ウォーク更家の散歩(東海道・中山道など五街道踏破、首都圏散策)

映画「超高速!参勤交代」 2014.7.19


(写真は、「超高速!参勤交代」の1場面)

今週、NHK歴史秘話ヒストリで参勤交代秘話に
ついてやっていましたが、興味深かったです。

東海道と中山道を歩いている私は、参勤交代に
非常に興味があるので、映画「超高速!参勤
交代」を見てきました。
結構、面白かったです。

主人公の湯長谷藩藩主・内藤政醇(まさあつ:
佐々木蔵之介)は、実在の人物だそうです。
史実では、内藤政醇は、この物語の10年前に8代
将軍・徳川吉宗に御目見えしており、この物語
の6年後に享年31歳で亡くなっています。


映画は、老中・松平信祝(のぶとき:陣内孝則)
が、1万5000石の貧乏藩・湯長谷藩が所有する
金山を奪うために、湯長谷藩を取り潰そうと
画策するところから始まります。

そして、参勤交代を終えて、江戸から国元へ
戻ったばかりの一行に「5日以内に江戸へ
参勤せよ!」という無理難題をふっかけます。
知恵者の藩の家老・相馬兼嗣(かねつぐ:西村
雅彦)を中心に、5日間での参勤交代を可能に
すべく策を練ります。

幕府の役人の監視のある宿場のみ日雇い中間を
揃えて大名行列を組んで進み、最短の悪路を
選びます。

街道を外れた山中は、忍びの雲隠段蔵(伊原剛志)
を道案内人として、少人数で走り抜けます。
参勤交代のお供の家臣は、寺脇康文、知念侑李、
上地雄輔、柄本時生、六角精児らが演じています。
また、お咲と言う遊女を深田恭子が演じて花を
添えます。
しかし、老中・松平信祝も、超高速・参勤交代を
阻止するために刺客を放っていました・・・
遅いかかる刺客、災難、不運、ピンチが続きます!
果たして、期限までに江戸に到着出来るのか?
映画は、コミカルで軽快なテンポで、最後まで
進んでいくので観ていて飽きません。
以下、この映画を観ての私の個人的な感想です。
軽妙なドタバタ喜劇としては、テーマの主要部分
が史実に沿っている、という感触はあり、全体
として好感が持てました。
でも、せっかく、すばらしいアイデアの映画なの
で、ワンパターンのチャンバラ劇を映画の中心に
持ってこない方がよかった。
忍者も、脇役程度にすべきで、ストーリーの主要
部分を占めすぎです。
残念ながら、上の2点によって、歴史の
リアリティが薄れています。
また、延々と街道を歩いた私からみると、映画
からは、参勤交代が、かなり長い距離を歩いた、
という実感があまり感じられませんでした。


※以下は参勤交代についての史実、ウンチクです。

1.参勤交代の江戸への行きが「参勤」、帰りが
 「交代」です。「交代」の意味は、他の大名の
 「参勤」と入れ替わりで領国に戻っていたから
  です。

2.参勤交代では、日数節約のため、早朝から日没
 まで、1日約40キロを歩きました。

3.参勤交代の行列は、いつも整然と行進している
  訳ではなく、宿場町などのピンポイントで、
  人足を雇い、整列し直しました。
街道は、三々五々歩くことが多かったそうです。

4.「下に~、下に」という制止声は、御三家に
  しか許されてませんでした。

5.大名行列見物を楽しみにしていた庶民の間
  では、各大名の家系図、石高、家紋や行列
  道具などの詳細データが載った「文化武艦」
  という”大名行列見物ガイドブック”が
  ベストセラーでした。

6.参勤交代は、ルートの確認、藩士の選任、
  道具・衣装・献上品の手配など、準備に
  半年を要しました。

7.道中、雨で橋が流されたり、川止めに
  あったり、宿場で他の藩とかちあったり
  と、トラブル、事件も多発するので、
  臨機応変な判断や宿役人との交渉力が試され
  ました。

