トーキング・マイノリティ

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文化が死ぬ その二

2020-03-29 21:40:40 | 世相(日本)

その一の続き
 2020年03月16日付の痛いニュースには、「【コロナ】クラシック音楽業界、コンサート中止で発生した損害24億円超の補償を国に要望」という記事がある。クラシック音楽の業界団体が国に対し、損害に対する補償など救済策を講じるよう要望書を提出した。要望書を提出したのは、クラシック音楽コンサートの主催や企画を行う93の企業や団体が加盟する「日本クラシック音楽事業協会」。
 協会は16日、文部科学大臣と経済産業大臣にあてて、コンサート中止で発生した損害の補償や、無利子での融資など救済策を講じるよう要望書を提出した。協会によれば先月26日のイベントの自粛要請以降、今月13日までの2週間余りの間に、中止が決まったクラシック音楽のコンサートは全国で523公演にのぼり、損害は推定で24億円を超えるという。

 協会の入山功一会長は、「事業者だけでなく、演奏家たちが本当に困っている。文化芸術は、一度途絶えると短時間で元に戻すことはできない。お客さんの理解も得ながら、徐々に公演を再開する方向にかじを切れるよう、現在、ガイドライン作りなどを進めている」と話した。
 記事には多数の非難が寄せられており、以下のコメントはクラシックをあまり聞かない日本人は共感できるはず。

15: 名無しさん@恐縮です 2020/03/16(月) 18:28:47.33 ID:ofglT3F70
他にも中止になったイベントはいっぱいあるのに、なぜクラシックだけ国が補填しないといけないんだよ? クラシックってのはそんなに偉いのかよ? 
90: 名無しさん@恐縮です 2020/03/16(月) 18:37:33.85 ID:UU6R87vA0
今ヤバいのは音楽・エンタメ業界だけじゃねえだろ 外食産業や観光業界だってどんだけ損害出てるか それ全部補償しろってか 

 一方で「自粛要請は言ってみれば営業妨害のようなものだし、日本におけるアウトブレイクはそもそも政府の判断ミスによるもの。当然政府が保証すべきと思う」「こういう嫉妬や妬みに溢れた被害妄想的な貧乏人根性丸出しなコメントはしたくないものだ。みっともない」等の書き込みもある。
 全般的には少数でも何かあればネットでも国が補償しろ、という声がある。但し政府の保証とは税金なのは未成年でも分かる。このような主張をする者は果たして納税しているのか、または納税したことがあるのか、と邪推したくなる。リベラル派気取りのサヨクほど、国の支出を求めるくせに、自腹は絶対に切らないのだから。

 ふと拙記事「バッシング」にトラックバックしてきた rinoなる専業主婦ブロガーを思い出した。この映画はイラク日本人人質事件で人質になった女性をモデルとした作品だが、rino氏はブログでこう書いていた(※ブログは現代閉鎖)。
私達の税金を・・」なんてしみったれたことを言う前に、解放交渉すると判断をした政府を選んでいる、もしくは政府を変えられない無力な自分を責めるべきだ

 そこで彼女に私からも「日本以外の村八分」という記事をトラバした。案の定rino氏からは感情的な返信があり、「そもそも悪と善なんてもの自体、個人の判断で決めることでしょう(^^)」とキレていた。私に言わせれば、しみったれなのはこの手の女。納税していない有閑マダムはネット上では威勢がいいようだ。働いている庶民の主婦の多くは「私達の税金を・・」に共感するだろう。
 
 もちろん新型コロナウイルスがどれほどの期間続くのか、現時点では誰も分からない。1年では収まらない可能性も大だし、下手すると3年以上かかるかもしれない。イベント自粛のために膨大な損害を被った業界が恨み言を言いたくなるのは理解できる。
 但し巨額の損害を受けたのはエンターテインメントのような文化関連だけではない。そもそも今回のコロナウイルスの爆発的な感染拡大で、影響を受けなかった業界があったのだろうか?もしかすると一部は儲かったかもしれないが、日本のみならず世界経済にも深刻なダメージを与えている。これはコロナ大恐慌となるはず。

 大規模なコロナ経済対策は早急に必要だが、非常時ゆえにエンターテインメント関係は優先度が低くなるのはやむを得ない。しかし痛いニュース記事、「コロナ経済対策で『お肉券』『お魚券』の次は『お寿司券』か 自民議員「寿司食べに行ってもらった方がみんな喜ぶ」」(2020年03月26日)にはめまいがする。これぞしみったれ!

