トーキング・マイノリティ

読書、歴史、映画の話を主に書き綴る電子随想

反米偏差値80点の女 その③

2016-08-17 21:40:04 | 世相(日本)

その①その②の続き
 イスラム政治思想が専門の池内氏による先のコラムは、安易な欧米擁護論では決してない。「イスラームとの私的な闘争」という他のコラムの副題は「新・西洋中心主義?」となっており、西洋近代の先進性を再確認し、普遍性と優越性を再確認する欧米知識人の動きを紹介している。
 但し、池内氏の指摘した日本人の漠然とした「欧米」なる存在への反感、根強い非差別感情は考えさせられる。事件はそれをまざまざと表出することになったのだ。尤もアラブを含め中東や南、東南、東アジア諸国も「欧米」なる存在への反感、根強い非差別感情に無縁であるはずがなく、日本よりも遥かに激しいのではないか。



 上の画像はシャルリー・エブド紙襲撃事件後のシャルリー紙最新号の表紙イラスト。シャルリー紙は福島原発事故を揶揄するイラストを掲載したこともあり、憤慨した日本人も多かったが、私はこのイラストでシャルリー紙を見なおした。多数の仲間が殺害されたにも関わらず、これを風刺する画を描く気概は日本人にはまず考えられない。不謹慎の一言でボツになっただろう。
「他者の気分を害するな」というのが日本では支配的な通念であり、これこそが日本社会の“公準”となっているのだ。この“公準”に従い、ムスリムの気分を害したシャルリー紙への制裁を事実上黙認した言説者には、イスラム通とされる知識人が多かったのは書くまでもない。

 私の反米偏差値は80点と、高得点を付けた mottonさんによる初コメントタイトルは「中華思想よりは欧米の国際法」であり、以下はその全文。

上で挙げられているのは一応の正義もある戦争なので有名なのですが、どちらかというとマイナーな、米墨戦争米西戦争(米比戦争)、ハワイ併合パナマ支配などは、元のエントリにもありますが(欧米基準でも)酷いですね。
 ただ、幾つかは公式に謝罪したり返還しているので他国よりはマシとも思います。良くも悪くも『正義』が国是なので、悪事を正当化し過ぎると滅亡しますから。

 謙虚さを美徳とする古の某国というのは古の支那王朝でしょうか。あの地域の王朝は、古来から力があれば普通に覇道の帝国主義で、力が無ければ王道を名目に自らを慰めているだけです。これが中華思想の正体です。
 19世紀~20世紀前半を帝国主義と呼びますが、何のことはなく人類の歴史はずっと帝国主義です(今も昔も力こそ正義)。国際法でもって多少なりとも法治主義を導入しようとしている19世紀以降の欧米は白人優越主義があったとはいえ、よほどマシなのではないでしょうか。

 少なくとも、国境がただの力の境界であった19世紀以前に比べて国境線が固定され変更がほとんど許されなくなったことや、名目上ではあっても主権国家の平等の概念があるのは良いことだと思います

 私の場合、幾度か書いているように元から耶蘇嫌いがある。クリスチャンと個人的な付き合いはないものの、ネットなどで信者の本性を知るほど厭わしくなる。特に抑制の無いネットでは、周囲の非クリスチャン日本人や日本社会に対し、殆ど「憎しみ」に近い感情がかなり表出されており、震災を天罰と嘲った信者にどうして好感が持てようか。
 只でさえ漠然とした「欧米」なる存在への反感や根強い非差別感情に加え、クリスチャンへの嫌悪感が、反米偏差値を高めているのだ。

 反米感情が強いのはイスラム諸国も同じだが、これらの国々が最も頼りにしているのは何と言っても米国である。知識人以下一般国民も口では反米感情を露わにし、米国の干渉や軍事介入に憤慨する。その一方、米国が政治介入してこなくても怒るのだ。干渉や介入を怒りつつ、無視されるのを恐れる。何と極東の何処ぞの国と似ていることだろう。

