金属中毒

心体お金の健康を中心に。
あなたはあなたの専門家、私は私の専門家。

金色のエディ

2007-01-13 19:18:03 | 鋼の錬金術師
金色、金色。空に舞え

3センチほどの金色の流線型。
それが水面で跳ね上がる。
わずか5センチほどのジャンプ。でもちいさなそれにとっては大変な距離。
「空が見えたか」
兄の声だ。弟はドアを開こうとする手をそのまま止めた。
兄が何か言っている。
声を聞くのは5日ぶり。映画を見に行った後少しごたがあって、巻き込まれた・・・好き好んでトラブルに飛び込んでいった兄は帰ってきたときのどを痛めていた。
それいらい軍を休んで研究室にこもっている。
後になって思ったことだが兄には基本的に引きこもる癖がある。ゼノタイムでもセントラルに出てからも暇があると研究室や温室に閉じこもった。後に5年も引きこもりになった、原因の1端は兄にもともと引きこもる癖があったことだろう。

ドアの前で待ってみるがもう声は聞こえない。そっとドアを広いた。
「兄さん」
この部屋には兄と2人だけなので昔のように「兄さん」と呼んでみる。兄は答えてくれるだろうか?
「フレッチャー見ろ。いいできだろ」
兄の声。久しぶりに聞く計算の無い声。
兄の左手が指す先には50センチの水槽。
その中に金色の小さい魚。
輝くような金。それが人の気配を感じたか、すばやく泳いで水草に隠れた。小さい割に速い。ちまちまとすばやく動く姿はまるで・・・聞こえたら怒られるだろうけどエドワードさんのようだ。

「元気な子だね。熱帯魚?」
形やサイズはめだかに見えるがこの太陽を溶かしたような鮮やかな金色はめだかではありえない。
「いや、新種 になるかな」
「練成?」
「・・・、少しばかり手は貸したが、こいつの意思だ」
兄の声にさそわれたか金色のめだかは水草の陰から出てきた。小さな尾をせいいっぱい振って水面を目指す。水面近くでガラスに頭をぶつけた。
「チビちゃん。あまりぶっかってばかりいると大きくなれないぞ」
からかうような兄の声。
(エドワードさんのいるところでは絶対いえないせりふだなー)
最初の出会いのときにはエドの小ささをさんざんからかっていたこの兄だが、再会以来エドが不快に思うようなことは100パーセント口にしない。今のエドはこの兄の守るべき宝物だ。
金色のめだかは別に言葉が分かったわけでも無かろうが、怒ったように背中(尻尾)を向けて水底に下りていった。
「かわいいなぁ」
小さい魚に兄は声をかける。金色の身体が人工光線を反射する。
水底からどんどんスピードをあげて水面に向かう。矢のようなと言いたいが、ちいさすぎて光の粒のように見える。
水面すれすれでそれは起きた。
「あっ」
金色の小魚は小さいなりに大きなひれを広げて水面から空中に飛び出した。魚なのに鳥のように見えた。3センチの身長(体長)に対してせいいっぱい広げたひれは5センチもあった。
12345678910
10個数える間金色は空で遊んだ。
チャポン
小さな音を立ててはね(ひれ)を閉じた小魚は水中に戻った。
「どうだ」
いたずらに成功した子供を自慢する母親の声で、兄は弟の感想を促した。

「エドワードさんみたいだ。小さくて元気で行けないところでも突っ込んでいく
それに、かわいいね」
「かわいいだろ」
兄はすっかり親ばかの自慢モードに入っている。
長々と自慢される前に弟は先制した。
「キャスリンさんに贈るんでしょう。もうすぐ誕生日だから」
「へ、?・・・そうなのか」
仮にも婚約者(と見られている)女の子の誕生日すらこの兄は把握していない。
(本当にキャスリンさんのこと好きなの?)
そう訊いてみたくなる。
だが、うかつに訊いて「別に」とか、「好きといった覚えは無い」とか答えられたら、(・・・やっぱりそっとしておこう)。弟は兄の幸せと平和のために口を閉じた。
金色のめだかはまた羽(ひれ)を広げて、空を飛んだ。
小さな三角形、金の三角、底辺5センチ、高さ3センチの三角形。
(僕たちみたいだ)
エドを頂点に同じ距離をとりあう三角形。
きらきら輝く金色の幸せのために。
「金のリボンを付けて贈り物にしたら喜ばれるよ。女の子はかわいくてきれいなものが大好きだから」
「お前詳しいな」
感心したように言う兄。女のことはマスタングに山のように教えられたが、女の子のことはさっぱり分かっていない。(この人ときたらまったく)兄には分からないだろうため息を弟はそっとついた。



本当はめだかがこの国にいるのはありえないのですが、どうもグッピーでは合わない気がして。
空を目指しためだか、エディです。お気に召したらペットにどうぞ(笑)


望ましくない新婚生活

題名目次へ

中表紙へ


最新の画像もっと見る

コメントを投稿