栗山求/望田潤監修「パーフェクト種牡馬辞典2024-2025」

第39回ホープフルS回顧~中山で大逆転、2歳リーディング奪取

2022-12-29 22:41:30 | 血統予想

中山11RホープフルS
◎14.ジェイパームス
○8.トップナイフ
▲4.セレンディピティ
△18.ミッキーカプチーノ
×7.ボーンイングランデ
×9.セブンマジシャン
×11.ドゥラエレーデ
フルゲート18頭、来春が楽しみな中距離馬たちが揃った。コントレイル級がいるかはともかく、メンバーレベル的にはホープフル史上最高かもしれない。◎はジェイパームス。キラーアビリティの下で、母キラーグレイシスはG1ハリウッドスターレットS(オールウェザー8.5F)に勝った。そこにジャスタウェイでワイルドアゲイン3×5をもつだけに、新馬戦でポンと先行して勝ったのは好感。母が北米2歳G1勝ち馬で、父母相似配合でジャスタの若駒にしては緩さもない。イーガンは若いのに達者でソツないし、多頭数のわりに行く馬は少ないので好位外で運べるだろう。ジャスタだから東京向きには違いないが、ここに入っても素質や奥深さは上位で、先行なら兄弟制覇があっても驚けない。
トップナイフは京都2歳は不利でいったん後退したがジワジワ巻き返してきた。ブラッシンググルーム4×4をもつオールラウンドな中距離馬で、地力があるし、締まりの強いパワー体質も今の中山向き。混戦・激戦になりそうだからキャリアが頼もしい。
セレンディピティはおなじみのグレースアドマイヤの牝系で、母ジェラシーはスイートピーS勝ち。ドゥラメンテ×ハービンジャーだから重厚だが、サンデーサイレンス3×3、トニービン4×4、ヌレイエフ≒サドラーズウェルズ5×5と強力な父母相似配合で、バネやしなやかさもあって先々が楽しみな素材だ。
ミッキーカプチーノはサークルオブライフとかなり似た輪郭の配合で、父エピファネイア、母父サンデーサイレンス系、3代母スターマイライフが共通する。これも奥のある中距離馬で、まだまだよくなりそうだが葉牡丹ぐらい走ればここも勝ち負け。
他にも手を出したい素質馬が何頭もいるので、大箱向き東京向きと思われるファントムシーフ、ハーツコンチェルト、ガストリック、キングスレインなどは素質は認めても消してみた。印が回らない。

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例によってNETKEIBAの全頭解説より1~3着を

ドゥラエレーデ
サトノダイヤモンド、リナーテ、サトノジェネシスの甥で、母母マルペンサはR.V.マンシリャ大賞典(亜G1・芝2000m)勝ち馬。父ドゥラメンテは二冠馬でタイトルホルダーやスターズオンアースなどを輩出。ドゥラメンテ×オルフェーヴル×マルペンサと底力に溢れる中距離血統で、サンデーサイレンス~ヘイローの継続クロスらしい脚捌きで走る。東スポ杯では速い脚のない弱みをゴール前で露呈。中山2000のほうが合うので、ここも先行しぶとく。(距離◎スピード○底力○コース◎)



トップナイフ
ステラウインドやスマートルビーの半弟で、牝祖ワンスウェドからはテイエムオペラオー、チャンネルフォー、テイエムガルチオーなどが出る。父デクラレーションオブウォーは芝8Fと10Fの欧G1に勝ち、仏2000ギニー馬やメルボルンC勝ち馬を輩出するオールラウンダー。本馬はBlushing Groom4×4をもつオールラウンドな中距離馬で、京都2歳は4角の不利で下がってしまったがジワジワ巻き返した。地力があるし、好位差しならここも圏内に。(距離○スピード○底力◎コース◎)



キングズレイン
サトノルークスやムーヴザワールドの甥で、アスコルターレのイトコ。母タッチングスピーチはローズS勝ち。母母リッスンはフィリーズマイル(英G1・芝8F)勝ち。英2000ギニーのHenrythenavigatorなども近親。ルーラーシップ×ディープインパクトはキセキやドルチェモアと同じ。こちらは母方も重厚で、Nureyev≒Sadler's Wells5×3など相似配合に。いかにも東京向きで、中山内回り多頭数で百日草のように伸び伸び走れるかがポイントに。(距離○スピード○底力◎コース○)



