![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/39/f9/c2e4000b25f857aa3e83d44fe8d97b7d.jpg)
(写真は、映画「この世界の片隅に」の
パンフレットから。)
私のブログは、テーマをウォーキングに絞って
いるので、基本的にはウォーキングに関係のない
映画評や書評は書かないことにしているのですが、
今回は特別に筆をとりました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/m_0190.gif)
映画「この世界の片隅に」は、同名の原作漫画=
こうの文代、監督=片渕須直、主人公の声=能年
玲奈で、監督の片渕はジブリで宮崎駿の元に
いた人らしいです。
今月、日本アカデミー賞授賞式で、「君の名は。」
を抑えて、最優秀アニメーション賞を受賞
しました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/m_0191.gif)
以下、映像は全て、映画館で購入した
パンフレット(1,000円)からです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/m_0058.gif)
物語の舞台は、第二次世界大戦中の広島県・呉市
です。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/13/1c/79e1c6bbc84bd9cd91bef29eb06d3047.jpg)
昭和19年、呉に嫁いできた18歳の絵が得意な
女の子「すず」が、戦時下の苦しい生活の
なかでも、たくましく懸命に生き抜く姿が
描かれた作品です。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1d/4a/23276f60dc2fd74c51b24deac1ef5f7b.jpg)
いわゆる”普通の日常”が描かれているだけです
が、テンポが良くて間延びしていないところが
素晴らしいです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/cat_4.gif)
これまでの似たタイプの映画といえば、「火垂る
の墓」を思い出しますが、これとは対照的な全く
異なるトーンの映画です。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/kuri_5.gif)
全編が悲しいトーンに包まれた「火垂るの墓」に
対し、「この世界の片隅に」は、戦時下のリアル
な日常の生活感溢れる”前向き”の映画です。
これまでの多くの戦争映画は、軍隊での経験や
戦場の描写が中心でした。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/v.gif)
しかし、この映画は、戦時下に普通に生きて、
普通過ぎたために切り捨てられてしまった当時の
”日常”を、丁寧に丹念に掘り起こして描いて
います。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/m_0139.gif)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/26/b2/9ce024329a9afe21436542c7716c6d25.jpg)
従って、戦争経験のない我々も、この映画の
お蔭で、戦時中の暮らしを“疑似体験”する
ことが出来ます。
また、当時の日常生活を描いた映画とは言い
ながら、空襲に高射砲で対抗する臨場感溢れる
戦闘シーンも一部にはあり、見ていると戦時下の
世界にどんどん引き込まれていきます。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7f/f8/da5ba79fe1937f1bc4a7df414c393197.jpg)
この映画は、所謂、反戦映画の範疇に入る
のでしょうが、反戦映画にこんな描き方も
あったのか!、と不意を突かれたような感じ
でした。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/cat_5.gif)
普通の反戦映画とは逆の雰囲気の”前向き”の
映画で、日常の生活感に溢れています。
しかし、戦争は進み、舞台の呉市は、海軍の
根拠地だったために何度も空襲に襲われます。
その様な中で、主人公は、空襲で姪を失い、また
母は原爆で即死、父は戦病死、そして自らも
片方の腕を失ってしまいます。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/m_0211.gif)
ネタバレになるといけないので、これ以上の
ストーリーの紹介は控えますが、一つだけ、
私が最も驚いたシーンについて述べます。
それは、おっとりとして抜けている主人公のすず
が、終戦の玉音放送を聴いたときの意外な
リアクションでした!
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/face2_shock_s.gif)
玉音放送に対する一般庶民のリアクションという
のは、既に観念化されていて、脱力感や安堵感に
襲われて、うなだれながら放送を聞く、という
シーンだと思っていました。
しかし、玉音放送を聞いた主人公は、
「なんで? まだ負けてないのに!」、
「ここに未だ5人も残っている。私は未だ左手も
両足もある」と、両手を握りしめながら、
悔しがって、泣き叫びます!
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/ari_2.gif)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3b/f8/de6f484021231926f6680aa8160f2de9.jpg)
このセリフに、私は思わず震えてしまいました。
そして、実際、当時の一般庶民のホントの
リアクションというのはどうだったんだろう
なあ~、と考え込んでしまいました・・・
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/kuri_5.gif)
主人公は、空襲や原爆で、両親や親戚や友人を
失い、自らも片腕を失いました。
そう考えると、玉音放送で「怒る」というのは、
人間としては、ごく自然で、リアルなリアク
ションなのかなあ~、という気がしてきました。
この戦争は、脱力感や安堵感に包まれて玉音放送
を聞くには、あまりにも犠牲が多すぎたのだと
思います。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/m_0211.gif)
間もなく、戦争体験者だけではなくて、当時の
日常生活の様子や景色などを緻密に再現出来る人
がいなくなります。
そういう意味で、この様なレベルの高い”戦争
映画”はこれが最後だろうと思い、今回は特別に
筆をとりました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0d/7e/40d7f031a7301b24e43fa67ba709c286.jpg)
また、この映画は、クラウドファンディング
によって制作資金を集めたことでも話題に
なりました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/m_0186.gif)
原作漫画の映像化を強く望んだファンによって、
目標額の2倍近い4,000万円が集まったそうです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/m_0140.gif)