箱根仙石原の
オーベルジュ漣を再訪した。昨年の暮れ以来の気がする。露天風呂付きの部屋に宿泊、なかなか快適である。ただし粉雪がちらつくような寒い天候で、露天風呂のあるデッキは少し寒い。なかは落ち着いたしつらえで、静かだが、穏やかな雰囲気で、お気に入りの宿のひとつである。この宿は仙石原を右手に見ながら、県道75号を抜けた先の、ちょうどガラスの森美術館の裏手にある。
大浴場の内湯は、大涌谷から引かれた硫黄泉の濁り湯で、かけ流しである。この濁り湯につかると、体の芯からホカホカとあったまる気がする。大浴場の外側にある露天風呂と、部屋付きの露天風呂は、裏手の温泉病院を源泉としてひかれており、こちらは加水された循環式のようだ。少し前の大涌谷の噴火以来、箱根の温泉宿のいくつかは営業を閉じてしまったが、こうして何も変わらず、このオーベルジュがあると少しほっとする。
夕食のフレンチは、メインディッシュに「蝦夷鹿と富士の国ポーク、フォアグラのパイ包み焼き」を選んだ。蝦夷鹿を洗いミンチにした富士の国ポークとフォアグラで包み、さらにそれをパイ包みにして焼きあげた一品である。これにソムリエに選んでもらったシラーの赤ワインを飲んだ。このほかにラングドックとブルゴーニュの白ワインと常陸野ネストのホワイトエールを飲み、超ご機嫌である。
前菜には、池澤シェフのスペシャリテ「あしたか牛のコンソメジュレをのせた海の幸の贅沢なカクテル」を頼んだ。駿河湾で採れたアワビ、オマール海老、タコ、ホタテなどが入り、温泉卵とキャビアが添えてある。これをよく混ぜて食べるのである。たいへんに美味しい。漣に来ると必ず頼んでしまう一品である。魚料理は、甘鯛のポワレ、松笠焼のようにパリパリになった鱗が美味しい。ソースにはイカ墨が使われていてコクがある。
朝ごはんは、スープと温野菜、自家製のハムとソーセージ、デミグラスソースのオムレツにした。地元で採れた野菜が美味しい。こうして、一晩で、温泉に3回入り、ご機嫌なフレンチを食べ、ワインを飲み、素敵な朝食をとり。、今年は最後に贅沢をしたと思いながら年の瀬の一日を過ごしたのである。今年はいろいろあったが、終わりよければすべてよしだと思う。