最近は(特に芝中距離戦は)デビュー戦から控えるケイバをさせたがるので、フルゲート18頭ですが前走先行して好走した馬があまりおらず、スタート後に手が動いていたのはトップナイフの鞍上だけで、他はみんな何かが行ってくれるならそれでいいやという出し方

トップナイフが難なくハナに立ち、ドゥラエレーデが番手をとった時点で隊列は決まり、ノリは600~1400mを12.7-12.7-12.5-12.5とまんまと中だるみさせると、そこから11.9-11.2-11.9でまとめて正味上がり3Fのケイバに

たとえばミッキーカプチーノが勝った葉牡丹賞は後半5Fが11.9-11.9-11.8-11.5-12.0、こういう後半1000mのロンスパなら持続力あるストライドで抜け出せるんですが、あの圧勝だから中山内回りOKと思われたミッキーでも4角で手が動いて置かれ気味になってしまったように、先行利はもちろん、4角を11.2で回ってくるコーナー加速力が要求されるレースでした

だから後続の大箱向きのストライドで走る馬たちは、たとえばファントムシーフは何とかインを捌いたんですが加速しはじめたのはもうゴール前になってからという伸び方で、東京でストライド加速で勝ってきたジャスタウェイ産駒のガストリックやジェイパームスも4角の加速に対応できないという走りでした

その点さすがというかルメールらしかったのがキングズレインで、ルーラーシップ×タッチングスピーチの血統どおりの胴長脚長の重厚な中距離馬を、4角を斜めに走らせ大外に持ち出しながら追い込んでいて、ルーラーシップやドゥラメンテもあんな感じで中山内回りG1を差してましたが、距離ロスは承知の上でストライドロスはしないのだという差し方ですよね

トップナイフは上がり11.4-11.0-11.4の野路菊でファントムシーフに9馬身以上離された4着、ドゥラエレーデは上がり12.1-10.8-11.5の新馬で4馬身半離された5着で、大箱のスローのヨーイドンで斬れ味のなさを露呈していた先行粘着型中距離馬2頭が、荒れ馬場の中山内2000をスローで先行して35秒で上がったら、そのまま2頭で壮絶な叩き合いになってしまったというホープフルSでした

脚を余した馬やコーナーを上手く回れなかった馬が続出して、レースレベル自体は高いとはいえなかったですが、当日パドックを見てもあれもこれも目移りするぐらいいい馬ばかりで、ここではダメでしたが後に開花したタイトルホルダー、パンサラッサ、オーソリティ、ヴァンドギャルド、オニャンコポンみたいな馬がゴロゴロいそうな予感はします



R.V.マンシリャ大賞典(亜G1・芝2000m)などアルゼンチンでG1を3勝したマルペンサは、ノーザンファームに輸入されて4頭の産駒を産んで早逝してしまいましたが、その4頭は

サトノダイヤモンド:有馬と菊に勝ち種牡馬
リナーテ:JRA6勝、重賞2着2回のオープン馬
サトノジェネシス:4戦3勝で引退し種牡馬
マルケッサ:5戦未勝利、ドゥラエレーデの母

これまではマルケッサが4コマ目のオチになってたんですが(^ ^;)、繁殖牝馬マルペンサの優秀さ、種牡馬ドゥラメンテの長打力、この両方を改めて思い知らされることに…これでドゥラメンテは最後の最後にエピファネイアを差し切ってJRA2歳リーディングサイアーとなりました

マルペンサはHalo4×3、Natalma4・5×5、Almahmoud5・6・6×5・6の「3/4Almahmoud」で、サトノダイヤモンドのことを「Haloお化け」と名づけたこともありました

ドゥラエレーデ自身はサンデーサイレンス3×4とNureyev≒エレクトロアート5×5で、ドゥラメンテ産駒としては斬れよりも機動力に振った配合で、東京→中山の出し入れで狙うべき馬やったということはできます

