続いて第二編。帯には〈理想の騎士を夢みるドン・キホーテとすべて現実的なサンチョは大まじめにとんちんかんな会話を交わしながら冒険の旅をつづける。〉とあって、期待して頁をくった。
しかし“現実的”と称されるサンチョが、意外とドン・キホーテの妄想を間に受けて、“現実的”ではなくなっていき、脇役の視点がないと話そのものが大脱線しかねない。サンチョの阿呆さも面白さの要因なのだろうが、間に受けているので、とんちんかんな会話も、いまひとつ光らない。
それでも荒唐無稽な旅は、魅力的な脇役たちの登場により佳境へと向かいつつあり、興味深く読み進めた。
ちょっと閉口するのは古典作品には定番ともいえる長口舌な詩篇である。思えば日本の古典も和歌や俳句に並行して語られるものが多い。娯楽の乏しい時代には、書物は多くの要素を備えていることが求められたのかもしれない。
ドン・キホーテが、第三者からは精神的に壊れてる人としか見られずに描かれているのは、やや悲しい気がするが、果たして冒険の終着点は……。
いよいよ三編を手にする。
