赤い線が右下がりになると、その後1年以内に景気後退期に入ったというのがこれまでの50~60年間の繰り返しなんです。青い線はアメリカの失業率で、FRBでも日本でも注目されている指標で、前回の雇用統計でも失業率が下がっていいんじゃないかという見方もあるんですが、これも失業率が底を打つと、その後1年以内に景気後退期に入ったというのがこれまでの繰り返しなんです。FRBが目先の失業率の下限としてみていたのが4.8%、前回の統計でも4.7まで行ったので、そろそろ底を打つ可能性がある。こういったことを合わせて考えると、今年は大丈夫ですけど、来年中にもアメリカが景気後退期に入るんじゃないかということが示唆されると思うんですね。



--そうなるとそれを意識してアメリカの利上げはどうなるんですか。
(井出氏) アメリカの利上げはかなり難しくなってきます。ブレグジットの影響ももちろんありますし、そうなると円安株高にはならずに、むしろ円高株安が加速するのではないかと見ています。その場合は一気に加速するとPBR1倍では止まらない可能性もあって、実際リーマンショックは極端であの時は0.8倍まで行ったんですね。今回はもうちょっと下がって0.9倍まで行ったとしたら、それは13000円ぐらいに相当しますので、一応そのリスクシナリオは見ておきたいなと思っています。
--藤戸さん、アメリカのリセッション懸念というのはどう見てますか。
(藤戸氏) リセッションまで行くかどうかは別として、鈍化することは事実だと思う。ただ問題はそうなるとFRBの利上げというのはどっか飛んじゃいまして、次の一手は利下げ、場合によってはQE4(量的緩和第4弾)というシナリオが出てくる可能性は高いと思います。今アメリカの株価がなぜここまで強いのか、というのは明らかにこの緩和政策の長期化、あるいは場合によるともう一段の強化というシナリオを見ていると思うんですね。だからおっしゃる通り、その部分は、為替においては円高に作用するんですが、アメリカ株が18500、19000となった時に日本だけが置いて行かれるんでしょうか。つまりアメリカの株というのはFRBの金融政策の影響がものすごく大きい。だからプラスの面も反面見ておかないといけません。
--その見方は難しいですね。
(井出氏) 難しいですね。株高につられるのか。円高に押されるのか。バランスですね。
--あとはもう一つ、アメリカが利上げできないほど、景気が弱いのか、という見方になる可能性もありませんか。
(藤戸氏) それはもう今リセッション云々というのはちょっと悲観過ぎると思うんです。ですからいま世銀当たりの見通しは1.9%程度なので、落ちたとしても後退には至らない。しかしその中で緩和政策は続く。これは実は株価にとっては一番居心地がいい状況ではあるんです。それが日本株にも影響してくる可能性があるということです。
--ですから円高の効果とアメリカの株高の効果をどう見るか、によってまた違ってくるということですけど、例えば井出さんの株安のシナリオが、もし崩れる時はどういうときですか。
(井出氏) たぶん国内で言ったらウルトラCぐらいのものが出てこないと無z化しいと思うんですよ。例えば国内の消費が急速に盛り上がって、マイナス金利お仕舞いとか。ただそれはもうウルトラCどころかE難度、F難度ですね。現実的なのはアメリカが9月に利上げできるぐらい経済がしっかりしていることだと思います。
--となると雇用統計とかも反応するかもしれません。藤戸さんの強気シナリオが崩れる前提というのは何ですか。
(藤戸氏) チャイナリスクです。前もお話したと思うんですが、不動産価格が急騰した後に既に深浅のあたりでは高値から10%ぐらい下げ始めている。しかも中国の輸出相手先で一番はヨーロッパなんです。この影響も受けるかもしれないので、もし年後半ダメになるとしたら、チャイナリスクが次にマーケットを襲うときだと思います。
■今日の予定
6月日銀短観
5月消費者物価指数
中国6月製造業・非製造業PMI(国家統計局)
中国6月製造業PMI(財新)
米6月ISM製造業景気指数
■ニュース
イギリス中銀総裁「夏に金融緩和」
イギリスの中央銀行にあたるイングランド銀行のカーニー総裁は30日、この夏に金融緩和に踏み切る可能性を示唆しました。カーニー総裁は、EUからの離脱決定で、先行き不透明感がしばらく続き、経済活動の重しになるとの見通しを示しました。その上で、7月の金融政策委員会で経済見通しの評価を行い、8月に必要な追加措置を協議するとしました。また民間銀行に対する資金供給を9月末まで続ける考えも合わせて表明しました。カーニー総裁の発言を受けて、ポンドはドルや円に対して急落しました。