<スピード色強い血統だが、Blushing GroomをNijinsky5×4で胴伸びある体型にしたイメージで、芝8Fと芝10Fの英G1に勝ちBcクラシックでも2着。種牡馬としてもオールラウンダーで、仏2000ギニーとメルボルンCとBCジュヴェナイルターフの勝ち馬を出しており、北米のダート巧者も出す。非サンデーで配合相手を選ばないし、肌に回っても成功するだろう。代表産駒はNureyevなどSpecial牝系のNorthern Dancer血脈を母系にもつことが多い。Tapit肌との配合は北米G2勝ち馬とデュードヴァンとモズエロイコが出ておりダートで注目>

新種牡馬デクラレーションオブウォーについては種牡馬辞典でこのように書いておいたのですが、JRAで勝ち上がった日本での初年度産駒10頭のうち、トップナイフ、タマモブラックタイ、ドクタードリトル、ブレイゼスト、ハウゼが母系にNureyevをもっており、クインズエルサはThatchをもっています

仏2000ギニーのOlmedo

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12/24,25,28の血統屋コンテンツ推奨馬の結果速報

2022-12-29 22:31:47 | 共有クラブ

■『一口馬主好配合馬ピックアップ(2020)』で望田潤と栗山求がダブル推奨したイクイノックス(牡3歳)が日曜中山11Rの有馬記念(G1・芝2500m)を勝ちました。

★シルクホースクラブ
父キタサンブラック
母シャトーブランシュ(キングヘイロー)
牡 募集価格:4000万円
https://db.netkeiba.com/horse/ped/2019105219/
母シャトーブランシュはマーメイドS勝ち馬で、トニービンやAllegedやNureyev譲りのナタの斬れを武器とした重厚な差し馬でした。そこにキタサンブラックだとやや重すぎるきらいはあるのですが、母父がマイラーのキングヘイローなので全体の配合形やバランスは良いです。Lyphard5・5×4とHalo4×4のクロスで、母父のスピードで先行し父と牝系のスタミナで粘る中距離馬にうまく出たのではないかと思います。父同様の成長曲線にも期待できるので、古馬になって更に楽しめる馬でもあります。(望田)
【8月2日追記】
母シャトーブランシュは現役時代にマーメイドS(G3)を勝ったほか、ローズS(G2)でも2着と健闘しました。ディープインパクトとダンシングブレーヴはニックスですが、これはディープインパクトの母の父Alzaoとダンシングブレーヴが相似な血であることが理由です。母の父キングヘイローはDrone≒Halo≒Sir Ivor3×2・3という異様な凝縮を持っており、父の父ブラックタイドはHalo≒Sir Ivor2×4。血統構成はかなり近いので、両者2~4代目ぐらいの適度な距離に配置されたとき、最大の効果を発揮するのではないかと思います。本馬はその条件にあてはまり、なおかつ、ブラックタイドとキングヘイロー以外の部分が異系色の強い血で構成されているので好ましいでしょう。さらに、サクラバクシンオーとキングヘイローの組み合わせも実績十分(ローレルベローチェ、キタサンミカヅキなど)。芝向きの中距離タイプ。(栗山)

■土曜中山9Rノエル賞 ディオスバリエンテ(一口・望田&栗山)
■土曜阪神11R阪神C3着 ラウダシオン(一口・栗山)
■土曜阪神12R1勝クラス リアド(ディープ・望田&栗山)
■水曜阪神8R1勝クラス ブラックボイス(POG・望田)



キングヘイローが母父で成功しているのは、Drone≒Halo≒Sir Ivorのニアリークロス3×2・3というサンデーサイレンス系種牡馬と成功しやすい配合形に加えて、その母グッバイヘイローがKオークスなど北米G1を7勝した名牝で、Halo×Sir Ivor×Buckpasserと名うてのフィリーサイアーが代々かけられている、というのが大きいでしょうね

ちなみに有馬回顧で書いた「母や母父がマイラーで、Halo≒Sir IvorのニアリークロスとWorden≒Le Fabuleuxのニアリークロスをもつキタサンブラック産駒」は21年生にはいませんでした

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