◆関連記事:「新聞、ТVに出ている人だから…

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14 コメント

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Re:補足 (mugi)
2020-04-12 22:57:15
>スポンジ頭さん、

 イナゴとバッタを混同している日本人は多いと思います。幸いにしてアフリカの砂漠バッタは中国国内には来ませんが、インド北西部には達していたのですね。バッタ恐るべし!
 蝗害をテーマとした西村寿行の小説『蒼茫の大地、滅ぶ』を昔見たことがあります。東北が舞台のためインパクトがありましたが、このようなストーリーはあくまで小説の中だけであってほしい。

 おバカニュース満載なので「痛いニュース」は面白いのですが、デマも少なくないのでしょう。しかしヤフーニュースでの国際政治学者のコラムはデマというよりも悪質なフェイク記事です。国際政治学者という名の扇動者にしか見えません。六辻氏は「デマはウィルスより速く世界に拡散する」というコラムをアップしていますが、お前が言うな!の見本です。
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補足 (スポンジ頭)
2020-04-12 10:06:21
 こちらもイナゴとバッタを混同していました。このサイトはFAOのアフリカにおける蝗害対策を紹介したものです。アフリカの飛蝗が到達する範囲が示されていますが、中国国内へ侵入することはないのですね。
http://www.fao.org/ag/locusts/common/ecg/812_en_FightingDLsafelyJ.pdf

 こちらはFAOが去年からのバッタ増殖の様子や今年春の予測を示した図です(英語)。昨年にアフリカから中東にやって来ていますが、インドより東にいる群れは今のところありません。大体、アフリカから来ているバッタの群れがないのに、「痛いニュース」はそんな群れが存在していると書いているのでデマの類です。六辻氏と言う政治学者もおかしな記事を書いていますよね。パキスタンにいるのは去年からの群れですし。もっとも、FAOの資料だとバッタはペルシャ湾や紅海程度は飛ぶので 、怖いのは確かです。
http://www.fao.org/ag/locusts/en/info/2094/web18/index.html

 ただ、中国の「国家林業草原局(日本の農林水産省に該当する農業や林業を管轄する組織のようです)」のサイトを見ると、これによると実は4回ほどチベットや雲南にサバクトビバッタが侵入したそうですが、被害なく終了しています。しかし、侵入する可能性は低いとしながらもインドのモンスーンなどの影響で、チベットやカザフスタン、雲南から侵入する可能性を言及していました。雲南省の下部組織では警戒体制を敷いていました。

 こちらが国家林業草原局のサイト(中国語)です。
https://www.forestry.gov.cn/main/72/20200302/103847100186477.html

 しかし、資料の切り取り方で出鱈目な内容の記事がかけるものだと改めて思いました。
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Re:Re:蝗害 (mugi)
2020-04-08 22:21:09
>motton さん、

 姿かたちが似ているため、イナゴとトノサマバッタは近縁種と誤解されやすいし、ゴッチャにしている日本人も多いと思います。風土的な条件もあり、日本では飛蝗がまずありません。

 聖書で洗礼者ヨハネはいなごと野蜜を食べ物とする人物となっていますが、このいなごは虫ではなく、姿がイナゴに似ている植物の「イナゴマメ」を指すとの見方もあるようです。ユダヤ教やイスラム教でも虫のイナゴを食べられているのは、この人物の影響があるのでしょう。

 ツマジロクサヨトウという虫の名は初めて知りました。検索したら、昨年東北で初めて福島で確認されたそうです。日本には来ないサバクトビバッタよりも遥かに恐ろしいですね。
https://www.jacom.or.jp/nousei/news/2019/09/190905-39035.php
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Re:蝗害 (motton)
2020-04-07 11:58:15
世界各地で蝗害を起こすのは、(日本の)イナゴの近縁種ではありません。(日本の)トノサマバッタの近縁種です。
今回のもサバクトビバッタでトノサマバッタの近縁種です。(中国には来ません。)

