BS世界のドキュメンタリー選の「UFO 隠された証拠」(原題UFOs:THE LOST EVIDENCE)を先日見た。良質なドキュメンタリー作品も多い番組だが、登場したUFO研究者たちの主張は殆ど荒唐無稽でも面白かった。以下は番組サイトの解説。
―UFOと人類の遭遇は、太古の昔からあった!?古代遺跡から中世ルネッサンス芸術、そして、近代のビデオ映像などをもとに、宇宙人をめぐる謎を追う。
番組では、UFO研究を行った専門家など多彩な論客が様々な仮説を展開する。エジプトの考古学者は、ツタンカーメンのお墓で見つかった短剣を最新技術で鑑定、地球上の金属ではなく宇宙からの素材と判明する。中世イタリアの画家は宗教画に円盤状の飛行物体を見上げる民衆を描いた。1997年にはアメリカ・アリゾナ州で巨大なV字型の飛行物体が目撃された。UFOは本当に実在するのか。そのミステリーに迫る。
番組では先ずツタンカーメン王の埋葬品の短剣を取り上げている。件の短剣は隕石で作られたと考えられており、3千年以上前に作られているにも関らず、殆ど錆びていないのだ。ルパン三世の石川五ェ門の武器は隕石で作られた何でも切れる斬鉄剣だったが、必ずしもマンガ特有の荒唐無稽ではなかったのか。
ツタンカーメンの両親についても触れ、父アメンホテプ4世、母ネフェルティティともに後頭部が異様に長い形をしているのは奇妙だとUFO研究者はいう。アメンホテプ4世はアテン神だけを信仰、宗教改革を断行したが、この神は実は地球外のものではないか……と言わんばかりなのだ。古代文明異星人伝授説はUFO研究者がよく唱えるテーマでもあるが。
幼児の頭部を木の板で挟み、頭骨を変形させる奇習は南米でも見られたが、1928年、ペルーのパラカスで発見された頭蓋骨は極めて後頭部が長く大きかった。DNA検査の結果は実に複雑で、番組では異星人とのハイブリットとの印象を受ける紹介になっていた。
人気サイト『カラパイア』には、「ペルーで発見された長く変形した頭蓋骨は「人工頭蓋変形」ではなく先天的な遺伝子異常によるもの。最新のDNA検査結果が発表される。」(2018年02月13日)という記事がある。記事によれば、パラカスの頭蓋骨の起源はペルーでも地球外でもないことが判明したとある。つまり宇宙人とは無関係ということだが、かつて長頭頭蓋骨は美しく高貴な人物と思われていたのか。
UFOとしか見えないものが描かれている宗教画が幾つもあり、『カラパイア』の記事「中世宗教画にUFOが描かれている理由とは?その謎に迫る。」(2016年02月22日)に載っている宗教画は番組でも紹介されていた。特にアールト・デ・ヘルデル作『イエスの洗礼』は印象的。
しかしネット検索したら、「アールト・デ・ヘルデル作「キリストの洗礼」に隠されたUFOの正体とは」というブログ記事がヒットした。空飛ぶ円盤そっくりな部分の中心には鳩が描かれいて、こうなると単にUFOが描かれている宗教画とは言えなくなり、何とも興ざめした。
1997年にアリゾナ州で目撃された巨大なV字型の飛行物体は「フェニックスの光」とも呼ばれ、大勢の人が目撃しており、映像もある。結局正体は不明のようで、この辺りには謎の飛行物体がよく出現するという。主にアリゾナ州に住むホピ族には「空の人」という伝承があり、これがUFO存在説を刺激している。
番組では取り上げられなかったが、日本にも江戸時代に虚舟(うつろぶね)を描いた画があり、UFO研究者には興味深い民俗伝承だろう。私は未だにUFOは見たことがないし、その存在にも懐疑的だが、このような番組があるとつい見てしまう。やはりUFOには何処かロマンを感じていて、内心はその存在を願っているのかもしれない。
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「世界教師の出現?」
あの事件実際どういうことだったんでしょうか?
さっぱりです。UFOの大半は飛行機 天体
衛星 雲 ライトなんでしょうがわけのわからない
ものもありますしね。米軍が公開した戦闘機が
UFOを追尾する動画が最近話題になりました。ただUFOはあくまでよくわからない飛行物体であり、すぐに宇宙人の乗り物とイコールしちゃうのはなあといつもこの手の議論で思うことです。
私がUFOの存在に懐疑的なのは、目撃の大半は天体や衛星、雲、ライトなどの錯覚だからです。それでも一部はよくわからない飛行物体だし、あれほど高度な飛行物体は地球で作れない=宇宙人の乗り物という見方になるのでしょうね。