Silent film

わが身

生ける時間が短くて

想いをいだくしかく無し

そう感じた瞬間に

なにもかもが色褪せる


眼に観得る花々の色

見上げる大空の青ささえ

すべてのものの生き生きとした

もろもろの鮮やかな色に

影が差し込み

すべてがモノクロームの

サイレント映画のにすり変わる


それが罪無き悪戯とし

それが罪無き宿命とし

すべてを受け入れ

生けるわが身


涙し　

笑いながら

そして

怒りは人事のように

渦巻いて


想いは消されたくないともがき

思いは消してしまえと言い放つ

どちらが先に

その一歩を踏み出すのか

今のわが身の姿を眺めれば

想いはすでに疲労の海に沈みかけ

思いはその足元を動かそうとし


これは悲観的な物語でもなく

悲哀なる恋愛ものでもない

ただの時代遅れのサイレントムービー

文字だけが画面をいろどっているだけの

もの


観客と言う

観るものの姿無し

製作者　演技者すらも姿無し

なにものにも罪は無し

これは単なる

宿命と言う題材の作品なのだ

そんな場末のつまらない映画に

誰が気に止めようか

......

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