“離脱派”前ロンドン市長 不出馬
イギリスでは政治の混乱も続きそうです。キャメロン首相の後任の最有力候補と見られていた、離脱派のリーダーで前のロンドン市長、ボリス・ジョンソン氏が、与党・保守党の党首選に立候補しないことを明らかにしました。出馬を表明したのは離脱派ではゴーブ司法相など3人、残留派ではメイ内相など2人です。
IMF「ドイツ金融システムリスク」
IMF=国際通貨基金は公表した報告書の中で、ドイツ銀行について、「世界の金融システムに波及するような金融危機を起こすリスクが、世界の巨大銀行の中で最も高い」と指摘しました。IMFは、「リスク管理や、海外のリスク資産の監視の厳格化などが必要だ」としています。
米シカゴPMI 去年1月以来の高水準
アメリカのシカゴ購買部協会が発表した6月のPMI=購買担当者景気指数は市場予想を上回り、去年1月以来の高い水準となりました。指数は前の月から7.5ポイント上昇の56.8で、新規受注が2014年10月以来の高い伸びだったほか、生産の大幅な改善が全体を押し上げました。
食品大手モンデリーズがハーシーに買収提案
ナビスコブランドの菓子「オレオ」や「リッツ」などを販売するアメリカ食品大手モンデリーズ・インターナショナルは30日、アメリカのチョコレート大手、ハーシーに買収を提案しましたが、ハーシーは、これを拒否しました。ハーシーの発表によりますと、モンデリーズは、1株あたり株式と現金を合わせて107ドルの買収額を提案していました。
スペイン捜査当局 グーグルを家宅捜索
検索大手グーグルにまたもや課税逃れの疑いです。スペインの捜査当局は30日、収益の一部を申告していなかったとして、グーグルのマドリード支社を家宅捜索しました。グーグルのヨーロッパ本部は法人税率などが低いアイルランドにあり、5月にはフランス支社も捜索を受けました。グーグルは今回の捜索に対し「スペインの税法に従っている」と強調しています。
安倍総理 英・独首相と電話会談
安倍総理大臣は、きのう夜、イギリスのEU離脱決定後、初めて、イギリス、ドイツの首脳とそれぞれ電話会談を行い、市場の安定化に向けて、連携していくことを確認しました。安倍総理は、イギリスのキャメロン首相、ドイツのメルケル首相とそれぞれ電話会談を行い、両国に対し、迅速に市場の不安を払拭する明確なメッセージを出すよう求めました。その上で安倍総理と両首脳は、G7が一致して、金融・為替市場の安定に向け連携していくことで一致しました。また、安倍総理がキャメロン首相に対し、イギリスに進出している日本企業が、今まで通り、活動できるよう求めると、キャメロン首相は「日系企業を守るため、あらゆる手段を講じる」と応じました。
日銀の審議委員 政井氏が就任
日銀の審議委員に就任した政井貴子さんはきのう会見し、イギリスのEU離脱決定を受けて、「世界経済全体の不確実性は一層高まった状況」だという認識を示しました。その上で「日本の成長や物価への影響を、細心の注意を払って見ていかなければならない」と述べました。
ドコモ 自動運転技術 開発へ
NTTドコモは、IT大手のDeNAや九州大学、福岡市と提携し、自動運転技術の開発に乗り出します。データ通信の遅れが事故に繋がりかねない自動運転で、ドコモが研究開発を進める次世代の超高速通信「第五世代」を活用します。まずは、路線バスでの実用化を目指し、福岡市の九州大学の構内で、実証試験を始める予定です。
キヤノンによる買収を承認
公正取引委員会はキヤノンが東芝の子会社東芝メディカルシステムズを買収することを認めると発表しました。東芝はリストラ費用がかさむなど財務状況が悪化したことから子会社の東芝メディカルを売却するため入札を実施し公正取引委員会が審査していました。公正取引委員会は買収については認めたものの買収に至る手続きが独占禁止法の規定に違反する恐れがあるとして、キヤノンを注意しました。
国民年金納付率↑4年連続
厚生労働省は2015年度の国民年金保険料の納付率が前の年度に比べて0.3ポイント増加し、63.4%と4年連続で改善したと発表しました。年代別では55歳から59歳が74.9%ともっとも高い一方で、25歳から29歳が53.5%ともっとも低くなりました。
