国立演芸場の定席公演を聞きに行った。新宿の末廣亭には、何度か行ったことがあるが、国立は初めてである。今回は連れがいたので、座席が指定できる国立がいいかと思い出かけた。
八月の中席は、国立演芸場開場40周年記念の興行で、仲入り前が談春、トリが楽太郎の円楽という取り合わせである。芸術協会(芸協)の定席で、円楽一門と立川流の噺家が一席、しゃべるということは、一昔前には、想像もつかなかったように思う。
出演した竜楽が、寄席に出る日が来るとは思わなかった、芸協も太っ腹と話していたが、その通りと思う。そのほかには、鯉昇、ナイツ、食い付きには枝太郎、ひざ代わりには、うめ吉で、たいへん面白いラインナップである。当日の演目は以下の通り
鯉昇の「鰻屋」は、やはりよく、竜楽の「そば清」はあっさりとしている。ナイツはやはり、寄席の舞台で見るのが面白く、テレビでは本当の良さが伝わらないと思う。いや、テレビでも十分面白いのだが。
仲入り前の談春の落語はきっちりとした噺だと思う。やはり、この人は噺がうまいと思う。好みかと聞かれると、少し迷うのだけれども、やはりよい。一度、米朝から許されたという除夜の雪を聞いてみたいものだが、そうそう機会はあるまいと思う。
食い付きの枝太郎には勢いがある。うめ吉の俗曲は、なんとなくほんわかとして、江戸の昔に引き戻されるようである。円楽の「藪入り」もよかったが、中盤少しダレたように思う。とはいえ、よく大病から復帰したものだ。
国立の定席は、他の寄席と比べると、演者の持ち時間が長く、じっくりと芸を見せ、聞かせるように思われる。とにかく、満足をして、良い演目を見たと思って家路についたのである。