今話の名セリフ:「ここは、ミアちゃんの居場所にならない? 私、ミアちゃんの歌、聞きたい・・・。」
「ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会」2期第9話「The Sky I Can't Reach」の感想です。
~ オープニング前 ~
「心の奥にある答えは、本当にそれでいいの? 見た事のない世界を見てみたい・・・。」
ある日、第2回スクールアイドルフェスディバルの動画を見ていたミア。その姿が侑に見られ、気恥ずかしく感じます。
そんな中、ランジュからのメッセージが。内容は・・・、
「直接話聞いてくる。ランジュは歌わなきゃいけないんだ。ボクのために・・・。」
~ Aパート ~
それからしばらくして・・・、
「ようやく知名度も上がってきたんだ。これからという時に、どういうつもりだよ?」
「だって、スクールアイドルは、もうやり切ってしまったんだもの。」
「やり切った?」
「そうよ。スクールアイドルでやりたかった事、やれる事に全力で取り組んできたわ。そして、歌とパフォーマンスも、すべてやり切った。」
「だから、やめるの・・・。アタシ達のパートナーシップも解消しましょ。」
「何言ってるのさ! ボク達の音楽を知らない人達は、まだ沢山いる。その人達に見せつけてやらなきゃ!」
「分かっちゃったのよ・・・。」
「何が?」
「この前のスクールアイドルフェスティバルっで、アタシは100%出し切った。でも、あの子達は、もっと、それ以上だった・・・。」
「いくら手を伸ばしても、やっぱり、あそこには届かないって・・・。思い知らされちゃったわ・・・。」
「ボクの曲じゃ、あの子達には敵わないって事?」
「そうじゃないわ! ただ・・・。」
「だったら、今度は絶対に負けないような最高の曲を作る!」
「ミア・・・。」
「その出来に納得できたら、スクールアイドルをやめるのは撤回してもらうから! キミには、まだボクの歌を歌ってもらわなきゃ困るんだ!」
その後日、侑、エマ、璃奈の3人はランジュに話しかけましたが、効果はなし。スクールアイドルをやめる気持ちは変わりませんでした。
ですが、ミアは諦めません。ミアは、ランジュのための最高の曲を作っており、それを聞けば、ランジュの気持ちは変わるんじゃないかと思っています。
「最高の曲・・・。ランジュのための・・・。ランジュ自身の歌・・・。」
『あの・・・。』
「あ・・・。ランジュから先に・・・。」
「ううん・・・。栞子が先に言って・・・。」
「あの、大した事じゃないんです・・・。ただ、一緒に帰るの、ランジュが戻ってきてから初めてだなって・・・。」
「そうね・・・。栞子ってば、文化祭の準備で大忙しなんだもの・・・。」
「すみません・・・。」
「責めてないわ! 違うの! アタシも、ライブとかで忙しかったから・・・。」
「スクールアイドルを頑張ってましたものね!」
「あ・・・。うん・・・。」
「ランジュ、謝りたい事があるんです・・・。」
「え?」
「スクールアイドルに憧れていた事、ランジュに黙っていて、ごめんなさい・・・。」
「どうして栞子が謝るの?」
「あなたを傷付けたと思って・・・。」
「怒っていますよね? ずっと・・・。」
「怒ってなんかいないわ!」
「ただ、アタシが・・・。」
「ランジュ?」
「アタシ、こっちだから! バイバイ!」
「ランジュは完璧主義者だ・・・。それに、これまでの傾向からすると・・・。」
「ミアチ、来ないね・・・。」
「うん・・・。」
「もっとできるはずだ・・・。ボクは、こんなところで終わる訳には・・・。」
その後日、璃奈はエマの案内で、寮のミアの部屋の前に来ていました。
部屋に入ろうとした時、ミアが部屋から出てきました。曲が完成したようで、今からランジュの元に向かいます。
そして、ランジュは曲を聞きました。
「どう? キミのために書いたキミのための最高の1曲だ!」
「クオリティも高いし、さすがミアだわ。」
「でも、これは、アタシの曲じゃない。」
~ Bパート ~
「ミアちゃん・・・。」
「放っておいてくれ!」
「間違いなく今までで一番のクオリティだった! ランジュの求めるもの、方向性にもピッタリ合っていたのに! 何で!?」
「ミアちゃん・・・。」
「何? 笑いに来たの? 自信満々で持って行って、このザマだからね! 笑えばいいだろ!」
