前回のブログで紹介した「つだみつぐ」様の「ひとつだけやりのこしたこと」を速読した。同時につだ様が米軍基地誘致や原発反対闘争を通して挫折されたことも知った。
正確な用語表記としてはPA=Parental Alienation(片親疎外)と表記するべきであろう。
児童虐待やDVが、原因となる精神疾患が他に存在するケースにおいても、病理の発現という評価を受けることに鑑みれば、PA自体が精神疾患の基準に該当しないからといってPAという現象を否定することは失当である。諸外国において、離婚後もなぜ共同監護が運用され、双方の親と子の交流が注意深く保護されているのか考えるべきである[14]。
日本の現状
現在、日本の離婚件数は年間約25万件にものぼり、うち約16万組に未成年の子がいる。しかし日本は、先進国の中では唯一離婚後共同親権・離婚後共同監護を認めておらず、離婚に際してどちらか一方の親が親権者となる単独親権制度を採用しているため、子の争奪をめぐって夫婦間で熾烈な争いが演じられるケースが多い。
一方の親による離婚前の連れ去りや、虚偽のDV申し立てなど、手段を選ばない方法が横行しており、このために夫婦間の感情的葛藤がさらに高まることで、PAという形で、何ら罪のない子供が被害を受けるケースが多くなっている現状があり、他の先進国並みに離婚後共同親権の確立を求める声も強い。母性優先の原理に則った裁判所の判断によって父親が子と会えなくなるケースが多いが、連れ去りなどによる場合は現状追認が優先され、母親側が子と会えなくなる場合も少からずある。面接交渉権が認められても、実際にはPAによって監護者側の意図が反映され、子に会えない親、片親に会えない子が数多く存在する。裁判所での子供の意思の確認は15歳未満ではほとんど行われず、15歳以上で行われる場合も、監護側の親の意思により形成された(かもしれない)表面的なものを判断材料とし、多くは現状維持を追認するケースが大半である。親権について親同士の争いがある場合は、家庭裁判所調査官による調査が行われるのが通例であるが、形式的なものが多く、虐待があってもそれが認められることは少ない。したがって、上述のように母性優先の原則に則り、母親側に親権が与えられることが多い。(那田注:ここでいう虐待とは親権を持たない片親に合わせない雰囲気を作ることを指す)
片親引き離しの影響
片親引き離しは、子供に次のような影響を与える。
- 片親だけで育てられた子供は、精神的な問題を起こしやすい
- 片親だけで育てられた子供は、学業成績不良、睡眠障害、抑うつ症状、自殺企図、違法行為、風紀の乱れ、薬物依存などの問題を起こしやすい。バージニア大学のヘザリントン教授は、離婚が子供に及ぼす影響について研究したが、「片親だけで育てられた子供は、精神的トラブルが2倍になる」と述べた。
- 子供の発達・発育に不利になる
- ケンブリッジ大学のMichael Lamb 教授は、「片親と子供の分離が子供に不利にならないようにするためには、時間をうまく配分したとしても、片親と過ごす時間が子供の時間の30~35%以上あることが必要である。」と述べた。
- 父親の役割を果たせなくなる
- 父親の役割と、母親の役割は、共通の部分もあるが、異なる部分もある。父親は、子供が成長して迎え入れられる社会について、子供に教え準備をさせる。父親は、子供の独立を促す。また規律、ルール、労働、責任、協力、競争などについて、子供に教える 。母親だけで子供を育てると、特に男の子の教育において、これらの点について訓練や準備が充分には行われず、こうした点が不得意な大人になる。
- 同居親との関係もうまく行かなくなる
- 別居や離婚が、子供の思春期以後に起きた場合には、子供から片親が引き離されると、子供は同居親からも精神的に離れて行くことが多い。同居親とあまり話さなくなったり、自室に引きこもったりすることが多くなる。同居親に新しい相手が出来て、性的活動が行われるようになると、この傾向は一層顕著になる。
- 非同居親を子供から引き離したということは、子供の利益を第一に考えていない顕著な証明である。子供から見れば、最も大切な関係のうちの一つを切られたのである。それにより子供の健全な発育は困難にされたのである。子供は、離婚交渉や仕返しの道具にされたのである。そうした理由により、同居親に対して、全幅の信頼を寄せることは無くなる。
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- こういう研究や法律に関して、いつも日本は「先進国の中で例外的に遅れている」と指摘されるのはなぜだろう。
- 例えば携帯電話は15歳以下は禁止、パチンコは発祥の地韓国では不法行為、タバコより大麻のほうがはるかに健康にいい(依存性も無く、癌の治療になる)、アメリカ、ドイツ、イギリスで、宗教団体が政治活動を行えば、宗教団体としての免税特権を剥奪されてしまう、などなど。
- この「片親引き離し症候群」についても、私が関わった医師、弁護士などは、全く知らないか知っていても知識不足だった。とくにフェミ系の弁護士は「子供が別人になったという人がいるが、そんなことはありえない」という人が多い。この研究を原文で読んで勉強しなおして欲しいと思う。
- また日本の場合、精神科や心療内科の医師は薬剤師の役目しか果たしていない場合が多く、フロイトやユングなどの研究を軽視しているが、とっくにユングは「グレートマザー」(大地母神)という元型の存在を指摘し、「母親には子供を慈しむ側面と、飲み込んで殺してしまう怖い面と両方がある」と記している。
- なお、価値観の違いや本当の肉体的暴力があった場合は、一時的に実家や親戚の家に隠れるのは当たり前のことである。私が強調しているのは既に「別れさせ屋」「洗脳館」と蔑称されているDVシェルターにだけは入ってはいけない、と警告しているに過ぎない。DVシェルターが弁護士ぐるみの離婚産業として経済マフィア化していることは既に常識になっているので、その餌食にならないよう気をつけましょう、というのがDV法批判シリーズの趣意である。
- では遅くなったので失礼します。