これも、山崎ナオコーラ『美しい距離』と同じ日に、出張先の散策中、買った。
天然痘の予防に生涯を賭けた江戸時代の町医の物語。
新型コロナが収束したいま、あらためて過去のパンデミックとの闘いを紐解き、現代にも生起したあの日々を客観視するよすがにしたいと思った。
その意味で、2年前に再読したカミュ『ペスト』も、また読んでみたい気がしている。
と、ある視座をもって読み進めた本書だったが、似たような境遇の町医を描いた司馬遼太郎『花神』と無意識に比較してしまい、やや味わいに物足りなさを覚えた。
描きかたが、さらっとし過ぎていて、命をかけて種痘をひろげようという笠原良策の人物が見えず、その執念がリアルに迫ってこないのだった。
ドラマの原作とするには良いだろうけれど。
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