「笑わないよ。」
「じゃあ、放っておいてくれ!」
「無理・・・。」
「うざいな!」
「あ・・・。」
「手、痛くない? 赤くなってる。」
「ごめん・・・。熱くなっちゃって・・・。」
「そういう時もある。」
「でも・・・。」
「そういう時は・・・。」
「食べよう。」
「う、うん・・・。」
「そういえば、最近食べてなかった・・・。」
「食事は大事。」
「あの曲に、全部かけていたんだ・・・。ランジュが歌えば、ボクの曲を、より多くの人に届けられる・・・。」
「アイツがパートナーなら、やっと結果が残せるって、思ってたのに・・・。」
「どうして、そんなに結果がほしいの?」
「え?」
「ミアちゃん、とても苦しそう・・・。苦しんでまで結果が必要?」
「必要だよ! ボクは、ミア・テイラーなんだから! 音楽で認められなきゃ、ボクに価値はない・・・。」
「ミアちゃんはミアちゃんだよ。価値がないなんて事、ない・・・。」
「駄目なんだよ! だって、ボクには、もう、曲を作るしかないんだから!」
「ミアちゃん?」
「テイラー家の娘として、せめて、それくらいは果たさないといけないんだ・・・。」
「小さい頃、ボクは歌が好きだった。歌うのが楽しくて、いつも歌ってた。」
「ある時、家族と一緒にステージに立つ事になったんだ。歌手としてのデビューさ。ワクワクしたよ!」
「でも、ボクは分かっていなかった・・・。テイラー家の名は、いかに大きいものか・・・。」
「何千もの目が、新しいディーヴァの誕生を待ち望んでいた・・・。ただ歌が好きで、楽しむ事しか考えてなかった自分が、それに応えられるのか・・・。」
「歌えないテイラー家の娘に、価値なんてない・・・。だから、せめて、自分にできる事で、この世界に居場所を作ろうとしたんだ・・・。」
「ランジュを利用してまで、ようやく手が届くと思ったのに・・・。」
「でも、ミアちゃんは今、ここにいるよね?」
「え?」
「ここは、ミアちゃんの居場所にならない? 私、ミアちゃんの歌、聞きたい・・・。」
「だ、駄目だよ! だって・・・。」
「ミア・テイラーじゃなくて、ミアちゃんの歌が聞きたいな・・・。」
「え?」
「テイラー家がどんなものか、私は知らない・・・。でも、歌が好きなら、その気持ちはなかった事にしないでほしい・・・。」
「ミアちゃんにもっと楽しんでほしい。ここならきっとミアちゃんが望むものを叶えられる!」
「ボクが望むもの・・・。」
「うん。」
「歌いたい・・・。歌いたいんだ!」
「うん!」
「夢を叶えるのが、スクールアイドルだよ。」
「そう・・・、だね・・・。」
「ここが、ボクが辿り着きたかった場所なのかな・・・。」
「いくら手を伸ばしても、やっぱり、あそこには届かないって・・・。思い知らされちゃったわ・・・。」
「ありがとう、璃奈! やるべき事が見えてきたよ!」
「まずは、曲を作り直さなきゃ!」
その後日、ランジュは夜の飛行機で帰国しようとしていました。
ランジュを引き留めたい気持ちは、ミアだけじゃなく、同好会メンバーも同じ。急いで空港に向かいます。
それからしばらくして・・・、
「ランジュ!」
「栞子・・・。」
「ランジュちゃん! 見つけたよ!」
「一体何なの?」
「少しだけ時間をくれないかな?」
「ミアが、あなたのために曲を作ってるわ!」
「ランジュちゃん!」
「悪いけど、どんな曲を持ってきても、答えはノーよ・・・。」
「何?」
「駄目!」
「行かせませんよ!」
「ミアさんの曲、聞いて下さい!」
「言ったでしょ? 全部やり切ったの・・・。未練はないわ・・・。」
「鐘嵐珠が、それでいいのか?」
「ボクは、ずっと思ってたよ・・・。鐘嵐珠ほどパーフェクトなヤツはいないって・・・。歌もパフォーマンスもプライドも努力も、嫌味なくらい全部!」
「そんなヤツが、本当の夢には手も伸ばさず、諦めて帰ろうとするなんて、らしくないだろ!」
「たとえ、どんな曲を作ってきても、私には・・・。」
「これはキミの曲じゃない。」
「ボクもずっと、手を伸ばせずにいた夢があった・・・。でも、諦めるのは、もうお終いにする。キミと違ってね・・・。」
「歌が好きだったのに、自信がなくて、目を逸らしていた・・・。でも、教えてもらったんだ! スクールアイドルは、やりたい気持ちがあれば、誰でも受け入れてくれる!」