◆関連記事:「安易で無責任な・・・
 「拝啓・東大名誉教授 殿

よろしかったら、クリックお願いします
人気ブログランキングへ   にほんブログ村 歴史ブログへ


最新の画像もっと見る

4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
反米というより…… (のらくろ)
2016-08-17 23:12:11
砂漠型3大一神教(アブラハム起因3大一神教)に対する強烈な不信感といったところがより正確なのではないでしょうか(アブラハム起因とは、のらくろの勝手な解釈ですが、某朝ナマで某イスラム教徒が言っていた、「ユダヤ・キリスト教はサラから出たイサク(アイザック)の系統、対してイスラム教はハガルから出たイシュマエルの系統」と説明(になっているかどうかは知らないが)していたことに由来します)。

例のmottonさんのコメントは、今やはるか昔になった某コメントストーカーに対する窘めの一環として発せられたものですから。それを切っ掛けに3部作を作られたブログ主様の手腕は大したものですが。

>私の場合、幾度か書いているように元から耶蘇嫌いがある。クリスチャンと個人的な付き合いはないものの、ネットなどで信者の本性を知るほど厭わしくなる。特に抑制の無いネットでは、周囲の非クリスチャン日本人や日本社会に対し、殆ど「憎しみ」に近い感情がかなり表出されており、震災を天罰と嘲った信者にどうして好感が持てようか。

>知識人以下一般国民も口では反米感情を露わにし、米国の干渉や軍事介入に憤慨する。その一方、米国が政治介入してこなくても怒るのだ。干渉や介入を怒りつつ、無視されるのを恐れる。何と極東の何処ぞの国と似ていることだろう。

この2文で、3大一神教は一刀両断されています。さりとて無神教=究極の自己中心主義にどっぷり浸かっている西の大陸や半島はより嫌悪する、ということで、消去法で残ったのは古事記の神々を含む多神教、というところかと。

ただ、多神教であっても、例えばヒンズー教あたりからは女(女性と書かない理由は以前に説明した)の人権を「甚だしく」無視している部分が当然にブログ主の不興をかっているので、結局残るのは古事記の神々だけ、ということにならないでしょうか。

私のスタイルはこちらの読者ならご存知のとおり、ユダヤ・キリスト教を旧約・新約聖書(それぞれの教典のはず)を用いて揶揄することにありますが、だからといってムスリムにいい顔なんぞできまません。すでにみなさんご存知と思いますが、貼っておきます↓
ttp://blog.livedoor.jp/dqnplus/archives/1893104.html

無論、「以下2ちゃんねるの反応」に私も同意するところ。

それにしても「このような事態となり、遺憾に思っています。原因を早急に調べたい」なんてコメント出すなよ、イミグレ!
返信する
Re:反米というより…… (mugi)
2016-08-18 22:10:11
>のらくろ さん、

>>砂漠型3大一神教(アブラハム起因3大一神教)に対する強烈な不信感といったところがより正確なのではないでしょうか

 まさにその通り!キリスト教やイスラム教に興味がなく、啓典を見たことのない日本人でも、一神教に対する強烈な不信感があるはず。敗戦後でも日本がキリスト教化せず、未だに信者が1%そこそこというのはある意味スゴイ。なぜ日本人はキリスト教をここまで受け入れなかったのか、ネットでも様々取り上げられています。しかし、決定的な論証を見たことはありません。

 それにしても、朝ナマでの某イスラム教徒が、「イスラム教はハガルから出たイシュマエルの系統」と説明していたのは面白いですね。ユダヤ・キリスト教でハガルは女奴隷扱いでも、イスラム教では正妻に格上げしています。だから前者はアラブは奴隷女の子孫と見下し、ハガルを正妻扱いしたコーランを勝手な改ざんと怒るはずです。

