間違いだらけの菜食主義 その五

その一、その二、その三、その四の続き
　蚕食主義者の国というイメージが流布しているインド。秀和氏も一般日本人が菜食主義の聖者と思い込んでいるガンディーに言及しているが、実際はヒンドゥーの中でも例外な人物だった。インドでかなり物騒なのは、菜食主義を掲げるヒンドゥー至上主義者だろう。ヒンドゥーらしく彼らは殊に牛に拘り、牛への保護を訴えるが、実際はムスリムへの嫌がらせ目的としか思えない。インドの極右的存在であり、インド版ナチスといっても過言ではない。

　特にガンディー暗殺者を出したRSS(民族義勇団)は有名で、普段は主な活動として、棒術の格闘技訓練を通じた青少年の心身鍛錬を各地方で行っている。この組織に限らず棒術の格闘技訓練は昔からインドで行われてきたし、ヒンドゥー以外の宗派も格闘技訓練をする。普段なら心身共に鍛える訓練となろうが、宗教暴動時には恐るべき暴力行為に繋がるのは言うまでもない。シャーカー活動とよばれるRSSの訓練の実態を紹介したサイトがあり、活動参加中の若者と接した日本人研究者は、「インドの同年代の若者よりも明らかに実直で心穏やかな人達」と語る。
　この類の“実直”な若者こそ狂信者になり易いのだ。ナチス高官にも菜食主義者が少なくなかったと言われ、肉食者の方が菜食主義者よりも温和だったという事実は何を意味するのか？

「愛国心の奪還」を唱える秀和氏が述べていた主張も、また興味深いものだったので一部紹介したい。
「我々にとって歴史は重い、、だから中韓へは謝罪しないと上手く付き合えないと思います」(2012-08-16)
「日本が反射的に韓国、中国を叩きたがるのは当然、その手を抑える工夫は必要です」(2012-08-17)
「日本も最後までババを持たされた感はあっても国際的に非難さるべき国泥棒の仲間入りは果たしている」(2012-09-01)
「百年前になかった物を除けばまた国防・政治に体当たりする怖い若者が増える…火を消すには油を注いではならず冷静に水を向ける事が肝要」(2012-09-01)

「自国史を誇れる様になるためアジアへ頭を下げるのは私の中で広い意味でのナショナリズムだ、そんな観点もある事はご理解頂きたい」(2012-09-28)
「“炎”の感情を埋め込めば中韓も殺気立って来るのは間違いないはず」(2012-09-30)
「中国は大国であり、あの場所にある以上日本より遥かに多くの国難に対処しなければならない。『傲慢・不遜』も統治上必須の態度である事はわかりますか。それゆえの過失が目立ったとて中国史上から揚げ足ばかり拾うのはフェアとは言えません」(2012-09-30)
「長所・短所・環境要因も考慮している私…誰も彼も馬鹿ばかり、怒らない怒らないの態度で良いと思う」(2012-09-30)

“反韓が赦せない”と言った人物に相応しい意見であり、“韓国は特に好きでもない”など見え透いた嘘である。ブログ『食と世界』管理人だが、奇妙なことに和食への言及がなかった。冗談宗教の空飛ぶスパゲッティ・モンスター教団信奉者の秀和氏なので、菜食主義もジョークで擬態かも。平和憲法を隣国に絶対宣教しない“憲法教徒”同様、日本在住の菜食主義者も隣国にはそれを決して言わないはず。

「人に対し上から言ってしまう」のはこの菜食主義者も全く同じであり、他人の食生活に干渉するのはキリスト教徒よりも始末が悪い。氏のキリスト教徒への口を極めた攻撃、キリスト教史上から揚げ足ばかり拾うのもフェアとは言えず、氏自身の口真似をすれば、「相手の醜い点は見えても己の姿は鏡に映らないらしい(苦笑)」。
　先日の河北新報のコラムに人の為と書いて偽の漢字になるという一文があり、大いに納得させられた。要するに社会のため人のためというのはお為ごかしということ。

　共産主義と同じく菜食主義も宗教の一種なのだ。布教に似非科学を用いるのは宗教者の十八番だが、菜食主義も根拠のないこじ付けとでっち上げを繰り返す。菜食主義をしていれば健康でいられると思いきや、必ずしもそうではない。少し前に見た「脳卒中の危険性、ベジタリアンも意外に高め」というサイトがあり、ノンベジの私にも意外だった。そして以前2人の元クリスチャンのブロガーが、実に意味深いことを述べている。
「宗教愛好家が宗教に嵌まるのは「アクセサリー」として他人に見せたいがため、それだけですよ」(2012-02-21)
「ともかく、キリスト教に限らず、宗教にハマっている人には変わり者が多いですね」(2012-06-03)

　後者は「キリスト教は愛の宗教ではなく、愛を「押し売りする」宗教だと思います」とも言っていた。菜食主義者全員ではないにせよ、菜食主義を「アクセサリー」として他人に見せたい者、それを押し売りする者がいるのは事実なのだ。

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