栗山求/望田潤監修「パーフェクト種牡馬辞典2024-2025」

第74回朝日杯FS回顧~高速巡行Storm Cat、2歳マイル王に

2022-12-20 15:50:46 | 血統予想

阪神11R朝日杯FS
◎14.レイベリング
○2.ドルチェモア
▲12.ダノンタッチダウン
△4.ドンデンガエシ
△16.コーパスクリスティ
×3.オールパルフェ
日曜の阪神は晴れ予報だから、タフな馬場ではあるが良だろう。レイベリングは「3/4ノーザンダンサークロス」で二つの3/4同血クロス(スペシャル≒パンプ5×3とボールドリーズン≒ネヴァーベンド5×5)をもち、フランケル産駒としてはかなり高評価できる配合。近親にG1馬が何頭もいて母系の質も高い。何より新馬戦で見せた斬れ味が秀逸。2000ぐらいの馬だろうが、先行馬が揃ったし後ろからまとめて差せるとみた。
ダノンタッチダウンも素質は高いが、大きな馬でまだ見るからに緩いから、ここもデイリー杯のような大味なレースになるだろう。それで全部差せるかどうか。ドルチェモアは高速巡行ソウルラッシュというタイプで、人気になっているが好マイラーだ。ヒモ穴はドンデンガエシか。

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例によってNETKEIBAの全頭解説から1~3着を

ドルチェモア
エンギダルマの全弟でアップストリームの3/4弟で、マウレアの甥。母アユサンは桜花賞馬。牝祖Buy the FirmはトップフライトH(米G1・ダ9F)勝ち。ルーラーシップ×ディープインパクトはキセキやワンダフルタウンと同じ。母方のStorm Catのマイラーっぽさも強くソウルラッシュに近いイメージだが、こちらのほうがTom Fool的な脚捌きで先行力機動力に富む。前走は離れた番手で絶妙のタイミングで抜け出した。ここも立ち回りの巧さを活かして。(距離○スピード○底力◎コース◎)



ダノンタッチダウン
ダノンザキッド、ミッキーブリランテ、オールザワールドの下で、母エピックラヴはヴァントー賞(仏G3・芝1850m)勝ち馬。牝祖AlcandoはビヴァリーヒルズH(米G1・芝9F)勝ち馬。母父Dansiliは仏リーディングサイアーでハービンジャーなどの父。538キロの大型でまだ緩さも残るので、現状はワンターン大箱でもデイリー杯のような大味なケイバになってしまうのは仕方ない。ここも素質とスケールで豪快に追い込んでくるだろう。(距離○スピード○底力◎コース◎)



レイベリング
チャートウェルS(英G3・芝7F)勝ちLily's Angelの半弟。イトコにオペラ賞(仏G1・芝2000m)のWe Areやカドラン賞(仏G1・芝4000m)のCall the Windなど。父Frankelは14戦全勝の名馬で、日本ではモズアスコット、ソウルスターリング、グレナディアガーズの父として知られる。スローの芝マイル戦を豪快なストライドで差し切ったが、Special≒Pumpの3/4同血クロス5×3で配合も良い。マイラーではないだろうが器は大きい。(距離○スピード◎底力◎コース◎)



今年の朝日杯は人気3頭が素質的にはちょっと抜けていて、完成度も高いマイラーのドルチェモアが1人気、まだ緩さが残る大型マイラーのダノンタッチダウンが2人気、斬れる中距離馬のレイベリングが3人気に支持されました

レースは45.7-48.2というかなりの前傾ラップで、3番手追走から抜け出したドルチェにダノンとレイベリングが迫ったところがゴールでしたが、あと50mあっても着順は変わらなかったかなというゴール前の3頭の脚色

ダノンより完成度で、レイベよりマイル適性で上回ったドルチェモアが、勝つべくして勝ったという2歳マイル王決定戦でした

この日も阪神芝はイン有利が露骨で、ダノン川田もレイベ武史もスタート後に内に馬を寄せてって、2列縦長の馬群でHペースでレースは流れました

ダノンタッチダウンは輪郭はマイラーっぽいんですが、とにかく大きくてしかもまだ緩さが残る現状で、今日もゲートをのっそり出て後ろから、大外一気でくるのかと思ったら川田はすぐさま内に入れて、そのまま馬群を捌いてきたのはさすがで、デイリー杯と同じ乗り方ならレイベリングは差せなかったと思います

レイベリングはパドックを見ても素晴らしい馬で、いきなりこのHペースを苦もなく追走して抜け出してくるのは性能とセンスとしか言いようがなく、最後はマイラーではないぶんちょっと負けてしまったけど素晴らしい中距離馬としか言いようがなく、いい種馬になると思うのでどこかでタイトルを獲ってほしいですね

ドルチェモアはルーラーシップ×ディープインパクトですから中距離×中距離で、母母バイザキャットはStorm Cat産駒のパワーマイラーでここで緩くなりそうなところを締めている「1/4マイラー」



これは同じルーラーシップ×ディープインパクトで同じ下河辺牧場産のキセキと同じ構図で、キセキの母母ロンドンブリッジは桜花賞で2着に逃げ粘った快速牝馬

ルーラーシップ×Storm Catというのは、Storm Catとラストタイクーンとノーザンテーストを通じる組み合わせのクロスになるので、それぞれのマイラーっぽさがONになりやすい配合といえ、下記のように1600~1800あたりのゾーンが分厚いです



ドルチェモアもStorm Catがベースのマイラーという点ではソウルラッシュ(これも下河辺産のルーラー)と似てますが、こちらは間にディープが入ったことでTom Fool≒Attica的な機動力が更に強く、そこを「高速巡行ソウルラッシュ」と評したのですがまさにそんな勝ち方だったかと

ルーラーシップ産駒でG1を勝ったのはキセキ、メールドグラースに次いで3頭目となりましたが、いずれも母父中距離で母母マイラーの「1/4マイラー」なんですよね

下河辺牧場はシンリョクカのJF2着につづいてドルチェモアの朝日杯勝利で、現2歳世代は勝ち鞍数、平均賞金、勝ち馬率全てにおいて2歳時の過去最高の数字をマークしています

コメント (4)
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