 8月15日に合わせ、今回の連作記事を書きましたが、そのきっかけは記事でも取り上げた池内恵氏の著書でした。移民に関する彼の意見は同意できませんが、欧米がテロをやられて当然といった意見は「イスラム通」知識人(その多くはサヨク)の責任が大。
 極東の何処ぞの国というのは、某島国もその傾向があります。ただ、アラブ諸国の反応は激しいことが池内氏の著書にも記載されていました。反欧米を露わにしながら、欧米に移住したがる若者が多いそうで、これぞ極東の何処ぞの国そっくり。

 さて、入国管理局の出来事ですが、さっそく「東京にある外国人の人権を守る支援団体」が湧いてきましたね。この手の団体は特亜シンパのダミーであるのが殆ど。↓のコメントが全てを語っている。
73: 名無しさん@1周年 2016/08/17(水) 17:03:05.88 ID:d601Uvnx0
不法入国者を支援する団体って

 ご存知でしょうけど、今年初めデンマークで学校給食に豚肉使用を義務付ける議案が可決されました。スウェーデンの動きも面白い。
http://blog.esuteru.com/archives/8485667.html
返信する
関連記事をたどっていたら…… (のらくろ)
2016-08-20 00:13:55
mugiさん、レスありがとうございます。

表題のとおりやっていたら、こちらにたどり着きました。もう9年も前になるんですね↓
http://blog.goo.ne.jp/mugi411/e/b1c5e10c92f37f289e88baa0f64f2b1c#comment-list

当時、投稿に対してmugiさんは昨今のように「Re:」返しではなく、みずからタイトルをつけなおしておられるのですが、ここでのMarsさんとのやりとりには今さらながらハマってしまいました。

Marsさんはこれの8曲目(当時はLP!併売だったからB面4曲目とも言えた)には間違いないでしょう↓
http://www.okamuratakako.com/_disco/album19870705.html
が、mugiさんもこちらの2曲目を意識しておられたのでは↓
http://www.okamuratakako.com/_disco/album19930728.html

Marsさんの取り上げた曲はこのシンガーソングライター!の一番の代表曲ですが、mugiさんピックアップのアルバムの1曲目は、平成ひとけたの彼女の代表曲と言えそうです。

ちなみに、この方、私とほぼ同郷といえる愛知県岡崎市出身で、1浪して名古屋の女子大へ入学、そこで出会った同級生と結成したデュオがこちら↓
http://www.aming07.com/disco/

そういえば、引用エントリーのすぐ後に期間限定でデュオリバイバルしたようですね。再びソロに戻ってからもかれこれ10年ですか。時の流れは早いものです。
返信する
Re:関連記事をたどっていたら…… (mugi)
2016-08-20 21:38:07
>のらくろ さん、再びコメントを有難うございました。

 リンク先ですが、9年前に書いたものだったのですね。すっかり忘れていましたが、貴方のコメントで思い出しました(笑)。当時は私がタイトルを付けていました。しかし他のブロガーさんのレスは「Re:」でなければ、○○さんへ等とコメンターの名をタイトルにしていることが多かったので、私も倣った次第です。

 岡村孝子というシンガーソングライターは名前は聞いたことがありますが、代表曲は思い出せなかった。ググったら、あの「待つわ」の作詞作曲者だったのですね。「あみん」と言えばすぐ分りますが、岡村孝子となると誰だっけ?状態でした。彼女が愛知県岡崎市出身というのも、今回初めて知りました。

 Marsさんは意識していたかもしれませんが、私は岡崎のアルバム名や「夢見る頃を過ぎても」という曲のことも知りませんでした。だから、「夢見る頃を過ぎても」をコメントタイトルにしたのは単なる偶然です。
 先日、「夢を持つのは素晴らしいが、そこには深刻な問題も発生する」というブログ記事を見ましたが、Blackasia管理人らしくシビアです。
http://www.bllackz.net/blackasia/content/20160818T0018120900.html
返信する