「だったら、ボクの手もきっと届く! ボクは夢を掴むよ!」
「キミは、どうする?」
「ランジュ。私は、あなたと一緒にスクールアイドルをやりたい・・・。」
「私と一緒にステージに・・・。」
「無理よ!」
「無理なのよ・・・。アタシは、誰とも一緒にいられないの・・・。」
「昔からそうなの・・・。仲良くなりたいと思うのに、どうしても上手くいかない・・・。」
「そんな事は・・・。」
「栞子だけよ・・・。アタシと友達になってくれた人は・・・。他の人はみんな、始めは良くても、だんだん遠巻きになって、離れていった・・・。」
「まあ、分かるけどね。ランジュの言い方は癇に障る時もある。」
「だって分からないんだもの・・・。何が悪いのか、何で避けられるのか・・・。」
「どうやっても人の気持ちが分からない・・・。だったらもう1人でいようって・・・。」
「ここに来たのも、ソロアイドルならできると思ったから・・・。相手の気持ちが分からなくても、認めさせる事はできるって・・・。」
「誰だって、相手の気持ちが分からない事はあります・・・。ランジュだけじゃ・・・。」
「ただ1人の友達の事も分からないのよ・・・。」
「ね・・・。1人でいるしかないのよ・・・。」
「それで、同好会の誘いも断ったの?」
「そうよ・・・。むしろ、ソロのスクールアイドル達が、同好会として絆を深めていた事に驚いたわ・・・。」
「互いに信頼し合って、ユニットも、それ以上の事もできる・・・。それがスクールアイドルなら、アタシにはできない・・・。」
「なあ。その腑抜けた目で、周りをよく見てみろよ。」
「え?」
「ここにいるみんなが、誰のために来たと思ってるんだ? ボクが頼んだだけじゃ、こんなに集まる訳ないだろ!」
「過去にとらわれたままじゃ、目の前にいる人達の気持ちを、踏みにじる事になるんだぞ?」
「ランジュ。ボクとキミは似ているよ。ずっと過去にとらわれ、夢に手を伸ばさずに来た・・・。でも、ここは、今までの場所とは違う・・・。」
「ランジュちゃん! 私達がユニットを始めようと思ったのは、ランジュちゃんのおかげなんだよ!」
「ランジュちゃんの真っ直ぐな言葉があったから、私は前に進めたんだ! ありがとう!」
「栞子・・・。」
「もう一度、ここから始めませんか? 私達、もっと仲良くなれると思うんです・・・。」
「栞子・・・。いいの?」
「うん・・・。」
「ボク達はもうビジネスパートナーじゃない。これからよろしく! ライバルさん!」
「まだデビューもしてないのに、アタシに張り合うなんて・・・。」
「ランジュ。ミアさん。これから一緒に頑張りましょう!」
「ええ・・・。でも、その、ライバルでも友達になれる・・・?」
「今更!」
「もう! うるさいわよ! ミア!」
「ねえ。今からでも間に合う?」
「もちろん! ようこそ! 虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会へ!」
~ エンディング後 ~
「果林ちゃーん、朝だよー?」
「おはよう! 果林!」
「おはよう! 果林ちゃん!」
「今日からお世話になる鐘嵐珠よ!」
「ランジュちゃんも寮に来てくれたおかげで、果林ちゃんの朝寝坊が減りそう! ありがとうね!」
「これぐらい朝飯前よ!」
「さ、次はミアね!」
今回は、これで終了です。
【まとめ】 ※今回は、かなり長いです。長文苦手な方は、ご注意下さい。
という事で、今話は、ミアがスクールアイドルになり、ランジュと揃って、同好会に加入。これで、2期の追加メンバーは全員、同好会に加入して、同好会は13人体制となりました。
今話は9話目。振り返ってみると、1期は9話目でソロ曲が全員分披露され、「サンシャイン」では、9話目でAqoursのメンバーが全員揃いました。と考えると、追加メンバー全員の同好会加入は、ちょうどいいタイミングだったと思いますね。
まず、ミアの同好会入りは、「スクスタ」とだいたい同じ経緯でした。幼少期の出来事で歌えなくなったり、璃奈のおかげでスクールアイドルになれた事は、「スクスタ」と同じで、見慣れた描写ではありますが、曲げなくて正解だったと思います。
「スクスタ」における追加メンバーの同好会入りまでは、かなりギスギスしていて、炎上を生んだ事もありましたが、そんな中、ミアの同好会入りの経緯は大いに感動させるところがあり、それをアニメでも活かしてくれたのは本当に良かったです。
