昨日と今日で、2本映画を観た。
これまでも記録に残せていない作品が多数あるけど、
今回の2本は本当にとてもおもしろかった。
観たのは、
「サイドエフェクト」と「隠された記憶」。
どちらも心理的という意味では同じだけど、
大きく異なるのは、極度に簡単に言ってしまえば、
「解釈をさせる場所」なのだろう。
「サイドエフェクト」は、最後に種明かしをしてくれるので、
観た人皆が、同じ解釈をもつ。
つまり、映画内での解釈。
一方、「隠された記憶」は、真実の解釈が
映画外に委ねられる。
私は、この“委ねられる映画”にとことん弱いようだ。
弱い、というのは、
身震いするほど、鳥肌がたつほど、
魅力的に感じ、生活に影響まで出てしまうということ。
「隠された記憶 」2005年/仏・墺・独・伊
原題: Caché/ 英語タイトル: Hidden
監督・脚本:ミヒャエル・ハネケ
出演:ダニエル・オートゥイユ、ジュリエット・ビノシュ、モーリス・ベニシュー他
ミヒャエル・ハネケは、インタビューでこう言っていた。
【この映画は、個人が「罪」とどう向き合うかについての映画】
私はこの言葉に、
一種の脅迫のような、精神的な恐怖を覚えた。
例えば、数人が同じテーマを与えられ、
それについての感想を聞かれたとき、
一人ひとりがこれまで生きてきた中での
環境や考え方・価値観が違う分、感想(答え)は微妙に異なる。
当たり前のこと。
この部分が、全面的に、恐ろしいと感じるほど
問われてる(表現されている)作品。
与えられたテーマは「罪」。
【先進国に生まれた我々は
誰でもある種の罪悪感を心の中に抱えている。
それをどう消化するかは、人それぞれ。
呑んで寝て忘れる人も入れば
自殺してしまう人もいる。】
何が罪で、どこまでが罪で、
それをどう受け止めて、消化して生きているか。
「人間のやましさ」。
この部分が問われて、試されている。
だから、デイヴィット・リンチとは異なり、
解釈についてのヒントもくれない。
映画のPRコピーでは、
「衝撃のラストカット、その真実の瞬間を見逃してはいけない」
と謳っている。
でも、その“真実の瞬間”を観たからと言って、
答えが出るわけではない。
むしろ無数にある解釈を
さらに混乱させられた。
そして、それがミヒャエル・ハネケの狙いのような気がする。
「ネタバレ」みたいなサイトも多数あるけど、
ネタバレという解釈自体、違うのではないか。
いま私は数パターンの答えを想像している。
きっと、この映画に答えなんて最初からないのに。
「罪」についての私の向き合い方が、その想像に表れている。
この映画は、
今の私には非常に難しいテーマだけど、
考えるきっかけを、苦しくなるほど与えてくれた。
同時に、今まで考えたことがなかったこと、
そして私の中にある無意識の罪を
追及されているような気がする。
すごい。
もう、ほんとすごい。
「サイドエフェクト」も相当おもしろかったのに、
後に観た「隠された記憶」がすごすぎて、
今はこちらしか残せない。
映画の一言「自分という人間が、問われる。」
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