日本では古来より蝗害は起こっていないので、トノサマバッタがそうなるとは思わず、ささやかに稲を食うイナゴのことだと思って「蝗」の字を当てました。

ちなみに、ユダヤ教やイスラム教では「蝗」を食べていいようです。「敵」だからでしょうか。ただし、蝗害中のものは食えるところがありません(というか共食いしているので毒が濃縮されているらしい)。

なお、中国で今ヤバそうなのはツマジロクサヨトウです。アメリカ原産の蛾なのですが、幼虫が「野盗」の名のとおり夜に活動してあらゆる植物を食べ壊滅的な被害をもたらすそうです。日本でも警戒中。
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Re:蝗害 (mugi)
2020-04-06 22:09:58
>スポンジ頭さん、

 2月17日付の痛いニュースに「4000億匹のイナゴが中国に到達」という記事がありました。「国連警告4,000億のイナゴが中国国境に達する‼」の一文もあり、それを鵜呑みにしてしまいました。
http://blog.livedoor.jp/dqnplus/archives/1998084.html

 3月7日付ヤフーニュースにも、「コロナに続くもう一つの危機―アフリカからのバッタ巨大群襲来」「東アフリカで大発生したバッタの大群が、海を越えて中東、さらに中国やインドに迫っている」となっています。コラムを書いたのは六辻彰二なる国際政治学者。
https://news.yahoo.co.jp/byline/mutsujishoji/20200307-00166447/

 北海道旅行をした時、明治時代に十勝地方で蝗害があった話を聞きました。一般に日本ではなじみの薄い蝗害ですが、第三世界では甚大な被害が度々発生しており、コロナに続いてイナゴとは恐ろしいと思いましたね。羽があるから海や山を越えられると浅はかに思いこんでしまいまい、「デマ」に引っかかってしまいました。リンク先の一文は耳が痛い。
「もし中国で蝗害が発生するならトノサマバッタです。デマを流した人も引っかかった人も、地図見てないし過去事例も見てないんだよなあ」

 とりあえずは日本の農業に被害を及ぼすものではないのは安心しました、しかしこの先、世界の食糧事情に影響が出てくる可能性が大きく、今年は大変な年になりそうです。
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蝗害 (スポンジ頭)
2020-04-06 01:32:18
>アフリカで大発生したイナゴが中国西部国境にまで達しているのに

 イナゴの群れはパキスタンまで来ましたが、寿命で消滅したそうです。しかし、完全に潰すべく、殺虫剤を散布しているとか。
ttps://twitter.com/Aki_Okazawa/status/1243701588780146689

 こちらを見ると、パキスタンの群れはイエメンで発生したものです。アフリカは関係ありません。また、昨年辺りから問題になっていたのが今の時点でニュースになったのだそうです。また、アフリカのバッタは中国で害をなすものとは種類が異なるそうで、パキスタンの群れが中国に侵入するのは山の関係で無理とのことです。
ttps://55096962.at.webry.info/202002/article_20.html
ttps://55096962.at.webry.info/202003/article_7.html

 こちらはFAO(国連食糧農業機構)のイナゴに関するサイト。英語です。パキスタンにも言及されていますが、メインはアフリカです。中国に関する情報はありません。
http://www.fao.org/ag/locusts/en/info/info/index.html

DeepL翻訳: 3月という言葉を翻訳しなかったので、こちらで(3)と補いました。
「広域的な雨で状況がさらに悪化

(3)月下旬に降った広範囲にわたる雨は、今後数ヶ月間、東アフリカ、イエメン東部、イラン南部でイナゴの数を劇的に増加させる可能性がある。

(以下、アフリカと中東の話、中略)

3月下旬に降った広範囲にわたる大雨は、もう一世代の繁殖を可能にし、5月の間、パキスタンのバルチスタンにまで及ぶイナゴのさらなる増加を可能にするでしょう(以下、アラビア半島の話)。」

 更にFAOのアーカイブも見ましたが、パキスタンに居座っているのが中東に逆流していてアフリカとは関係ありませんし、昨年の6月ごろからパキスタンが被害に遭っています。
http://www.fao.org/ag/locusts/en/archives/archive/2521/index.html