やっぱり、ミアといったら、璃奈は外せないですよね。ミアに突っぱねられても、ミアの手の状態を心配したり、一緒にハンバーガーを食べ合ったり、家の名誉には縛られずに自分自身を楽しんでほしいとか、璃奈って本当にいい子過ぎるよ・・・。「スクスタ」の時に味わった感動をここでも味わう事ができて何よりです。
ミアの挿入歌「stars we chase」は、なんと英語オンリーの曲。どういう歌詞なのか、ある程度しか分からなかったです・・・。
ああ・・・、中高生の時だったら英語が得意だったので、簡単に和訳できて、この曲の素晴らしさをより深く感じ取れたのになあ・・・。でも、それだったら、職場周りがこのアニメの聖地だという事はなく、今ほどの視聴意欲はなかったでしょうから、複雑なところですね。
とはいえ、映像だけでも、良い曲だと感じ取れました。ミアの心情変化をよく表していたと思いますね。
最初の、周りが白い壁だけの部屋で1人で歌っていたのは、ただ歌が好きで楽しむ事だけを考えていた幼少期を表していたでしょう。この時は、テイラー家の重みをまったく感じず、純粋にのびのびと歌を楽しんでいて、それが、挿入歌の映像でも表現されていたと思います。
その後の鳥籠だらけの暗い空間で1人残されていたのは、幼少期にステージに立った時に周りの期待にプレッシャーを感じて歌えなくなってしまったのを表現しているでしょう。
そういえば、鳥籠だらけといえば、1話にもありましたね。ランジュの挿入歌の映像に。あの時もでしたが、孤独感を生み出す良い演出だったと思います。
ただランジュと違ったのは、1羽の鳥が救いの道を示した事。あの鳥が、自分が心の中で本当に望んでいる道を示し、周りが明るくなり、そして、目を背けていた、歌を純粋に楽しむ心を開放できたように見えますね。
あの鳥は、璃奈を表しているように思いました。璃奈のおかげで、家柄にとらわれない純粋な自分に帰れた訳ですし。ミアは、本当にいい子に出会えて良かったと思いますね。
最後の方の、過去の自分の背中を今の自分が押すところも良い演出でした。
また、沢山の白い羽と鍵も、栞子の挿入歌映像と同じく、見所のあるアイテムだと感じました。羽は、あの時と同じく、スクールアイドル魂の継承を感じさせるものだったと思いますね。鍵も、幼少期にステージに立った時に止まった「好き」を再度動かす良いアイテムだったと思います。
ミアの挿入歌披露後には、ランジュがこれまで1人にこだわっていた理由が明かされました。それは、他人の気持ちが分からず、誰かと仲良くなろうとしても上手くいかないからでした。
まあ、確かに、他人の気持ちって分からないですよね。自分がこうだと思っていた事が、結果は的外れで、相手の事を傷付けたり、ケンカしたりといった事は、よくある話でしょう。
それだったら、周りと距離を作って1人になれば、周りとの衝突は避けられ、誰も傷付く事はなくなる。そう思うと、ランジュって、すごく優しい子なんだろうな、と思いますね。
でも、それゆえに、本当は仲良くなりたいという本心を奥底に閉まってしまうのは、もったいない話。ましてや、ランジュは、まだ年頃の女の子なのですから、尚更ですね。
ランジュに限らず、他人の気持ちはよく分からないもので、人付き合いは面倒と感じたり、他人を傷付けてしまうリスクも存在するでしょう。
ですが、そんな面倒さやリスクを乗り越えて、素晴らしい財産を得る事もできます。性格は違えど、スクールアイドルが好きだという共通点だけで、会話が弾んで、すごく仲良くなり、楽しい時間を送る事ができるでしょう。
そう思うと、人は1人でいるより、誰かと一緒にいた方が、充実できるように感じますね。
それにしても、ランジュは、歌やダンスはすごいものを見せてくれるのに、人付き合いは不器用だよなあ。でも、それが良いと思いますし、そんな不器用なところも含めて同好会メンバーが受け入れてくれたのは良かったですね。
孤独から救われて本当に良かった・・・。今話を見終えた時のランジュに対する思いは、それでいっぱいです。
さて、次回は、タイトルを見た感じでは、かすみメインの話でしょうか?
となると、かすみのソロ曲が出るのかも? 前に出てきた幼少期のかすみの無愛想な表情の理由も明らかになりそう?
