一年前の話
2022.07.19
以前の「禅」に関する記事が見つからない、というご指摘があり、
内容は、そのままですが、今日の日付で更新させていただきます。
2018-09-15
張明澄先生の《員林学》講座《雲門禅解説》全七回(DVD発売中)より
碧巖録第七十七則雲門餬餅
原文)僧問雲門。如何是超佛越祖之談。門云餬餅。
読方)僧が雲門禅師に問う。如何なるや是れ超仏越祖の談。門云く、餬餅。
意味)僧が雲門禅師に問います。私たちは釋迦を超え達磨を越えなければならない、という話はどうしたものでしょうか。 雲門がこれに答えて言うには、ただ一言「餬餅」。
非常に有名な「公案」ですが、日本では「餬餅」の意味を取り違えているために、作者の意図が全く通じていません。
日本人は「餅」という文字を見ると、日本の正月に食べる「お餅」のことだと思い込んでしまい、同じ漢字を使っていても、中国語と日本語では意味が異なることも忘れてしまうようです。
日本で言う「餅」に近いものを中国語で探すと、「糕」というのがあり、これは「米」を蒸したものという意味ですから、日本の「餅」にかなり近い感覚のものです。
それでは、「餬餅」の「餬」の意味はどうかと言うと、「胡」がついているから「胡麻」のことだと思い込み、「ゴマモチ」などと解説している本もあるようですが、勿論そのような意味はありません。
「餬餅」の「餬」は、むしろ「糊口」の「糊」と同様の字義で、空腹を満たす食べ物、というものですが、「米へん」では無いことから分かるように、「米」以外の穀物でできた食べ物という意味があります。
「餬餅」の「餅」も「米」以外の穀物でできた食べ物という意味で、日本の関西地方で言うところの「粉物(こなもん)」と言う言い方がピッタリします。実際、中国の家庭でよく食べられている「焼餅」というものがあり、小麦粉を捏ねて焼いた、チャパティやナンのようなもので、間食ではなく、毎日の主食として食べられています。
つまり「餬餅」というのは、庶民的な「毎日の食事」の意味であり、人間にとって欠かせない大切な食べもの、ということになります。
「超仏越祖」、つまり、「釋迦を超え達磨を越えるには」、という問い掛けに対し、「毎日の食事」と答えたわけで、別に毎日食べなくても困らない正月の「おモチ」や、況してや「ゴマモチ」などと言うふざけた答えをしたのではありませんし、よく言われるような、「黙れ!」という意味でもありません。
今まで、「超仏越祖」の答えが「ゴマモチ」では意味が分からず、「禅」などと言うものは、到底理解できるものではないし、「悟り」など得られるわけが無い、と諦めておられた方々も、「餬餅」が「食事」のことだとわかれば、「禅」もそれ程難しいものでも無いのでは?と思える筈です。
日本に伝わっている「禅」は、すべて「中国禅」であり、テキストはすべて「漢文」、つまり「中国語」で書かれているのに、中国語の漢字の意味をまるで理解せずに「禅」を語ってきた先生方が、説明できない事柄は何でも「非理性」などと言って「胡麻」化してきました。
故張明澄師は、全中国人のなかでも飛びぬけて、「漢文」と「日本語」の読解力と表現力に優れ、しかも、漢学・仏教・道教・五術の専門家ですから、そのような間違いを犯すことがなく、最も難解で高レベルと言われる「雲門禅」を、誰でも理解できるよう、平易に解説されました。
◇ 張明澄講義《員林学》講座 DVD 儒 道 易 禅 経世済民 ◇
第33回~39回、雲門禅解説 Ⅰ~Ⅶ・板書資料付・全七巻セット 200,000円
第9回~16回、 経世済民書 Ⅰ~Ⅷ・原文資料付・全八巻セット 180,000円
第17回~24回、中国正統道教学大系 Ⅰ~Ⅷ・全八巻セット 350,000円
*表示の価格には、消費税、送料は含まれておりません。*分売も可能です。
お申し込み先
日 本 員 林 学 会
代表 掛川掌瑛
☎FAX 0267-22-0001
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