予備校へ初講義に向かう前、リラックスするために到着した駅のトイレへ向かった。用をたし、心構えができ、何となくリラックスできた思いになり、チラッと横を見ると、どこかでみた事がある人。
めがねをかけ、退院前とは違った様子で無精髭が生え、ジャンバーとズボンはなぜか少しの泥がついている。以前より日焼けをしたのか、汚れているからか、それすら見分けのつかない皮膚の変色の仕方。明らかに活気はない。
声を掛けようか、かけまいか・・・、迷ったが、活気がなく路頭に迷っているようにも見えたので、思わず声を掛けた。
私、「○○さん、」
退院前とは、あまりにも風貌がかわってしまっていたので、自信がなく、後ろから何となく呼んでみた。
○○さん「あ、」
と、返事をされる。
○○さん「あの~、○○病院の方ですよね~。名前なんでしたっけ」
患者へは、名前をしつこくいうほうであるが、私の対応が悪かったのか、印象が薄かったのか、名前を忘れられていたようで、
「越智ですよ」
と説明。
どこへ行くようにも見えなかったので、
越智「うまくやっていけてますか?」
というと、
○○さん「はい~、これから同級生と食事をするところです~」
越智「連絡はとれたんですか?」
○○さん「いえ~、これから電話をするところです~」
失礼かとは思ったが、とても身の回りの事が出来ているようにも見えなかったので、金銭について、質問をした。
越智「お金はいけるんですか?きちんと管理できてます?」
○○さん「はい~きちんとボランティアのかたに、管理してもらってます~」と。
以前、浪費癖のあった方で、その点はすごく気になったが、毎日使いすぎないように管理してもらっているとの事。友人との待ち合わせも、本当のことなのか気にはなったが、確かめる理由も時間もなく、
越智「最近、眠れてます?無理したらダメですよ」
○○さん「いや、最近ねむれないんですよ~。昨日は一睡もしてなくて、気が狂いそうでした~」
トイレで人が出入りするなかで、会話が聞き取れないように配慮したつもりであったが、○○さんは、気に留めない様子で大きい声で話す。いくらも年上の○○さんと、どちらかといえば若い、ジーンズに多少若い格好をしている私の会話は明らかに目立っていた。そこに、“気が狂いそうでした”の一言があったので、さすがに、周囲の目を気にしてしまったが、私の気持ちは、それよりも、○○さんが、きちんと生活できているかの方が優先した。
多少のお金を渡そうかと、余計なおせっかいも考えたが、色々考えた結果、必要無いと判断し、無理をしない事だけを、言葉だけではあるが、伝えてトイレを後にすることにした。
講義前の緊張と不安がありながらも、なぜか側でついておいてあげたいという心配。○○さんからすれば余計なおせっかいだろうが、明らかに、やつれ方をみると今後の経過が心配される状況であった。
初講義は、事務部長が見学するというかなり緊張する状況の中、内容はともあれ時間一杯、10分くらい超過したか、終えることが出来た。生徒からのクレームが心配なところであるが、それは、今後も迷惑をかけないように努力するしかないという事で、事務の人と職場を後にした。
越智「じゃ、この辺で、トイレ行ってから電車乗りますんで」
後で思えば、トイレに行くということを、女性の事務員さんに伝える必要もないのにと、相変わらず女性への配慮の出来なさを反省しながら、事務員さんと解散し、行きと同じ駅のトイレへ向かう。
ようやく初講義が終わったというストレスの開放感をトイレで味わって、ふと横を見ると、どこかで見た顔が。
全くさっきと同じ、○○さんである。
内心、本当に友人と食事に行ったのだろうかと疑いの眼を持ちながらも、
越智「友達と食事にいけまいた?」との言葉かけ。
○○さん「はい、いってきました~」と
2回も、しかも、一日のうちで同じ場所で出会うというのは天文学的な確立。当然、“周辺でうろついて、この駅のトイレを頻繁に出入りしているのではないか”との疑いを持ったが、それよりもまず、
越智「食事終わったんでしょ?この後、どこか行くんですか?」
○○さん「いえ、予定はありません~!」
一瞬、眼が見開いたので、私が紛らわしい質問をしてしまったのではないかと、申し訳なく思った。
越智「家にTVあるんですよね。最近の番組面白いから、寝転んでゆっくりみたらリラックスできますよ」
これだけで、解決するわけもない言葉かけであるが、すこしでもリラックスしてくれればとの、必死の一声。
少し笑みがこぼれ
○○さん「はい、わかりました~」
あいかわらずの特徴のある話し方を耳にしながら、開散する。
この○○さんは、ほんの1週間ほど前、当院に退院後、元気な姿で挨拶に来ていたのだが、その風貌とは打って変わって、ホームレス同様の格好になっていた。
調子が悪くなったら、すぐに受診するようにということは伝えたが、その辺を判断する事が出来ないのが、疾患の特徴であって、もう少しなにか助けられる事があればと、本人からすれば余計な御世話かも知れないが、10年ほど、医療業界に従事して、初めての特別な出来事であった為、ここに報告してみた。今後の○○さんの経過が気になるところである。
しかし、初講義終了という事もあり、焼酎を飲みながらのブログ更新。さすがに美味しい!
