インドの《オカマちゃん》の話。
三等寝台列車には、色々な種類の《乞食》が乗り込んでくるが、
車両の入り口の方から
ぱんっ!ぱんっ!
ぱんっ!ぱんっ!
と手拍子の音がだんだん近づいて来たなら、
それは
《ヒジュラー》である。
ヒジュラーとは、インドの《オカマさん》の事。
女装した男性であるが、何故か彼らはチップをねだる権利があるらしく(一説には両性具有の不思議なチカラを持つから一般人は逆らってはいけないらしい)
他の乞食のように物悲しい瞳はしておらず、妙に威圧的である。
わたしは小銭をねだられたことが無いが、
よく顔の前で
ぱんっ!ぱんっ!
(独特のかん高い音を鳴らすので、実際には
《ぴゃんっ♪ぴゃんっ♪》みたいに聴こえる)
と独特の手拍子をされて
しぶしぶ小銭を渡してる男性をみかける。
女性にはねだらないのかも知れない。
この日も早朝プリーへ向かう電車の中で向こうから、
ヒジュラーが来たな…と解った。
隣には二十代なかばとおぼしき男性の五六人のグループがいる。
この人らはねだられるだろうなーと横目でみていたら、
男子の1人がやおら積極的にふざけ出して
『おいwwwヒジュラー来るぜwww』
『チップ出すからお前遊んでもらえw』
『なんで俺だよwやだよ!』
『お前が行けよ!』
『来たw来たw』『来るぞw来るぞw』
みたいになって、
『ハァーイ!お待ちかね。(^ー^)ノ
ヒジュラーよ!アタイを呼んだ?!』
とヒジュラーが現れると
ウヒョー)^o^()^o^()^o^(
と盛り上がり、
次々チップを渡し
『ようオカマ!踊れよ~』
『ハァーイ!いいわよん、くねくね~』
『ギャハハハハ!!!』
『こいつがお前のこと可愛いって言ってるぜ!』
『言ってねぇよ!www』
『あらん、嬉しぃーチューしてあげる~』
『やめろwキモいからマジやめろwww』
『ギャハハハハ!!!』
『よう、オカマ~おまえ、チンコ付いてんのか?』
『なにさぁ、あんたアタイのボディに興味あんの?!触ってご覧なさいよぉ~ホレホレ。』
『やめろぉぉwギャハハハハ!!』
『ギャハハハハ!!!』
完全にオカマおちょくってるモードだが、チップははずまれてるようで、
ヒジュラーもクネクネとサービスしている。
ヒジュラーがいってしまったあともずっと、
男子グループは
ぱん!ぱん!とマネをしては
(ホンモノみたいにいい音は出てない)
『ギャハハハハ!!!』
『キモい!キモい!』
『キモいよぉ~!』
くねくねと動いて大騒ぎで大ウケしていた。
単純なことでバカみたいに楽しめるのがインド人ではあるが、朝7:00から車内はすっかりオカマBARになっていた。
ヒジュラーさんは、若くてスマートではあったが、可愛いというよりただのスカートを履いただけのお兄ちゃんだった。
よく居るサリーすがたではなくて赤いピタピタのTシャツに、赤いフリフリのスカート、伸ばした巻き毛にリボンをつけていた。
わたしも密かに愉しませていただいた訳で、1枚写真を撮らせてもらいたいところだったが、ヒジュラーからどんな報酬を要求されるかわからなくてこわかったので、とても出来なかった。
そういえば上等の寝台車には物乞いは入ってこなかった、
あなたもインドに来て、三等寝台に乗ることがあったなら、ヒジュラーさんに遭遇することがあるかも知れない!
そういえば、長距離バスの道の駅みたいなところでチャイ屋をしていた若者も、
格好は普通のTシャツにジーンズだったけど、
何故かロゼワイン色のラメラメのマニキュアをして、たくさんバングル(腕輪)をつけてチャイを沸かしていた。
けっこう普通に市民権を得てるのかも知れない!インドは何でもある!
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