8.湯船に細工しての暗殺や、疫病感染を防ぐ
  ため、大名行列では、”my風呂桶”を運び、
  宿の湯船は使用しませんでした。

9.草津宿に残る本陣の上段の間は、畳を何枚も
  重ねてあり、床下から忍者が刀で刺し殺すの
  を防ぎました。
  また、天井裏からは、屋根裏からの暗殺を
  防ぐためにばら撒いた大量のイバラのトゲ
  が発見されています。
  (「東海道を歩く・草津」、
   「バスで行く東海道・水口~草津」
    を見てね。)

10.平均的な13日間の参勤交代の費用 = 
  約5億円 = 宿泊代×食事代×衣装代×
  馬のエサ代×参加人数+道具一式+献上品

11.参勤交代を怠った例:筑前藩主・松平忠直は
  江戸に参勤しなかったために豊後に流罪に
  なりました。

12.「参勤交代道中記」(平凡社)によれば、加賀
  藩の場合を以下の様に書いています。
  ・殿様の前に立てられている槍は、長さ、
   鞘の形、種類、色により、遠方からでも、
   何家の行列か見分けられた。
  ・殿様の駕籠は、14人で担いだ。
  ・上級藩士、高齢者、脚気の者、医師以外に、
   前夜の不寝番なども駕籠に乗った。
  ・最大の大名行列は加賀藩で2,000人。
  ・駕籠の床にただ座っているのは辛かった
   ので、殿様は、山道では4~8キロ歩いて
   気晴らしをした。
  ・”my風呂桶”以外にも、携帯用トイレ、
   重石を載せたままの漬物なども担いでいた。
  
・江戸時代後半になると、奴踊りをする奴を
   雇い、馬を美しく飾り、先箱を金紋にする
   等、大名行列は形骸化し、互いに奇を
   てらい、旅装は華美になった。
   しかし、その後、これが藩財政を圧迫した
   ので経費節減に方針転換、お昼は殿様まで
   弁当持参、古着を着た藩士も多く、服の
   色が統一されない貧弱な隊列となった。

13.浅田次郎著「一路」でも、江戸への到着遅れは
  大罪となるため、「安中の遠足(とおあし)」
  が江戸へ向けて、昼夜を問わず走り続けます。
一路(上)
浅田 次郎
中央公論新社



(大名行列の”my風呂桶”:歴史秘話
 ヒストリア)

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コメント一覧

更家
吉原御免状
http://blog.goo.ne.jp/mrsaraie
最近、隆慶一郎の「吉原御免状」を読んだのですが、この小説でも、吉原成立の秘話、吉原での裏柳生の忍びの跳梁、などと出てきます。
この小説でも、”吉原は廓内をもって一国とし別天地をなしていた”ようです。
なぜ浅草弾左衛門が行列に葵紋を使えたか、につながりそうな小説ですよ。
iina
弾左衛門の大名行列
http://blog.goo.ne.jp/iinna/
弾左衛門の大名行列なついては、まだ消化不足ですが一応の結論をみつけました。
明日に、「超高速!参勤交代」をブログにアップするときに触れますが、「浅草弾左衛門と葵の紋」最下部につなげました。
http://blog.goo.ne.jp/iinna/e/231188a75817fffddc0d66bf2ea24584

その昔に、俳優の山城新伍が、映画化を考えたそうですが採用されなかったそうです。影隆慶一郎作著「武者・徳川家康」
に道々の者として、たちが登場しますから、弾左衛門にスポットをあてた映画は面白いと思うのですが・・・。

更家
浅草弾左衛門
http://blog.goo.ne.jp/mrsaraie
弾左衛門はの親分なのに葵の紋を掲げ大名行列を許された話、面白いですね。
司馬遼太郎が調べても分からなかったくらいですから、何か、凄い裏があるんでしょうね。
iina
大名行列
http://blog.goo.ne.jp/iinna/
「超高速!参勤交代」を見てきました。
封切順に、公開時間が遅くなっていくので夜の回は遠慮したいため見逃してましたが、隣町で昼前にもどったので
出掛けて来ました。
なかなか巧みに参勤交代を扱っていて、面白かったです。