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※NPO泉州精神看護研究会への寄付金・募金を正式に開始いたします。以下の振込先ですが、お振込みの際は必ずmoth3@mail.goo.ne.jp宛てにご連絡ください。募金に関しては、使途を明確にし医療の発展に役立てたいと思います。
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振込先:三菱東京UFJ銀行和泉支店(店番210)
普通口座 4631947
口座名義 泉州精神看護研究会 ナカオ
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※NPO泉州精神看護研究会の会員を暫定的に募集いたします。ご興味のある方は、まずはmoth3@mail.goo.ne.jpまでメールをお送りください。
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※拙著「精神科看護師、謀反」をご入用の方は、moth3@mail.goo.ne.jpまでメールをお送りください。送料は、当方負担で無料送付(本代別途)させていただきます。
ランキングのクリックが6つもあり、不評ですが地道にお願いいたします↑↑
めがねをかけ、退院前とは違った様子で無精髭が生え、ジャンバーとズボンはなぜか少しの泥がついている。以前より日焼けをしたのか、汚れているからか、それすら見分けのつかない皮膚の変色の仕方。明らかに活気はない。
声を掛けようか、かけまいか・・・、迷ったが、活気がなく路頭に迷っているようにも見えたので、思わず声を掛けた。
私、「○○さん、」
退院前とは、あまりにも風貌がかわってしまっていたので、自信がなく、後ろから何となく呼んでみた。
○○さん「あ、」
と、返事をされる。
○○さん「あの~、○○病院の方ですよね~。名前なんでしたっけ」
患者へは、名前をしつこくいうほうであるが、私の対応が悪かったのか、印象が薄かったのか、名前を忘れられていたようで、
「越智ですよ」
と説明。
どこへ行くようにも見えなかったので、
越智「うまくやっていけてますか?」
というと、
○○さん「はい~、これから同級生と食事をするところです~」
越智「連絡はとれたんですか?」
○○さん「いえ~、これから電話をするところです~」
失礼かとは思ったが、とても身の回りの事が出来ているようにも見えなかったので、金銭について、質問をした。
越智「お金はいけるんですか?きちんと管理できてます?」
○○さん「はい~きちんとボランティアのかたに、管理してもらってます~」と。
以前、浪費癖のあった方で、その点はすごく気になったが、毎日使いすぎないように管理してもらっているとの事。友人との待ち合わせも、本当のことなのか気にはなったが、確かめる理由も時間もなく、
越智「最近、眠れてます?無理したらダメですよ」
○○さん「いや、最近ねむれないんですよ~。昨日は一睡もしてなくて、気が狂いそうでした~」
トイレで人が出入りするなかで、会話が聞き取れないように配慮したつもりであったが、○○さんは、気に留めない様子で大きい声で話す。いくらも年上の○○さんと、どちらかといえば若い、ジーンズに多少若い格好をしている私の会話は明らかに目立っていた。そこに、“気が狂いそうでした”の一言があったので、さすがに、周囲の目を気にしてしまったが、私の気持ちは、それよりも、○○さんが、きちんと生活できているかの方が優先した。
多少のお金を渡そうかと、余計なおせっかいも考えたが、色々考えた結果、必要無いと判断し、無理をしない事だけを、言葉だけではあるが、伝えてトイレを後にすることにした。
講義前の緊張と不安がありながらも、なぜか側でついておいてあげたいという心配。○○さんからすれば余計なおせっかいだろうが、明らかに、やつれ方をみると今後の経過が心配される状況であった。
初講義は、事務部長が見学するというかなり緊張する状況の中、内容はともあれ時間一杯、10分くらい超過したか、終えることが出来た。生徒からのクレームが心配なところであるが、それは、今後も迷惑をかけないように努力するしかないという事で、事務の人と職場を後にした。
越智「じゃ、この辺で、トイレ行ってから電車乗りますんで」
後で思えば、トイレに行くということを、女性の事務員さんに伝える必要もないのにと、相変わらず女性への配慮の出来なさを反省しながら、事務員さんと解散し、行きと同じ駅のトイレへ向かう。
ようやく初講義が終わったというストレスの開放感をトイレで味わって、ふと横を見ると、どこかで見た顔が。
全くさっきと同じ、○○さんである。
内心、本当に友人と食事に行ったのだろうかと疑いの眼を持ちながらも、
越智「友達と食事にいけまいた?」との言葉かけ。
○○さん「はい、いってきました~」と
2回も、しかも、一日のうちで同じ場所で出会うというのは天文学的な確立。当然、“周辺でうろついて、この駅のトイレを頻繁に出入りしているのではないか”との疑いを持ったが、それよりもまず、
越智「食事終わったんでしょ?この後、どこか行くんですか?」
○○さん「いえ、予定はありません~!」
一瞬、眼が見開いたので、私が紛らわしい質問をしてしまったのではないかと、申し訳なく思った。
越智「家にTVあるんですよね。最近の番組面白いから、寝転んでゆっくりみたらリラックスできますよ」
これだけで、解決するわけもない言葉かけであるが、すこしでもリラックスしてくれればとの、必死の一声。
少し笑みがこぼれ
○○さん「はい、わかりました~」
あいかわらずの特徴のある話し方を耳にしながら、開散する。
この○○さんは、ほんの1週間ほど前、当院に退院後、元気な姿で挨拶に来ていたのだが、その風貌とは打って変わって、ホームレス同様の格好になっていた。
調子が悪くなったら、すぐに受診するようにということは伝えたが、その辺を判断する事が出来ないのが、疾患の特徴であって、もう少しなにか助けられる事があればと、本人からすれば余計な御世話かも知れないが、10年ほど、医療業界に従事して、初めての特別な出来事であった為、ここに報告してみた。今後の○○さんの経過が気になるところである。
しかし、初講義終了という事もあり、焼酎を飲みながらのブログ更新。さすがに美味しい!