かすみがメインの話という事で、表情の豊かさで楽しめたらいいな、と期待しています。
今話の感想は、これで以上です。この記事へのコメント、トラックバックは、こちらにお願いします。
「ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会」2期第9話「The Sky I Can't Reach」の感想です。
~ オープニング前 ~
「心の奥にある答えは、本当にそれでいいの? 見た事のない世界を見てみたい・・・。」
ある日、第2回スクールアイドルフェスディバルの動画を見ていたミア。その姿が侑に見られ、気恥ずかしく感じます。
そんな中、ランジュからのメッセージが。内容は・・・、
「直接話聞いてくる。ランジュは歌わなきゃいけないんだ。ボクのために・・・。」
~ Aパート ~
それからしばらくして・・・、
「ようやく知名度も上がってきたんだ。これからという時に、どういうつもりだよ?」
「だって、スクールアイドルは、もうやり切ってしまったんだもの。」
「やり切った?」
「そうよ。スクールアイドルでやりたかった事、やれる事に全力で取り組んできたわ。そして、歌とパフォーマンスも、すべてやり切った。」
「だから、やめるの・・・。アタシ達のパートナーシップも解消しましょ。」
「何言ってるのさ! ボク達の音楽を知らない人達は、まだ沢山いる。その人達に見せつけてやらなきゃ!」
「分かっちゃったのよ・・・。」
「何が?」
「この前のスクールアイドルフェスティバルっで、アタシは100%出し切った。でも、あの子達は、もっと、それ以上だった・・・。」
「いくら手を伸ばしても、やっぱり、あそこには届かないって・・・。思い知らされちゃったわ・・・。」
「ボクの曲じゃ、あの子達には敵わないって事?」
「そうじゃないわ! ただ・・・。」
「だったら、今度は絶対に負けないような最高の曲を作る!」
「ミア・・・。」
「その出来に納得できたら、スクールアイドルをやめるのは撤回してもらうから! キミには、まだボクの歌を歌ってもらわなきゃ困るんだ!」
その後日、侑、エマ、璃奈の3人はランジュに話しかけましたが、効果はなし。スクールアイドルをやめる気持ちは変わりませんでした。
ですが、ミアは諦めません。ミアは、ランジュのための最高の曲を作っており、それを聞けば、ランジュの気持ちは変わるんじゃないかと思っています。
「最高の曲・・・。ランジュのための・・・。ランジュ自身の歌・・・。」
『あの・・・。』
「あ・・・。ランジュから先に・・・。」
「ううん・・・。栞子が先に言って・・・。」
「あの、大した事じゃないんです・・・。ただ、一緒に帰るの、ランジュが戻ってきてから初めてだなって・・・。」
「そうね・・・。栞子ってば、文化祭の準備で大忙しなんだもの・・・。」
「すみません・・・。」
「責めてないわ! 違うの! アタシも、ライブとかで忙しかったから・・・。」
「スクールアイドルを頑張ってましたものね!」
「あ・・・。うん・・・。」
「ランジュ、謝りたい事があるんです・・・。」
「え?」
「スクールアイドルに憧れていた事、ランジュに黙っていて、ごめんなさい・・・。」
「どうして栞子が謝るの?」
「あなたを傷付けたと思って・・・。」
「怒っていますよね? ずっと・・・。」
「怒ってなんかいないわ!」
「ただ、アタシが・・・。」
「ランジュ?」
「アタシ、こっちだから! バイバイ!」
「ランジュは完璧主義者だ・・・。それに、これまでの傾向からすると・・・。」
「ミアチ、来ないね・・・。」
「うん・・・。」
「もっとできるはずだ・・・。ボクは、こんなところで終わる訳には・・・。」
その後日、璃奈はエマの案内で、寮のミアの部屋の前に来ていました。
部屋に入ろうとした時、ミアが部屋から出てきました。曲が完成したようで、今からランジュの元に向かいます。
そして、ランジュは曲を聞きました。
「どう? キミのために書いたキミのための最高の1曲だ!」
「クオリティも高いし、さすがミアだわ。」
「でも、これは、アタシの曲じゃない。」
~ Bパート ~
「ミアちゃん・・・。」
「放っておいてくれ!」
「間違いなく今までで一番のクオリティだった! ランジュの求めるもの、方向性にもピッタリ合っていたのに! 何で!?」
「ミアちゃん・・・。」