S&P EUを「ダブルA」に格下げ
アメリカの格付け会社S&Pグローバルは30日、EUの長期信用格付けをダブルAプラスから、ダブルAに1段階引き下げました。イギリスの離脱が決定して財政の柔軟性が乏しくなるほか、EUの信用を裏付ける結束力が弱まったと判断しました。格付けの見通しは「安定的」としました。
トルコテロ 容疑者13人拘束
トルコ最大の都市イスタンブールの国際空港で、43人が死亡した自爆テロで、警察当局は30日、イスタンブール市内の16ヵ所で一斉摘発を実施し、中東の過激派組織=「イスラム国」の戦闘員とみられる13人を拘束しました。また、トルコの当局者は、自爆した実行犯3人の国籍が、ロシア、ウズベキスタン、キルギスだと明らかにしました。
アフガンで自爆テロ
アフガニスタンの首都カブール郊外で30日、警察関係のバスを狙った自爆テロがあり、内務省によりますと、少なくとも27人が死亡し、40人がけがをしました。反政府武装勢力タリバンが、犯行を認めています。ロイター通信によりますと、最初に、警察官候補生などを乗せたバスの車列が襲われ、その後、救助活動が行われているところに別の自爆テロ犯が車で近づき自爆したということです。
■日経朝特急
①離脱派ジョンソン氏不出馬
英国、与党の保守党の党首選は、離脱派のジョンソン氏の不出馬で行方が混沌としてきた。
②英国首相選び、構図一変
保守党の党首選はで「本命」だったジョンソン前ロンドン市長がロンドンのホテルで演壇に立った。出馬表明を期待する拍手と声援が出迎えたが、ジョンソン氏が演説の終わり近くになって突然、出馬見送りを表明すると、会場は凍りつき、沈黙が流れた。不出馬の背景には、同じ離脱派で盟友のゴーブ司法相が急遽出馬表明したこともあったのでは、と伝えている。党首選は、残留派のメイ内相にゴーブ氏が絡むという展開が予想される。
③経済対策、財源論争再び
財務省は7年ぶりに税収見積もりを下回る15年度決算概要をまとめた。秋の経済対策に回せる予算の使い残しは約2500億円にとどまる。新規国債の追加発行を含む財源の捻出が焦点となる。税収の自然増に頼る財政運営は曲がり角に差し掛かった。
■日刊モーサテジャーナル
①米国「ドットフランクの壁を突破」
ニューヨークタイムズは「29日はアメリカの金融機関にとって、金融危機の反省を踏まえて作られたドット・フランク法の壁を突破した日になった」と報じた。その理由はほとんどの主要銀行がストレステストに合格し、自社株買いや配当支払いなどに踏み切れるようになったこと。もう一つは複合企業のGEの金融部門GEキャピタルが資産売却を進めた結果、金融当局の規制対象から外れ、「Too big to fail 大きすぎて潰せない」という認定の取り消し史上初めて成功したことを高く評価している。ウォールストリートジャーナルは「これで当局の目を気にせず、自由に資金調達して投資に回すことができる。GEの製造業回帰を期待する投資家にとってプラスだ」と評価しているる。
②「円安に頼るべきでない」為替介入に批判的(フィナンシャルタイムズ)
ブレグジットでさらなる円高が進む中、フィナンシャルタイムズの社説は、「日本は円安に頼るべきではない。デフレ脱却に向けて為替介入は最良の手段ではない」と主張している。現在、円高の背景は質への逃避もあるが、日米の景気の実態を見ても実は1ドル106~108円という調査があり、現在の水準からそれほど乖離していないと指摘し、為替介入も一時的な効果にすぎないと見ている。このためデフレ脱却のためには、円安に頼るのではなく、財政出動で国内需要の底上げが大事だと主張。とりわけインフラへの投資ではなく、若い夫婦や年金に頼る貧しい老人など、生活が苦しい人々を支えて全ての人に1円でも多く使ってもらうのが良いだろうと見ている。
③米国・共和党大会・欠席者が続出の異変(ワシントンポスト)
今月末にはアメリカ大統領選の候補を決める党大会が民主・共和両党で行なわれる。しかし指名獲得が確実のトランプ氏と距離を置くため、共和党の党大会を欠席する人が続出している。またJPモルガン・チェースやフォードなどもスポンサーを辞退している。一方で、トランプ氏の指名獲得阻止の動きや白人至上主義者が来るという観測がありなどがあり、記事は今回の大会はかつてないほど混乱するだろうと伝えている。
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