ラストに、将軍がひとことをいうのが拍子抜けするという評を読んだため、きっと「只 主の顔を見たくなったのじゃ」
と我が儘をいって幕を落とすのかと思ってました。
ところが、冒頭から陰謀めいた展開に、ありゃどうなるんだろうと流れにゆだねることにしました。

この大名行列を、なんとの親分・浅草弾左衛門が許されています。身分制度のやかましかった時代なのに、
不思議な存在なのです。
http://blog.goo.ne.jp/iinna/e/0c8ec7d0a1e9271c9d5e3c1e1c659474

そして、大名行列の奴をこどもが模して行う「こども奴」が富山でやっていました。
http://blog.goo.ne.jp/iinna/e/06fcd9d13265040b85d72909129a59f3

更家
天地明察
確かに、参勤交代が主役の映画は、初めてではないかなと思います。

天地明察が良かった、という評判はあちこちで聞きますよ。
今度、レンタルビデオを借りて見てみたいです。
Komoyo Mikomoti
6833
http://blogs.yahoo.co.jp/ya3249
参勤交代をメインに持ってくるという発想は大胆ですね。
レンタルになったら、見てみようと思います。

江戸時代の旅ものでは、何年か前にみた「弥次喜多道中」もの(タイトルは忘れました)が面白かったです。
あと、「天地明察」は、よかったです。

参勤交代の人数は、大名の格に応じた見栄みたいなものがあって、現地調達をしたという話を読んだことがあります。
更家
羨ましい
信州はこの時期ベストシーズンでしょうね。羨ましい!
私は昨夜、両親の事で熊本へ帰省し、 2週間程度、猛暑の熊本で汗を垂らしながら所用を片付け中です・・・
よっちん
http://blog.goo.ne.jp/harigatake1961
明日の早朝というか
今日の深夜というか…

信州に向けて出発します。
今日は早く寝ないといけないので
訪問だけで失礼します。

明日は宿から訪問できると思います。
では、よい連休を…

更家
滑稽に思えます
http://blog.goo.ne.jp/mrsaraie
確かに、現代人からすると、参勤交代は荒唐無稽ですよね。
江戸時代は、それを大真面目にやっていた訳ですから、よけいに滑稽に思えます。

そう、私も、山の中を走って行くのは絶対に無理です。

私は東海道でも中山道でも、山道になると、1日に、平地の3分の1の距離しか稼げません。
hide-san
荒唐無稽
http://blog.goo.ne.jp/hidebach
参勤交代は荒唐無稽で娯楽と考えれば、楽しかったですね。
山の中を走って行くのはとても無理。
人によって難所は違うそうですが、
山は昇るのも下るのも大変、乗り物がなかったからでしょうが、
昔は、旅するのは一苦労でしたね。
思いやられます。
更家
割り切って
http://blog.goo.ne.jp/mrsaraie
「超高速!参勤交代」は、まあ、”痛快チャンバラ時代劇+ドタバタ喜劇”と割り切って見れば面白いですよ。

そうですか!、登山の際は、ノンアルコールビール、という事ですね。
iina
(更家)さん へ
http://blog.goo.ne.jp/iinna/
「超高速!参勤交代」は、面白そうな映画ですね。
見に行こうと思ってますから、内容を読むのを避け鑑賞後にまいります。 m(_ _)m

飲物○シリーズは、こんな飲み方がありました。
登山しても飲みたいのが呑み助でして、山でのアルコールは避けようと、ノンアルコールのビールを持参しました。
ところが、共に登った相手は両方を持参していて、両方を飲み比べたところ、ノンアルコールの方がウマかったです。
これは汗をかいてますから水気の多い方を身体が求めているので、本物の方は濃すぎですから、ノンアルコールの方が
向いているのでしょう。
まぁ、そこまでして飲むなといわれれば、反省するよりありません。(^^ゞ

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