「何? 笑いに来たの? 自信満々で持って行って、このザマだからね! 笑えばいいだろ!」
「笑わないよ。」
「じゃあ、放っておいてくれ!」
「無理・・・。」
「うざいな!」
「あ・・・。」
「手、痛くない? 赤くなってる。」
「ごめん・・・。熱くなっちゃって・・・。」
「そういう時もある。」
「でも・・・。」
「そういう時は・・・。」
「食べよう。」
「う、うん・・・。」
「そういえば、最近食べてなかった・・・。」
「食事は大事。」
「あの曲に、全部かけていたんだ・・・。ランジュが歌えば、ボクの曲を、より多くの人に届けられる・・・。」
「アイツがパートナーなら、やっと結果が残せるって、思ってたのに・・・。」
「どうして、そんなに結果がほしいの?」
「え?」
「ミアちゃん、とても苦しそう・・・。苦しんでまで結果が必要?」
「必要だよ! ボクは、ミア・テイラーなんだから! 音楽で認められなきゃ、ボクに価値はない・・・。」
「ミアちゃんはミアちゃんだよ。価値がないなんて事、ない・・・。」
「駄目なんだよ! だって、ボクには、もう、曲を作るしかないんだから!」
「ミアちゃん?」
「テイラー家の娘として、せめて、それくらいは果たさないといけないんだ・・・。」
「小さい頃、ボクは歌が好きだった。歌うのが楽しくて、いつも歌ってた。」
「ある時、家族と一緒にステージに立つ事になったんだ。歌手としてのデビューさ。ワクワクしたよ!」
「でも、ボクは分かっていなかった・・・。テイラー家の名は、いかに大きいものか・・・。」
「何千もの目が、新しいディーヴァの誕生を待ち望んでいた・・・。ただ歌が好きで、楽しむ事しか考えてなかった自分が、それに応えられるのか・・・。」
「歌えないテイラー家の娘に、価値なんてない・・・。だから、せめて、自分にできる事で、この世界に居場所を作ろうとしたんだ・・・。」
「ランジュを利用してまで、ようやく手が届くと思ったのに・・・。」
「でも、ミアちゃんは今、ここにいるよね?」
「え?」
「ここは、ミアちゃんの居場所にならない? 私、ミアちゃんの歌、聞きたい・・・。」
「だ、駄目だよ! だって・・・。」
「ミア・テイラーじゃなくて、ミアちゃんの歌が聞きたいな・・・。」
「え?」
「テイラー家がどんなものか、私は知らない・・・。でも、歌が好きなら、その気持ちはなかった事にしないでほしい・・・。」
「ミアちゃんにもっと楽しんでほしい。ここならきっとミアちゃんが望むものを叶えられる!」
「ボクが望むもの・・・。」
「うん。」
「歌いたい・・・。歌いたいんだ!」
「うん!」
「夢を叶えるのが、スクールアイドルだよ。」
「そう・・・、だね・・・。」
「ここが、ボクが辿り着きたかった場所なのかな・・・。」
「いくら手を伸ばしても、やっぱり、あそこには届かないって・・・。思い知らされちゃったわ・・・。」
「ありがとう、璃奈! やるべき事が見えてきたよ!」
「まずは、曲を作り直さなきゃ!」
その後日、ランジュは夜の飛行機で帰国しようとしていました。
ランジュを引き留めたい気持ちは、ミアだけじゃなく、同好会メンバーも同じ。急いで空港に向かいます。
それからしばらくして・・・、
「ランジュ!」
「栞子・・・。」
「ランジュちゃん! 見つけたよ!」
「一体何なの?」
「少しだけ時間をくれないかな?」
「ミアが、あなたのために曲を作ってるわ!」
「ランジュちゃん!」
「悪いけど、どんな曲を持ってきても、答えはノーよ・・・。」
「何?」
「駄目!」
「行かせませんよ!」
「ミアさんの曲、聞いて下さい!」
「言ったでしょ? 全部やり切ったの・・・。未練はないわ・・・。」
「鐘嵐珠が、それでいいのか?」
「ボクは、ずっと思ってたよ・・・。鐘嵐珠ほどパーフェクトなヤツはいないって・・・。歌もパフォーマンスもプライドも努力も、嫌味なくらい全部!」
「そんなヤツが、本当の夢には手も伸ばさず、諦めて帰ろうとするなんて、らしくないだろ!」
「たとえ、どんな曲を作ってきても、私には・・・。」
「これはキミの曲じゃない。」
「ボクもずっと、手を伸ばせずにいた夢があった・・・。でも、諦めるのは、もうお終いにする。キミと違ってね・・・。」
「歌が好きだったのに、自信がなくて、目を逸らしていた・・・。でも、教えてもらったんだ! スクールアイドルは、やりたい気持ちがあれば、誰でも受け入れてくれる!」
「だったら、ボクの手もきっと届く! ボクは夢を掴むよ!」
