5月のある日、小諸の高峰温泉へ出かけた。高峰高原にあるこの温泉は、2000mの標高にあり、ランプの宿として知られる。信濃追分から浅間サンラインを通り、高津やトンネルの入り口の手前で、チェリーパークラインに入り、車坂峠を越えたところにある。
チェリーパークラインの入り口近くに、桜並木観光道路完成記念碑はあり、その傍らにひっそりと珍しい桜の木が立っている。萌黄色というか、淡緑色の珍しい花をつける桜である。御衣黄(ぎょいこう)という品種である。温泉へ向かう途中、車を止めて見に行った。
ものの本によると、緑色は葉緑素によるもので、咲き始めがもっとも色が強く、花が開くにつれ、薄紅色になるらしい。写真のように、まだ満開ではなく、七分咲きぐらいではあるが、それがかえって、萌黄色の花の美しさと珍しさを際立たせている。
御衣黄とは、貴族の萌黄色の衣服に由来するという。昔は黄桜とも呼ばれていたという説もあるらしい。ただし、黄桜が御衣黄を指すのか、別の樹木の花を指すのかは諸説あって判然としないらしい。タイムマシンで江戸時代に行き、取材をしてみれば、本当のところがわかるかもしれない。
山の上の高峰温泉は、車坂峠を越えたところに位置し、篭ノ登山(かごのと)の登山道の入り口にある温泉宿である。標高2000mにあるランプの宿として知られる。日帰り入浴は10:00から16:00までだった。以前、来た時の記憶では、もう少し透明な湯だったように覚えていたが、白濁したにごり湯だった。硫黄の香りがほのかにする温泉である。
この日は湯ノ丸高峰林道が開く日でもあったので、林道を抜け、湯ノ丸から東御へ抜け、帰ったのである。帰ってからも、体がポカポカして、ひと眠りした。そして目覚めると肩こりが治ったような気がしたのである。