 言うまでもなく蝗害は大災害ですが、今回の案件は直接こちらの農業に被害を及ぼすものではないですね。無論、今回のコロナ騒動と関連して食糧事情に大きく影響が出る可能性は大です。日本のマスコミは遠いアフリカ・中東の災害なので無関心だったと思われます。
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Re:食料 (mugi)
2020-04-05 22:05:21
>スポンジ頭さん、

 マスク不足よりも食料禁輸が現実味を帯びてくるのは恐ろしい。アフリカで大発生したイナゴが中国西部国境にまで達しているのに、日本のメディアは殆ど報じませんよね。

 日頃政府の方策を批判する朝日新聞も、一時的にせよ消費税をなくせとは言いませんよね。河北新報も一言も書かない。英国の小説『戦争の犬たち』には「新聞は体制の味方」という主人公の台詞がありましたが、反権力はポーズだけなのです。

 東日本大震災のときと同じく坂本龍一って、未だに米国に住んでいますよね?米国から反原発を訴えていたのは実に不愉快でしたが、私も坂本が大震災も今回の事態にも寄付をしたとは聞いていません。弱者を口にするリベラルほど、自腹は絶対に切らない人種なのが改めて分かりますよ。常に国が出せとしか言わない。
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食料 (スポンジ頭)
2020-04-05 11:49:57
 マスクを国同士で奪い合っているニュースが出てきていますが、食料禁輸の動きがぼちぼち出てきているので心配です。食がなければ人間詰みますから。

 消費税を取っ払って欲しいと思いますが、日頃政府の方策を批判する朝日新聞も反対しており、軽減税率は本当に旨味があるようです。それなら消費税がなくなればさぞかし国民の利益になるでしょう。

 音楽会の陳情に関してはともかく、坂本龍一がこの手の運動に参加しているのはよい気がしません。東日本大震災のときは電気を軽んじる発言をしていましたが、インフラ維持の業界はそれほど軽いものですかね。しかも、大震災も今回の事態にも寄付をしたと聞かないのですが、弱者のことを口にする割には一銭も出しませんね。
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鳳山さんへ (mugi)
2020-04-01 21:34:30
 私も世界恐慌を危惧しています。個別事業や一分野などの小手先の補償ではとても間に合わなない。消費税を一時的にゼロ、大規模な公共投資という意見に私も同感です。

 しかし首相にその気概があるとは思えません。昨年の消費税引き上げだけでも愚策だし、今回も財務省の消費税減額反対に折れている。こんな記事を載せた新聞こそ危機感が皆無としか思えません。
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Unknown (鳳山)
2020-03-31 23:49:49
新型コロナウイルスは下手すると世界恐慌並みの事態に陥りそうです。国民全体が困窮する可能性もあり、まずは個別事業や一分野ではなく消費税を一時的にゼロ、国民全員に一人当たり10万円支給、大規模な公共投資で景気の落ち込みを最小限に止めなければなりません。

安倍政権も国民も覚悟が足らないような気がします。特にこのクラシック音楽業界など、何を言ってやがると個人的には思いました。
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Re:融資制度 (mugi)
2020-03-31 22:34:55
>スポンジ頭さん、

 今朝のNHKのラジオニュースで、中小企業・個人事業主への援助について報じていました。コロナによる恐慌は既に始まっており、今後は失業者が激増すると思います。
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牛蒡剣さんへ (mugi)
2020-03-31 22:32:56
 音楽界の中でもクラシック演奏者はとにかくプライドが高いですよね。自分たちは高等芸術なのだという選民思想が鼻につくし、クラシックファンも偏屈な傾向があります。

 愛知トリエンナーレは「文化」を悪用した反日プロパガンダそのものでしたね。文化関係者は左翼人士ばかりが目につく。
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融資制度 (スポンジ頭)
2020-03-30 22:24:57
 一応このような中小企業・個人事業主への援助制度ができました。あまりニュースにはなっていませんが、演奏家は「個人事業主」に入るかも知れません。
https://www.meti.go.jp/covid-19/pdf/pamphlet.pdf
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Unknown (牛蒡剣)
2020-03-30 20:21:09
まあ稼ぎがなくてはどうにもならないので色々言いたくなるのはわかるのですが、自分らが特別で保護されるべき存在だ!と偉そうに乞食をするのなあ。
愛知トリエンナーレの件といい変な特権意識で金を
引きずり出す芸術界隈はイラっとしますよね。
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