
三国志はいちど現代語訳を読んだが、それほどには感情移入できないままだった。
だから本書も、さして期待せずに手にした。¥100なら失敗でもいいだろうと。
湯船に浸かる僅かな時間に読んだ。不熱心な、細切れの読書となったが、それでも一定の集中力を保たせてくれた。気づくと感情移入しつつあった。さすが司馬遼太郎だなと、改めて感心させられた。
人物を描く手法が、その距離感がとてもよい。書き手の筆が、べたべたしていない。一方、綿密に調べた上で、物語に下味として加え、香味としてまぶし、正当な食器に綺麗に盛り付けてくれる。
適度、的確、丁寧、しかし、えもいわれぬ風味が香る。多くのドラマやマンガなどに影響を与え、司馬史観などという言葉さえ生まれる所以だろうかと思う。
つまらないかもしれないと注意して、上巻だけ買っていたが、すぐに中・下巻もBOOK・OFFで入手した。
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