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※NPO泉州精神看護研究会への寄付金・募金を正式に開始いたします。以下の振込先ですが、お振込みの際は必ずmoth3@mail.goo.ne.jp宛てにご連絡ください。募金に関しては、使途を明確にし医療の発展に役立てたいと思います。
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振込先:三菱東京UFJ銀行和泉支店(店番210)
普通口座 4631947
口座名義 泉州精神看護研究会 ナカオ
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※NPO泉州精神看護研究会の会員を暫定的に募集いたします。ご興味のある方は、まずはmoth3@mail.goo.ne.jpまでメールをお送りください。
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※拙著「精神科看護師、謀反」をご入用の方は、moth3@mail.goo.ne.jpまでメールをお送りください。送料は、当方負担で無料送付(本代別途)させていただきます。
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いやいや、ついに先生ですか。
新しい第一歩を踏み出したんですね(^^)
私はもちろんやったことありませんが、最近外来でDMの患者さんに療養指導(支援)をしているんですが、自分のもっている知識をわかりやすく話すってとても難しいです。というか、話をする以上の知識がかなりなければいけないと実感します。
がんばってくださいね。
精神科の患者さんとのかかわりについては、これから学んでいかなくてはと思っています。
同じところで、同じ人に会うってすごい。
しかも、トイレって。。。
もしかしたら、患者さんも「こっ、この看護師さん、周辺でうろついて、この駅のトイレを頻繁に出入りしているのではないか」
なぁ~んて思われたかもよ。。。
初講義お疲れ様でした。。。
看護師って、病棟ではいつも白衣(制服)じゃないですか。それにネームもついているし。
だから、あんまり、外で会ったらわかんないみたいですよ。
最初30分は、明らかに生徒は「なんじゃこいつ」とおもっている表情でした。
どちらかというと、私は昔から逆器用貧乏(最初は不器用で飲み込みが悪く見える、いわゆる器用貧乏の逆バージョンを勝手に名前変えて言いましたが(笑))なので、回数を重ねるうち、悩みながら進化すると思います(笑)
そうですね。わかっていてもそれを教えるとなると全然違うということは、今実感しているとことです。今、私なりに悩んでいるところですが、それなりの結果を出したいと思っていますので、楽しみにしていてください。
いや・・・、患者さん、あてがないように見えてすごく心配でした。TVで見るみたいに泥がついてて、誰かに何かされたんじゃないかとか、家で寝てないんじゃないかとか・・・・。自分で調子が悪い事を自覚されて内容でしたので、心配ですよ・・・。
お久しぶりです!
白衣と服装は、かなりギャップがありますからねぇ。私の場合、白衣を見ると多少賢く見えるようですが、私服はそうでもないので(笑)
びっくりですね!
人との出逢い、って本当
天文学的な確率ですよね。
地球にはたくさんの人間がいて
その中で同じ所に居合わせて
同じ時間を共有する、って
本当にすごいことだと思います!
‘縁’って不思議ですね。
私服だと外で会ってもわからない、
わたしもそう思います。
白衣、すっごい似合いそうですね!
(似合うとか似合わないとかそういう問題じゃ
ないですかね?笑)
初講義、おつかれさまでした!!!
やっぱりそうなんですかねぇ。白衣ですと印象が違うんでしょうねぇ。
私自身も、女性の看護師のかたなどを見るとぜんぜん印象が違ってびっくりする事もあります。
ところで、その患者さん、やっぱり心配ですが、うまくやってイケてるのかな・・・と時々思ってしまいます。講義は講義で、簡単なものじゃありませんし、山ほど私自身の課題がありますので、これから努力しなければならない部分です。がんばらねば^^