703 ~NAOMI’s Room~

「駆込み女と駆出し男」/2015年 日本

今更ながら、公開初日に観に行った
この映画のことを。

「駆込み女と駆出し男」/2015年 日本



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監督・脚本:原田眞人
原案:井上ひさし
音楽:富貴晴美
出演:大泉洋、戸田恵梨香、満島ひかり、樹木希林、内山理名、陽月華、堤真一、山崎努...
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井上ひさしの時代小説「東慶寺花だより」を原案とする人情時代劇。

5月16日の公開初日に、観に行った。
映画館は梅田ブルクだったかな。
書くのが遅すぎて忘れてしまった。



原田眞人監督の作品を観るのは、実は初めてだった。

舞台は、江戸時代後期。

離婚を望む女たちが駆込む
鎌倉の縁切寺「東慶寺」での出来事がメインとなる。




今回、満島さんが演じたのは、
堤真一演じる唐物問屋・堀切屋三郎衛門の愛人「お吟」。




この役のために、江戸時代の既婚女性の風習である
“お歯黒”と“引き眉”を披露している。




映画のパンフレットでも、
時代文学か何かの専門家の女性が

「最近の時代劇では、女性が“お歯黒”をしていなくて
違和感を覚えることが多いが、今回、よくやりましたね。」

という内容で賞賛しているように、
満島さんだからこそ、この演出は実現したのだろう。



タイトルにもある【駆け込み女】は、
主に「おじょご」「お吟」と、内山理名演じる「戸賀崎ゆう」の3人。

それぞれが夫との離婚を願って
寺へ駆け込み、寺で修行を続けて2年が経過したら
離婚ができるという制度。


抱えている事情は、どれも深刻なものだったけれど、
特に「お吟」の事情は複雑。

最後のシーンで、お吟が寺へ駆け込んだ本当の理由を知って
涙が出た。

生き様までが「粋」そのもの。



舞台「ハムレット」では、
ハムレットに「尼寺へ行け!」と言われる
オフィーリアを演じた満島さん。

実際に、寺へ入ってしまった。




原田監督は、当初役者を選ぶ際、
満島さんに、鉄練りの女「おじょご」を配役していたという。

しかし、脚本を読んだ満島さんは、
「お吟」に興味があるのですが・・・との返答。


江戸の女の“小粋”という表現にとても惹かれ、
調べているうちに、どんどん「お吟」役に興味を持ったのだという。


満島さん自身は、「おじょご」を
鉄練工という職業柄、自分よりもっと、
身体のしっかりした人をイメージしていたという。


難しい役どころであり、
年相応の貫禄や人生経験を有する「お吟」には、
もう少し歳が上の女優を考えていた原田監督だったが、

「満島が化けたら、おもしろくなりそうだ」
と、挑戦することに。

そして、おじょご役には、
以前から才能を認めていた戸田恵梨香を配役。






満島さんはこれまでも、
「一命」や「開拓者たち」で時代劇・歴史モノを演じているが、


今回満島さんを改めて尊敬し、
本当に魅力的な女優だなと感じたのは、

「所作」の美しさと艶っぽさだった。

役を愉しみながら、ところん追求する根性を
見せつけられた。


今回、“江戸の女”を演じるに当たって
様々な映像や文献(毎度のごとく)、そして専門の先生に習いながら
所作や着物の着こなし、独特の話し方などを
徹底的にカラダと心に叩き込んで役に挑んでいる。

それに、お茶の先生と語らったり、
東慶寺の住職達に坐禅の会や勉強会を
開いてもらったりもしたそうだ。


スクリーンの中にいる満島さんは、
今までに観たことがない満島さんだった。


満島さんの周りだけ、江戸の日常感が
醸し出されていたように思う。




色々な障壁がありそうな演出を、
さぞ当然かのように、しなやかに、やり遂げるところは
本当に、独自のスタイルが確立してるなと思う。




満島さんは、いつかの雑誌で
こんな内容のことを言っていた。

「身体を変えれば心が伴い技が生まれる」

これを毎回体現しながら、
新しい【役者】像をつくり上げる満島さん。



一昨年の熊切和嘉監督作『夏の終り』では、
満島さんと縁が深い日本放送映画藝術大賞の
優秀主演女優賞のみの受賞だったけれど、

今回のお吟役は、
確実に多くの賞をとると確信している。

それも、玄人傾向が強い賞を。



映画の一言。
「アクの強い役者」




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