プチ早期退職者の資産運用+αブログ

知らないことは尽きない -『太陽のきほん』

 中学生から高校生の頃、天体観測が趣味の一つだった。天体望遠鏡で初めて木星を見て大赤斑とガリレオ衛星が見えた時や、土星の環が見えた時は感動した。もちろん図鑑の写真のようにきれいに見えるわけでもないので、人によっては逆にがっかりするかもしれないが。

 当時、初歩的な天文関係の本を色々読んだし、雑誌も購読したりしていた。ずいぶん忘れてしまったが、それでも普通の人よりは、天文関係の知識は豊富だ。

 以前買っていて読んでいなかった『太陽のきほん』というKOBOの電子書籍があった。セールで100円だったと思う。


出所:Amazon (アフィリエイトはやってないので上記の画像にリンクはない)


 子供向けに見えるが、理系的な常識がないと大人でもすっと読めないと思う。太陽についてだけ解説してあり、今回読んでみて基本的なことでもきちっと知らないことがずいぶん残っているなと改めて思ったこの本は2018年発行であり、私が天文関係の本をよく読んだ頃から45年ほど経っているので、基本的な知見もずいぶん進展しているようだ。

 特に印象に残った点を幾つか紹介しておきたい。

・太陽の中心付近では、電磁波は高エネルギーのγ線で出発するが、途中で吸収、低エネルギーになって再放出を繰り返し、表面に出てくるまでには1000万年もかかり、そのころには可視光線になっている。(16節)

黒点は太陽で発生する磁力線の塊(磁力管)が表面に出てきて輪切りになった断面にあたり、N極かS極になっている。その磁場にじゃまされて、太陽中心部からのエネルギーが表面に出てくることができず、温度が2000度ほど低くなっている。(29節、32節)

・太陽表面にある黒点数が太陽の活動の指標になるが、平均11年周期の変動がある。活動が活発だと太陽の磁場が強くなって地球に届く宇宙線が減り、宇宙線が窒素14に衝突して生成される炭素14(半減期5000年以上)の生成が減る。南極の氷をボーリングして炭素14を調べればずっと昔の太陽活動度を推測できる。(34~36節)

・太陽の表面温度は6000度なのにコロナは100万度以上になっているが、そのエネルギーがどう供給されているか一致した意見はない。太陽物理学で今世紀最大の謎と言われていて、「ナノフレア加熱説」と「波動加熱説」の2つが有力だが、どちらも一長一短がある。(38~39節)

・太陽には様々な現象があるが、フレアと似ているようで異なる爆発現象にコロナ質量放出がある。太陽から風船の形をしたガスの塊が、磁力線と一緒に秒速1000~2000kmにも達する猛烈なスビードで惑星間空間へ飛び出す。1回で100億トンもの質量が噴き出す。(45節)

太陽圏は、太陽風が止まるところ(ほかの星からやってくる星間空間ガスと均衡するところ)で、94天文単位のところにあった。1977年に打ち上げられたボイジャー1号が旅すること27年で特定した。その根拠は、太陽から遠ざかるにつれて単調に減少していた磁場が急激に増加に転じたこと。(53節)

17世紀中ごろから70年にわたり、黒点数が極端に少ない期間が続いた。マウンダー極少期とよばれている。日照不足で農作物が実らず、飢饉が起き、ペストが大流行した。太陽の黒点活動が地球全体の平均気温を変え、人類の歴史上の大事件を引き起こし、歴史を変えるという図式はそれほど間違っていない。100年以上も前に「恐慌と太陽黒点」と題する研究がネイチャーに発表されている。(67節)


 早期退職後、なんだかんだであまり読書時間をとれていないが、セールで100円で買ったこの手の電子書籍もだいぶ残っているので、順次読んでいきたいと思っている。


 なお、今回の書籍はカラーだし、レイアウトは固定なので、普段の読書用の初期版Kobo Touchだと読みづらい。そのため今回は、UbuntuとデュアルブートにしたWindows XPのノートPCにインストールしてあるXP専用KOBOデスクトップで主に読んだ。XP端末でもまだまだ現役で使える。


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