「キミは、どうする?」
「ランジュ。私は、あなたと一緒にスクールアイドルをやりたい・・・。」
「私と一緒にステージに・・・。」
「無理よ!」
「無理なのよ・・・。アタシは、誰とも一緒にいられないの・・・。」
「昔からそうなの・・・。仲良くなりたいと思うのに、どうしても上手くいかない・・・。」
「そんな事は・・・。」
「栞子だけよ・・・。アタシと友達になってくれた人は・・・。他の人はみんな、始めは良くても、だんだん遠巻きになって、離れていった・・・。」
「まあ、分かるけどね。ランジュの言い方は癇に障る時もある。」
「だって分からないんだもの・・・。何が悪いのか、何で避けられるのか・・・。」
「どうやっても人の気持ちが分からない・・・。だったらもう1人でいようって・・・。」
「ここに来たのも、ソロアイドルならできると思ったから・・・。相手の気持ちが分からなくても、認めさせる事はできるって・・・。」
「誰だって、相手の気持ちが分からない事はあります・・・。ランジュだけじゃ・・・。」
「ただ1人の友達の事も分からないのよ・・・。」
「ね・・・。1人でいるしかないのよ・・・。」
「それで、同好会の誘いも断ったの?」
「そうよ・・・。むしろ、ソロのスクールアイドル達が、同好会として絆を深めていた事に驚いたわ・・・。」
「互いに信頼し合って、ユニットも、それ以上の事もできる・・・。それがスクールアイドルなら、アタシにはできない・・・。」
「なあ。その腑抜けた目で、周りをよく見てみろよ。」
「え?」
「ここにいるみんなが、誰のために来たと思ってるんだ? ボクが頼んだだけじゃ、こんなに集まる訳ないだろ!」
「過去にとらわれたままじゃ、目の前にいる人達の気持ちを、踏みにじる事になるんだぞ?」
「ランジュ。ボクとキミは似ているよ。ずっと過去にとらわれ、夢に手を伸ばさずに来た・・・。でも、ここは、今までの場所とは違う・・・。」
「ランジュちゃん! 私達がユニットを始めようと思ったのは、ランジュちゃんのおかげなんだよ!」
「ランジュちゃんの真っ直ぐな言葉があったから、私は前に進めたんだ! ありがとう!」
「栞子・・・。」
「もう一度、ここから始めませんか? 私達、もっと仲良くなれると思うんです・・・。」
「栞子・・・。いいの?」
「うん・・・。」
「ボク達はもうビジネスパートナーじゃない。これからよろしく! ライバルさん!」
「まだデビューもしてないのに、アタシに張り合うなんて・・・。」
「ランジュ。ミアさん。これから一緒に頑張りましょう!」
「ええ・・・。でも、その、ライバルでも友達になれる・・・?」
「今更!」
「もう! うるさいわよ! ミア!」
「ねえ。今からでも間に合う?」
「もちろん! ようこそ! 虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会へ!」
~ エンディング後 ~
「果林ちゃーん、朝だよー?」
「おはよう! 果林!」
「おはよう! 果林ちゃん!」
「今日からお世話になる鐘嵐珠よ!」
「ランジュちゃんも寮に来てくれたおかげで、果林ちゃんの朝寝坊が減りそう! ありがとうね!」
「これぐらい朝飯前よ!」
「さ、次はミアね!」
今回は、これで終了です。
【まとめ】 ※今回は、かなり長いです。長文苦手な方は、ご注意下さい。
という事で、今話は、ミアがスクールアイドルになり、ランジュと揃って、同好会に加入。これで、2期の追加メンバーは全員、同好会に加入して、同好会は13人体制となりました。
今話は9話目。振り返ってみると、1期は9話目でソロ曲が全員分披露され、「サンシャイン」では、9話目でAqoursのメンバーが全員揃いました。と考えると、追加メンバー全員の同好会加入は、ちょうどいいタイミングだったと思いますね。
まず、ミアの同好会入りは、「スクスタ」とだいたい同じ経緯でした。幼少期の出来事で歌えなくなったり、璃奈のおかげでスクールアイドルになれた事は、「スクスタ」と同じで、見慣れた描写ではありますが、曲げなくて正解だったと思います。
「スクスタ」における追加メンバーの同好会入りまでは、かなりギスギスしていて、炎上を生んだ事もありましたが、そんな中、ミアの同好会入りの経緯は大いに感動させるところがあり、それをアニメでも活かしてくれたのは本当に良かったです。
やっぱり、ミアといったら、璃奈は外せないですよね。ミアに突っぱねられても、ミアの手の状態を心配したり、一緒にハンバーガーを食べ合ったり、家の名誉には縛られずに自分自身を楽しんでほしいとか、璃奈って本当にいい子過ぎるよ・・・。「スクスタ」の時に味わった感動をここでも味わう事ができて何よりです。
ミアの挿入歌「stars we chase」は、なんと英語オンリーの曲。どういう歌詞なのか、ある程度しか分からなかったです・・・。
ああ・・・、中高生の時だったら英語が得意だったので、簡単に和訳できて、この曲の素晴らしさをより深く感じ取れたのになあ・・・。でも、それだったら、職場周りがこのアニメの聖地だという事はなく、今ほどの視聴意欲はなかったでしょうから、複雑なところですね。
とはいえ、映像だけでも、良い曲だと感じ取れました。ミアの心情変化をよく表していたと思いますね。
最初の、周りが白い壁だけの部屋で1人で歌っていたのは、ただ歌が好きで楽しむ事だけを考えていた幼少期を表していたでしょう。この時は、テイラー家の重みをまったく感じず、純粋にのびのびと歌を楽しんでいて、それが、挿入歌の映像でも表現されていたと思います。
その後の鳥籠だらけの暗い空間で1人残されていたのは、幼少期にステージに立った時に周りの期待にプレッシャーを感じて歌えなくなってしまったのを表現しているでしょう。
そういえば、鳥籠だらけといえば、1話にもありましたね。ランジュの挿入歌の映像に。あの時もでしたが、孤独感を生み出す良い演出だったと思います。
ただランジュと違ったのは、1羽の鳥が救いの道を示した事。あの鳥が、自分が心の中で本当に望んでいる道を示し、周りが明るくなり、そして、目を背けていた、歌を純粋に楽しむ心を開放できたように見えますね。
あの鳥は、璃奈を表しているように思いました。璃奈のおかげで、家柄にとらわれない純粋な自分に帰れた訳ですし。ミアは、本当にいい子に出会えて良かったと思いますね。
最後の方の、過去の自分の背中を今の自分が押すところも良い演出でした。
また、沢山の白い羽と鍵も、栞子の挿入歌映像と同じく、見所のあるアイテムだと感じました。羽は、あの時と同じく、スクールアイドル魂の継承を感じさせるものだったと思いますね。鍵も、幼少期にステージに立った時に止まった「好き」を再度動かす良いアイテムだったと思います。
ミアの挿入歌披露後には、ランジュがこれまで1人にこだわっていた理由が明かされました。それは、他人の気持ちが分からず、誰かと仲良くなろうとしても上手くいかないからでした。
まあ、確かに、他人の気持ちって分からないですよね。自分がこうだと思っていた事が、結果は的外れで、相手の事を傷付けたり、ケンカしたりといった事は、よくある話でしょう。
それだったら、周りと距離を作って1人になれば、周りとの衝突は避けられ、誰も傷付く事はなくなる。そう思うと、ランジュって、すごく優しい子なんだろうな、と思いますね。
でも、それゆえに、本当は仲良くなりたいという本心を奥底に閉まってしまうのは、もったいない話。ましてや、ランジュは、まだ年頃の女の子なのですから、尚更ですね。
ランジュに限らず、他人の気持ちはよく分からないもので、人付き合いは面倒と感じたり、他人を傷付けてしまうリスクも存在するでしょう。
ですが、そんな面倒さやリスクを乗り越えて、素晴らしい財産を得る事もできます。性格は違えど、スクールアイドルが好きだという共通点だけで、会話が弾んで、すごく仲良くなり、楽しい時間を送る事ができるでしょう。
そう思うと、人は1人でいるより、誰かと一緒にいた方が、充実できるように感じますね。
それにしても、ランジュは、歌やダンスはすごいものを見せてくれるのに、人付き合いは不器用だよなあ。でも、それが良いと思いますし、そんな不器用なところも含めて同好会メンバーが受け入れてくれたのは良かったですね。
孤独から救われて本当に良かった・・・。今話を見終えた時のランジュに対する思いは、それでいっぱいです。
さて、次回は、タイトルを見た感じでは、かすみメインの話でしょうか?
となると、かすみのソロ曲が出るのかも? 前に出てきた幼少期のかすみの無愛想な表情の理由も明らかになりそう?
かすみがメインの話という事で、表情の豊かさで楽しめたらいいな、と期待しています。
今話の感想は、これで以上です。この記事へのコメント、トラックバックは、こちらにお願いします。